What s Inca rose?

�|インカローズ(鉱石)……Inca rose(Rhodochrosite)

化学式:Mn(CO3)
硬度:4
結晶系:三方晶系


鉱物。
菱マンガン鉱の別称。
綺麗な半透明のピンク色の石と
濃い透明深紅のものとがある。
(筆者は半透明が好み)
南米で産出される薔薇色の石であることから
『インカの薔薇』という名前がついた。
英名ではロードクサイト(Rhodochrosite)。
これもギリシア語で『薔薇』を意味する言葉が起源。

�}インカローズ(植物)……Inca rose(Nepa)
バラ科の植物。
南米に生息していた事からこの名前がついた。
『薔薇』とは書くが、私たちに最も親しい
あの美しい花をさかせる種とは異なる。
どちらかと言えばワレモコウに近い花。
標高の高い山岳地帯に生息し
春になるとあたりに群生する。
茎は細く、しっかりとしている。
蕾は堅い咢で包まれており、
赤茶色のその蕾には解毒効果にくわえ解熱作用
止血作用などの効果があった。
また、根にも殺菌効果が見られ、他にも様々な
薬効があり一種の万能薬的な薬草であった。
しかし同時に、子房の下に、毒をためる袋がついており
大人一人を痺れされるに十分な毒素を持っていた。
夏になると、白く小さな花を咲かせ、
花になると薬としての効果はなくなるが
甘く清々しい芳香をはなつ。



近世に入ってから絶滅した種のひとつで
現在は失われて久しい植物。
万能薬となる蕾が赤茶色で、その中でもとくに赤の濃いものに
強い薬効が見られる事からか(売れば金になる事からも)
学者達は、この植物を『賢者の石』の愛称で呼んでいた
と言われていますが、これはどうも眉唾もの。
(どうやら後から付け加えられた話のようです)


……………
Ohter storys

かつてその山岳地帯に文明を築いたカステアという
国家では、『
ネパ(Nepa)』という名で呼ばれ
黄金よりも貴重なものとされていた。
『ネパ』とは彼らの民族(フェ)の古い言葉(フェゴン)で
『精霊の指』を意味し、『精霊』とは彼らにとって
あらゆる物に宿る恐るべき神の力であり
また死んで土になった先祖の生まれ変わった姿であり
また親しい兄弟のような存在であった。
彼らはネパの実と根を薬とし、
またその毒をつかって狩りをし、花を香料、
また聖なる植物であるため祭事に神に捧げる
供え物としてきた。
また、彼らの先祖が昔、ネパの花と(=精霊や神と)
兄弟の契りをかわした、という口伝が残っており、
彼等は同じ土に根をおろす兄弟であり、
また同じ魂を分つ分身のような関係だった。
そのためか、自分達が生き続けるかぎりネパは滅びず
ネパが滅びぬ限り自分達も生き続ける、と考えていたようだ。
(彼等にとってネパの花を贈る、ということは
自分自身の命を預けることに等し意味を持つことから、
しばしば信頼と休戦の証として他文明国家に贈られたようだ)
そう言った事から、人々はこの花を貴重な薬というだけでなく、
なによりも親しく大切な存在としていたことが伺える。
また、フェ族にとって、ネパは宗教思想的に、一族の生と死を
あらわす植物だったと言えるかもしれない。
かつては他の文明国家との間で、この貴重な花をもとめて
戦争になることもあったようだ。

しかし、その文明も、近世に入ってからやってきた
西洋国家の侵略を受け、滅びを迎える事になる。
その時にこの『ネパ』の花も、種としての滅びを迎えたらしい。
研究のために持ち帰られた花も、栽培が試みられたが
気候変化のためか一度花を咲かせたきり枯れてしまい、
二度と芽を出す事がなかった。
現在その存在を知る鍵は、持ち帰った『ネパ』を研究した
学者(アイゼン・デューラー)のスケッチと記述のみである。




Nepa as Inca rsoe


   インカローズ(植物)は橘あつこの想像した架空の植物です。