7年半におよぶ長期政権を築いた安倍晋三首相の突然の決断――。辞任の意向を固めた安倍首相は28日午後5時から、首相官邸で記者会見を開く予定です。自らの体調などについてどのような説明をするのか。永田町などの動きをタイムラインで詳報・解説するとともに、会見の様子を動画でお届けします。
自民党の森山裕・国会対策委員長は、安倍晋三首相の体調について「新しい治療法でかなり回復しておられるようだ」との見方を記者団に示した。その上で、首相が辞任の意向を固めたことについては「この際、しっかり治療を続けた方がいいというご判断だったと思う」と語った。首相は第1次政権時の2007年、持病の潰瘍(かいよう)性大腸炎が原因で辞任している。
安倍首相の後任を選ぶための自民党総裁選については、森山氏は「速やかに(次期総裁を)選ばなければならない。そのことを前提として党則にのっとってやると思う」と述べた。
拡大する臨時閣議に臨む安倍晋三首相。右は麻生太郎副総理兼財務相=2020年8月28日午後4時2分、首相官邸、恵原弘太郎撮影
辞任の意向を固めた安倍晋三首相は、自民党本部で「役員幹部会」に出席し、国会内で公明党の山口那津男代表と会談した後、首相官邸に戻った。記者団の問いかけには応じていない。
拡大する自民党「役員幹部会」を終え、党本部を出る安倍晋三首相=2020年8月28日午後3時26分、東京都千代田区、西畑志朗撮影
「あまりにも突然だったことと、予想もしていなかったので、本当に驚愕(きょうがく)をしております。役員会でも総理からそういったご発言があり、全員、非常に驚くとともに、総理に対して感謝の気持ちを述べたところです」
安倍晋三首相が辞任の意向を伝えた自民党の「役員幹部会」の様子について、稲田朋美幹事長代行は記者団にこう明かした。「病気、持病の話もあった。元気ではあったが、いろんな政治判断、非常に重大な局面なので、辞任の意向を発表された」とも語った。
安倍晋三首相は国会に移動し、参院の公明党の控室に入った。同党の山口那津男代表と会談した。
拡大するあいさつのため公明党の控室に向かう安倍晋三首相=2020年8月28日午後3時30分、国会内、恵原弘太郎撮影
安倍晋三首相が自民党本部を出た。記者団の質問には答えなかった。
拡大する自民党「役員幹部会」を終え、党本部を出る安倍晋三首相=2020年8月28日午後3時26分、東京都千代田区、西畑志朗撮影
安倍晋三首相に近い自民党の世耕弘成参院幹事長が記者団に、首相の党役員幹部会での発言を説明した。
首相は辞任の意向を説明。理由について、持病の潰瘍(かいよう)性大腸炎に触れ、「悪化するリスクがある。前の政権の時のように、突然辞任して迷惑をかけることがあっては(いけない)」という趣旨の発言をしたという。
「ポスト安倍」の一人と目される自民党の岸田文雄政調会長は、安倍晋三首相が辞任の意向との一報が駆け巡った28日午後、新潟市内にいた。記者団に受け止めを問われると「ちょっと、事実を確認しています」。辞任の意向をいつ聞いたかについては「先ほど総理から電話をいただきました」と短く語った。
岸田氏は党総裁選に立候補する意欲について「変わりません」と強調し、東京に向かう新幹線に乗り込んだ。
自民党本部で「役員幹部会」が開かれた。辞任の意向を固めた安倍晋三首相(党総裁)も出席した。
拡大するJR博多駅前で「安倍首相辞任の意向」を伝えるニュースが大型ビジョンで流れた=2020年8月28日午後3時、福岡市博多区、金子淳撮影
安倍晋三首相が辞任の意向を固めたことを受け、国民民主党の玉木雄一郎代表は記者会見で「ポスト安倍の政治や政策をどうするのか。これは政府・与党だけでなく、野党としてもしっかり考え、対案・対策を示していかなければいけない。その必要性がより高まった」と述べた。
玉木氏は「大変、驚いた。首相の職を辞さなければならないほど体調が悪化していたということなら、早く治療に専念して頂きたい」とも語った。
安倍晋三首相が辞任の意向を固めたことについて、東京都の小池百合子知事は28日の定例会見で、「いまここでうかがっているのみでございますが、それが事実であれば非常に残念なこと」と述べた。その上で、「コロナウイルス対策、オリンピック・パラリンピックなど国と連携を図りながら、取り組みを進めていかなければならないテーマは多々ある。今後、どのような形になるのか、報道の中身なども確認をしながら、国との連携をしっかりと取りたい」と話した。
安倍晋三首相は自身の健康の問題から、辞意を固めました。辞任の意向が明らかになる前に設定されたこの日午後5時の記者会見では、首相自らが説明するものとみられます。
