韓流アイドルBTS(防弾少年団)に熱狂する、アメリカ社会の激変

快進撃が止まらない
川崎 大助

彼らの活躍は、チャート・アクションでも一目瞭然だ。今年5月に発売した3枚目のアルバム『ラヴ・ユアセルフ 轉 'Tear'』は、ビルボード200チャートで初登場1位。

韓国人アーティスト、いやアジア人アーティスト初の快挙であることはもちろん、「英語以外の言語」で歌われたアルバムが1位を獲ったのは12年ぶり。

さらに言うと、こうした「非英語アルバム」が首位をおさえたことは、同チャートの長い歴史上、これまでにたったの4例しかない「鬼レア」な出来事だったのだが……BTSがその5例目となった。

「人種、宗教に関係なく」人気

この人気ぶりの「実際のところ」について、インサイダーの声を聞いてみよう。

在米27年、フリー・メディアを発行する〈週刊NY生活〉社長の久松茂さんには、現地の中学校に通う、アメリカ生まれの12歳の娘さんがいる。なんでも彼女は「毎日、YouTubeでBTSを観ている」そうだ。

以下、茂さんを通じて、いくつか質問してみた。

まず、BTSのファンは「学校にもいっぱいいる」とのこと。コンサートにプレミア料金出してでも観にいく!という熱いARMYも、何人もいるそうだ。

ファンの内訳は「女子ばかり」。そもそも男子はK−POPをあまり知らず、彼女の周辺には「K−POPの女性アイドルが好き」という男子ですら、1人も見たことはない、とのこと。

ではそのファン層、BTSが好きな女子の内訳は、というと「人種、宗教に関係なく」人気なのだそうだ。

彼女が通う学校には、アジア人だけでなく、白人、黒人、ヒスパニック、ユダヤ人など、いろいろなルーツを持つアメリカの子供たちがいるのだが、「とくになんらかのグループのあいだで人気」というわけではなく、とにかく女子は全般的に「みんなBTSが好き!」なのだそうだ。

9月の北米コンサート会場前のファンたち(photo by Gettyimages)

「今年の初めごろから」盛り上がり始め、いつの間にか「みんな好きになっていた」という。

ではBTSファンは、日本のアニメほか、アジアのポップ文化に興味がある層と被っているのか、というと「とくにそんなことはない」らしい。

BTSは「アジア発」として認識されている、というよりも、もはや普通に「アメリカのそのほかの人気ポップスター」と同様の受容のされかたをしているようだ。

韓国語がわからなくても、OK!

だがしかし、「歌詞が韓国語」だという点はどうなのか?

これについても、面白い答えが返ってきた。

「言葉もたんなる音のひとつ」として聴いているので、韓国語でもなんでも、その響きが曲と合っていれば「かわいい」とか「かっこいい」とかなるので「意味がわからなくても、関係ない」とのことで……

つまりこれは、「(聴いただけでは)英語の歌詞の意味がわからない」ぐらいの英語力の日本の人が、「洋楽ロック」に親しんでいた状況と「ほぼまったく同じ」だと言える。

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