以前、何度も記事にしたことのあったDTM入門者用のDAW、ドイツ
MAGIX社製の
Music Maker。私も監修という立場で「
はじめてのMusic Maker ~ 音楽を創ろう」という入門書をバージョンアップごとに計4回作ったことがあるので、思い入れのあるDAWでもあるのですが、その最新バージョンとなる
Music Maker 2019が8月24日、
ソースネクストから14,504円(税抜)で発売されました。また発売記念キャンペーンとして9月2日までの期間、9,800円での販売となります。
ご存知の方も多いと思いますが、国内での発売元は数年前にAHSからソースネクストへ変更されており、ソースネクスト版を購入している方も少なくないかもしれません。AHS時代にあった最後のバージョンMusic Maker MX2から数えると6世代ほど新しくなっているとのこと。実際どんなソフトなのか、改めて紹介してみましょう。
新たに発売されたMusic Makerの最新版、Music Maker 2019
Music MakerはDTM初心者のために開発されたドイツMAGIX社のWindows専用のDAWソフトです。「MAGIXなんて会社、聞いたこともない」なんていう人もいると思いますが、同社は業務用のマスタリングソフトSequoiaや上級者向けの老舗DAWソフトSampletudeを開発するメーカー。Music Makerはそれらを受け継ぎつつ、初心者に楽しくDAWが使えるようにした、入門ソフトなのです。また以前はSony Creative Softwareが開発していたACIDやSound Forgeなどのソフトも2年前にMAGIXが買収しているので、現在はこれらもMusic Makerの兄弟ソフトという関係になっています。
ソースネクストが扱っているMAGIX製品の一部
そのMusic Makerの最大の特徴は以前から装備している、自動作曲機能です。いろいろなメーカーから数多くのDAWが出ていますが、自動作曲機能を装備しているのは、このMusic Makerだけではないかと思います。しかも、DAWを使うのは初めてという人でも、すぐにできちゃう超お手軽作曲機能なのです。
Music Makerの目玉機能である自動作曲を行うソングメーカー
その自動作曲の流れをビデオにしてみたので、ご覧ください。
いかがですか?初めてご覧になった方はちょっと驚かれるのではないでしょうか?本当に画面上で数回クリックしただけで曲が作成され、気に入らなければ「曲を作成」ボタンを再度押し直せば、コンピュータが違う曲に作り直してくれるのですから、面白いですよね。
使う楽器や曲の構成を適当に決めて「曲を作成」ボタンをクリックすれば違う曲ができる
また、曲を作るにあたって、利用する楽器を自分で選ぶこともできるし、曲の構成としてイントロをつけるとか、ブリッジをつけるのかなども自分で決めることができ、その上で「曲の作成」ボタンをおせば、その要望に合わせた曲が出来上がるのです。
ソングメーカーによって自動作曲された状態
そう、ここまでなら、DTMについてまったく知らなくても、音楽理論のカケラすらわからなくても、誰でも作曲が楽しめちゃうわけですから、すごい時代ですよね。もっとも、ここにはメロディーが乗ってないので、「これを作曲というのか!」と批判する方もいるとは思います。でも、普通にBGMとして流して違和感なく聴くことができるものが完成するだけでも、スゴイと思うのですが、いかがですか?
