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アイフル過払金55%返還論 [裁判事務]
アイフルは,利息収入について法人税(45%)を納めているので,過払利息を返還するとしても,法人税分(45%)を控除した残額(55%)しか返還できないと主張します。なりふり構わないこの主張をはじめて読んだとき,あの大威張りだったアイフルの面影が感じられず,哀れな感じさえ持ちました。ここでは,実際に簡単な数字をあてはめてアイフルの主張を確認してみます。
アイフルは,甲さんに「100万円」を「1年後」に弁済する約束で貸し渡しました。このときの「約定利率は29.2%」であり,利息制限法の「法定上限利率は15%」です。そして,甲さんは,1年後,アイフルに100万円の元本と,29万2000円の約定利息を支払いました。
その後,甲さんは,100万円を1年間借りただけなので,年利15%の利息が上限であるから15万円を超える部分は支払う必要がないお金であったので,実際に支払った29万2000円から15万円を控除した14万2000円を返して欲しいと過払利息の返還請求をしました。
これに対し,アイフルは,利息収入29万2000円の45%である13万1400円は法人税として納税しているのだから,ここからさらに過払利息14万2000円を返してしまったら,13万1400円+14万2000円の合計27万3400円を失うことになり,手元には29万2000円-27万3400円の1万8600円しか残らず,これでは公平の観点から見ておかしいのではないかと主張します。
仮に,約定利息が違法であるとしても,法定金利15%分15万円から法人税45%分の6万7500円を控除した8万2500円は手元に残らないとおかしいので,返還する過払利息も法人税45%分を控除した55%相当額,すなわち14万2000円の55%7万8100円を返せば充分であると主張するのです。
この計算の場合,アイフルの手元には29万2000円(約定利息)-13万1400円(法人税45%)-7万8100円(過払利息55%相当額)=8万2500円が残ることになり,この残額8万2500円という金額は,法定利息から法人税を納税した残額と一致するので,過払利息はその55%を返還すれば十分であるし,合理的ではないかと言います。
なるほど,この主張は,数字だけを当てはめると,そう言われれば,そうかも知れない・・と思ってしまいますが,この主張には,隠されたその後の事実があるのです。
すなわち,アイフルが過払利息14万2000円を返したとしても,次の税務申告の際に,この過払返還分は損金となるので,14万2000円の45%(法人税)分の税金が安くなります。事実上,安くなる税金分の6万3900円は翌年に戻ってくると言って差し支えありません。
アイフルの言い分では,過払利息14万2000円の全額を返してしまった場合,アイフルの手元には1万8600円しか残らず,これは不合理であると言うことでしたが,実際に過払利息全額を返還したとしても,翌年精算される6万3900円の税金分を加味すれば,1万8600円+6万3900円=8万2500円がアイフルの手元に残ることとなり,過払利息を全額返還しても,結果としてアイフルの手元には法定利息15万円から法人税45%分の6万7500円を控除した残額8万2500円と同じ金額が残ることになるのです。
アイフルは数字のマジックで騙しています。過払利息全額を返還すると,手元には法定利息分の利益すら残らないような主張をするのですが,過払利息全額を返還したとしても,アイフルの手元にはきっちり法定利息分の利益は残ります。これでアイフルの主張が詭弁であることが明らかとなります。
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