首相が官邸で正式に会見するのは、通常国会閉会直後の6月18日以来。なぜ今辞任することを決意したのか、7年8カ月に及ぶ長期政権をどう振り返るのか、次の政権運営を誰に託したいのかなどについて、発言に注目が集まります。
伏線はありました。首相はお盆明けから2週連続で、慶応義塾大学病院に通院。体調を心配する声が与党内からも上がっていました。2007年、第1次政権で持病の「潰瘍(かいよう)性大腸炎」の悪化を理由に、約1年で退陣しました。今回、再び持病が悪化して政権を維持できないと判断した模様です。
12年12月に第2次政権が発足して以来7年8カ月、今月24日に連続在職日数が佐藤栄作元首相を抜き、歴代最長となったばかり。自民党総裁としての任期を1年余り残して、退陣することとなります。
会見では、次の首相についてどう語るのかにも注目が集まります。「ポスト安倍」候補として、岸田文雄・政調会長、石破茂・元幹事長らが有力視されています。菅義偉官房長官の名前も浮上しています。首相は岸田氏への期待が高いとされていますが、会見でどこまで言及するのか。その発言が次期総裁選びに影響を与える可能性もありそうです。
安倍晋三首相が辞任の意向を固めたことについて、立憲民主党の安住淳国会対策委員長は国会内で「史上最長の(首相の)在任期間で、7年半近くアベノミクスを中心にした日本の政治や社会の状況は、これで大きく変わる。本当に驚いた」と記者団に語った。
安住氏は「新たにまったく今までとは違う政治状況が生まれる。折しも野党再編も進んでいる」と指摘。自民党内の今後の動向については「どういうリーダーを選んでいくのかまったく分からないが、『安倍1強』というのが終焉(しゅうえん)を迎えるということだ」と述べた。
橋本聖子・男女共同参画相は記者の取材を受けている最中、秘書官から差し出されたスマートフォンで、安倍晋三首相が辞任の意向を固めたとのニュース速報を確認した。「え、うそー。辞任の意向?」
安倍晋三首相は自民党本部を訪れ、二階俊博幹事長らと10分間会談した。辞任の意向を伝えたとみられる。
安倍晋三首相が辞任の意向を固め周囲に伝えた。
安倍晋三首相は午前の官邸での閣議の後、麻生太郎副総理兼財務相と会談した。麻生氏は官邸を出る際、記者団の質問に答えなかった。
一方、首相側近の衛藤晟一沖縄北方相は閣議後の記者会見で、首相の体調について「元気で頑張っています」と述べた上で、「週に1回、病院に通った方が良いというのであれば、堂々とやられたらいい。そのことを国民にある程度明らかにして、という具合に思っている」と語った。
拡大する閣議に臨む安倍晋三首相(左)と麻生太郎副総理兼財務相=2020年8月28日午前10時4分、首相官邸、恵原弘太郎撮影
拡大する新型コロナウイルス感染症対策本部の会合に臨む安倍晋三首相(左から3人目)=2020年8月28日午後1時21分、首相官邸、恵原弘太郎撮影
安倍晋三首相が官邸で正式に記者会見するのは、通常国会が閉幕した翌日の6月18日以来、約2カ月半ぶりとなります。この日の政府対策本部で方針を決める新型コロナウイルス対策について説明するのが会見の主な目的ですが、不安視されている自身の健康状態をどう説明するのかに、注目が集まっています。
首相はお盆明けから2週連続で、慶応義塾大学病院に通院。2007年には持病の悪化から一度は政権を手放しており、体調を心配する声が与党内からも上がっています。最高指導者の健康状態は政権運営に直結し、国民生活にも影響を及ぼすだけに、関心事となっています。
また、首相は今日午前、閣議の後に麻生太郎副総理と官邸内で会談しました。会談後、麻生氏は無言で官邸を後にしましたが、今後の政権運営について様々な臆測を呼んでいます。そんななかでの首相会見。国民に向けてどのようなメッセージを発するのか、注目です。
一方、首相は会見で、新型コロナ感染症の今後の対応方針についても説明する見通しです。6月以降、新規感染者数は再び増え続け、「第2波」とも言われる流行がありました。しかしこの間、首相は会見を開かず、野党が求める臨時国会の開催にも応じていません。感染が拡大しているさなかに、観光支援策「Go Toトラベル」を始めたことや、支援対象からの「東京外し」による混乱などについて、首相自身がきちんと国民に説明する機会はありませんでした。
そうした意味でも、今日の会見はこの間の政府のコロナ対応は十分だったのか、首相の考えと対応の是非が問われそうです。
拡大する首相官邸に入る安倍晋三首相=2020年8月28日午前9時58分、恵原弘太郎撮影
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