フリーで用意されているサウンドプールがあるので、自由にダウンロードできる
その作曲、中にすごい人工知能が装備されているのではないんです。ヒップホップ、ディープハウス、テクノ、トラップ、ラテン、チルアウト、ロックポップ、ダブステップ、ジャズ、スコア、ダンス、アンビエント……など、サウンドプールと呼ばれるさまざまなジャンルのループ素材集が用意されており、そのループ素材をうまく組み合わせて作曲を行っているのです。
膨大な数の有料のサウンドプールもあるが、それらの中から好きなものを3つダウンロード可能
そのため画面左側で、どんなサウンドプールを選ぶかによって完成する曲の雰囲気がまったく変わってくるのですが、Music Maker 2019には予めいくつかのサウンドプールが用意されているほか、MAGIXが用意する数多くのサウンドプールの中から好きなものを3つまで、約100ドル相当分を無料でダウンロードすることも可能になっています。
値段は書かれているが3つまでは0円となる
もちろんMusic Makerでは自動作曲で音楽を生成するだけでなく、もちろん自分で作っていくことができるしっかりしたDTMのソフトです。まずは用意されているサウンドプールの中に入っている膨大なループ素材から自分で好きな音を選んで、ブロックを並べていく感覚で音楽を作っていくこともできるし、一般のDAWと同様、MIDIやオーディオを使った音楽制作も可能です。
一般に「打ち込み」などとも呼ばれるMIDIについては、Music Makerにはさまざまな高性能な音源が搭載されており、それらを用いて自分で入力していくことができます。
数多く用意されている音源の中から8つまでを自由に入手可能。画面はエレピ音源
ドラム音源だけでも複数あるが、画面はRock Drum
この音源も、先ほどのサウンドプールと同様、画面右側のストアに数多くの高品位な音源から好きなものを最大8つまで選んで入手することが可能になっています。アナログシンセ音源や、ドラムマシン、ピアノ音源、オルガン音源……とさまざまなものがあり、どれもなかなかいい出来なんですよね。価格的にいえば、ピアノ音源1つで十分9,800円の元がとれちゃうかも、と思うほどですね。
ピアノロール画面を用いたMIDIの打ち込み機能も用意されている
そのMIDIのエディットはピアノロールという画面が用意されており、ここでほかのDAWと同様の方法でエディットしていくことができます。その際の音の入力は画面下の鍵盤をマウスでクリックしていくのもよし、パソコンのキーボードを鍵盤替わりにして弾くこともできるし、外部のUSB-MIDIキーボードを用いて弾いていくことも可能です。
ドラム入力機能、数値入力機能も装備
このピアノロール画面をドラム入力画面にすることができるほか、またちょっとマニアックではありますが、数値入力を行うこともできるので、かなり細かく作りこんでいくこともできそうですね。Music Makerって、こんなことまでできるようになっていたのか、と驚きました。
もちろんボーカルなどのオーディオレコーディングも可能
もちろんオーディオのレコーディング、エディットも可能ですからボーカルを録ったり、アコースティックギターやピアノなど生の楽器をマイクでレコーディングしていくことも可能です。
簡易的ではあるがミキサーも用意されている
もうひとつDAWを使う上で重要になるのがエフェクト。これもMusic Makerには数多くのものがバンドルされているので、適当に触りながらエフェクトとはどんなことができるものなのかを体験していくことが可能です。EQ、コンプ、ディレイ、コーラス、リバーブ……と必要なものは十分に備わっています。これらをMIDIで打ち込んで作ったサウンドにかけてもいいし、ボーカルなどレコーディングしたオーディオにかけて試すことが可能となっています。
簡単な操作でエフェクトを呼び出すこともできる
数多くの高性能なエフェクトも標準搭載
さらに、最近のMAGIX製品の目玉になっているのが、iZotope Ozone Elementsが丸ごとバンドルされているという点。これも初心者用のソフトではりますが、いやだからこそ大いに役立つのです。Ozoneはマスタリングと言われる最終段階で利用するソフトで、以前記事でも紹介したことがあるとおり、人工知能によって、いい感じの音にまとめ上げてくれるというもの。これに関しては、Music Makerのみならず、他社DAWでもそのまま使うことができるので、ステップアップして別のソフトを使ってみようという場合などにも活用することができますよ。
iZotopeのOzone 8 Elementsもバンドルされている
ちなみに、昔のMusic Maker MX2などをご存知の方にお伝えしておくと、このMusic Maker 2019ではオーディオエンジンが刷新され、Sampletudeのエンジンが採用されているため、音質的に大きく向上しています。また以前はCPUのマルチスレッドに対応していませんでしたが、今度のバージョンでは対応するようになったため、最新のCPUを使っていれば、より低負荷での動作が可能になります。
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