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「中国のウイルス」と平気で呼ぶトランプに、専門家は「危険な態度だ」と警告

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ホワイトハウスでの記者会見で、コロナウイルス対策について質問を受けるトランプ米大統領=ロイター

“Trump has no qualms about calling coronavirus the 'Chinese Virus.' That’s a dangerous attitude, experts say."

3月20日付 ワシントン・ポスト紙

「スペイン風邪」のように、最初に流行が明るみに出た場所にちなんで名づけられた病気は多くあるが、新型コロナウイルスの場合、WHO(世界保健機関)はわざとそうしなかった。COVID-19というニュートラルなネーミングを選ぶことで、特定のグループにstigmatization(汚名を着せること)を避けようとした。

だが、トランプ大統領を始め、共和党の政治家や右寄りの放送タレントはコロナウイルスのことを「中国のウイルス」や「武漢ウイルス」と頻繁に呼んでいる。トランプは、deliberately(故意に)それを使っているようだ。3月19日の記者会見であるカメラが捉えたのは、「Corona」という文字が消され、その代わりに「Chinese」とscrawled(走り書きされた)彼の原稿だった。この言葉は専門家にfrowned upon(冷たい目で見られている)。なぜかというと、アジア系アメリカ人に対する差別を生むからだ。

ある大学教授によると、「基本的には、そのような発言はアジア人に対するbias(偏見)を容認してしまう」。また別の大学教授は、そうした言い方を「reckless(むちゃくちゃ)で無責任」と呼ぶ。「トランプは本質的に、中国とアジア系アメリカ人やアメリカ在留者をthrow under the bus(犠牲にして)、アメリカ人の間の反中国人sentiments(感情)をfueling(あおっている)」。結果的に、武漢で発生した新型コロナウイルスは様々な問題を表面化させたと言えるだろう。アメリカでは古い差別的なテーマをreignited(再燃させ)、アジア系、特に中国系の人々がコミュニティーでheightened tensions(緊張の高まり)を経験している。彼らは、xenophobic(外国人嫌い)や人種差別的な行動の標的になっている。侮辱的なコメントも浴びせられ、assault(暴力)にまで発展したケースもある。「中国のウイルス」のような言葉が使われ続ける限り、そうした問題が終息に向かうことはないと予想されている。

なぜトランプは中国にzeroing in(集中して)言及しているのか? 一部では、自分の政権のコロナウイルスへの対応の失敗から焦点を移すのが目的ではないか、という声が上がっている。それが本当の目的なら、まさにトランプらしい行動だと思われる。