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レポート
ヨシモトコレクションの世界
国立科学博物館 | 東京都
日系二世のヨシモト氏が遺した、多様な哺乳類標本
国立科学博物館の常設展で、来館者の目をひきつける大型哺乳類の剥製。このコレクションはハワイ生まれの日系二世、ワトソン T.ヨシモト氏(1909-2004)が1997年に寄贈したものです。ヨシモト氏の歩みと寄贈の経緯、そしてコレクションの特徴を振り返る企画展が開催中です。
ホール吹抜けに組み上げられた櫓に、大型哺乳類がずらり
企画展示室の入口には、阿形/吽形のライオン
ヨシモトのコレクションルームをイメージした展示
ヨシモトはハンティングにカメラや16mmなど撮影機材も持っていきました
1992年頃の肖像写真と、吉本夫妻(ヨシモトの両親)のパスポート
右手前から、ヒツジ(ウリアル)、マーコール、バーバリーシープ
手前で体を丸めているのはリーチュエ、体を投げ出して毛づくろいする姿が見事に表現されています。ヨシモトは剥製製作のほとんどをクラインバーガー社に依頼、同社は生きている姿を細部まで精巧に再現する技術に定評がありました
右手前から、イノシシ、イボイノシシ、カワイノシシ、カワイノシシ
左から、ブチハイエナ、ナマケグマ
ヨシモトの没後10年を記念した本展、会場は日本館1階中央ホールと企画展示室です。

ホールに近づくと、ダイナミックな展示にびっくり。最上部のホッキョクグマをはじめ、トナカイ、ヒグマ、サバンナシマウマ、ローンアンテロープなどが木製のやぐらに鎮座します。

猛獣はもちろん、遠目に見ると愛らしく思える草食動物も巨大な体が迫ってくるようで、かなりのインパクト。階段を上がって、上からの眺めもお楽しみください。


日本館1階中央ホールの展示。装飾的な天井との対比も印象的です

企画展示室に入ると、ハンターのコレクションルームの紹介から。ヨシモトは自宅別棟に小さなコレクションルームを持っており、初期に捕獲した動物剥製を飾っていました。

几帳面だったヨシモトは、ハンティングの記録をキャビネットに保存。引き出しの中には旅の旅程や、ハンティング業者との手紙のやり取りなどが保管されています。


ヨシモトのコレクションルームをイメージした展示

ヨシモトは日系二世。幼い頃は貧しい生活でしたが、建設会社を設立して成功。1980年代後半にはハワイで最も成功している会社のひとつに数えられるまでになりました。

ヨシモトは22歳でライフルを購入、ハンターとしての一歩を踏み出しました。ビジネス上の関係を築く手段としてもハンティングは有用で、50年代後半からはハワイ以外にも足をのばすようになり、1995年までに42カ国、156回のハンティングを行いました。


ヨシモトの生涯

ヨシモトのコレクションは、その多様性が特徴です。

例えばヘッドマウント(頭部だけの剥製)では、大きな個体を収集する事にこだわらず、近縁な分類群のヘッドマウントを網羅的に収集。ウシ科やシカ科では、種や地域集団によってツノの形状に違いがある事が、ヨシモトのコレクションからは良く分かります。

また、小型の種も多く収集。大型だけを狙う一般的なハンターとは少し異なり、博物館での展示を意図していた事がわかります。


多様性に満ちたヨシモトのコレクション

ヨシモトは1992年に自分が経営するボーリング場を改装して、私設博物館を開館。自身は事業から引退し、来館者にコレクションを説明して過ごしました。

90年代後半になって、コレクションを有効利用してくれる寄贈先を探していたところ、いくつかの候補先から国立科学博物館と意見が一致。1997年に全ての剥製コレクションを寄贈しました。

ヨシモトは2004年1月に死去。その年の11月にオープンした国立科学博物館 地球館のⅡ期展示で、ヨシモトコレクション81点を利用した剥製展示「大地を駆ける生命」がスタート。現在でも人気を集めています。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年10月14日 ]

自然科学30のなぜ?どうして?―国立科学博物館の展示から

国立科学博物館 (著)

さえら書房
¥ 1,620

 
会場
国立科学博物館 日本館1階中央ホール、企画展示室
会期
2014年10月15日(水)~2015年1月18日(日)
開館時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)
金曜・土曜 9:00~20:00(入館は19:30まで)
休館日
月曜日休館 ただし祝日の場合は開館し、翌火曜日休館、年末年始
住所
東京都台東区上野公園7-20
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト http://www.kahaku.go.jp/event/2014/10yoshimoto/
料金
一般・大学生:620円
高校生以下・65歳以上:無料
展覧会詳細 ヨシモトコレクションの世界 詳細情報
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