法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

親に教育を丸投げする理屈でいいなら、漫画よりゾーニングが厳しい「表現の不自由展」にも細かい説明文が無くて良かったことになるよね……

寸借詐欺疑惑*1で知られる大田区議員のおぎの稔氏が、漫画の悪影響への懸念に対して、親の教育に丸投げするような意見を出していた。

つづくツイートで何もかも家庭にまかせるべきという主張ではないと留意したかと思えば、漫画については「家庭でちゃんと取り合ってほしい」範囲と位置づけている。


しかし親がいる家庭ばかりではないし、子供に教育できるだけの余裕がない家庭も多い。
ニチアサと呼ばれる日曜日午前の番組枠などの子供向け番組が、親の負担をへらして家事などをおこなう余裕をつくっているという話もある。
テレ朝の日曜朝が変わる! 特撮モノの放送時間変更に子育て世代からまさかのブーイング - レタスクラブ

小さい子どもを育てている親にとって、子どもが静かにテレビを見ている時間はとっても貴重ですよね。親なんてそっちのけで集中している子どもをよそに全力で家事を片付けたり、ほんのひと時のコーヒーブレイクを楽しんだりすることも可能。

おぎの氏のような丸投げでは、自由な市場の選択として、むしろ教育的な表現ばかり残っていくことにならないだろうか。


また、趣味に対する親の介入を求めるならば、それに応じて教育的に排除されない方向へ表現も変化していくだろう。
事実として、ゲームを一日一時間にしようという制限目標は、高橋名人として知られたゲーム会社の社員が広報でつかったものだ。

公式16連射ブック 高橋名人のゲームは1日1時間 (ファミ通ブックス)

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  • 作者:高橋名人
  • 発売日: 2009/08/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

同じくらいの時間制限を求めた香川県のゲーム条例に対してブログで発信し、あらためて注目もされた。
「ゲームは1日1時間」高橋名人が「香川県ゲーム依存症条例」についてコメントを公開 - GAME Watch

何も規制しなければ、特に母親からゲーム禁止と言われ始めるのではないかと思ったという。そこで出た言葉が「ゲームは1日1時間」。

高橋名人はブログにおいて当時をふりかえりつつ、現在の社会環境にそのまま当てはめにくいことにも留意していた。

「今の時代、公園に行ったとしても、ボール投げなどが規制されていたり、鬼ごっこで大声を出す事も禁止されていたりします。そんな身体を使えない状況になった時、子供達はどこに行くのでしょう? それはスマホタブレットなどのネットになってしまうのではないでしょうか?」とし、規制する前に、子供が外で遊べる環境作りをしてほしいと改めて「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」について意見を述べている。

おぎの氏が仮にも政治家であるならば、表現で誤った観念がすりこまれないよう教育を充足し、あわせて生活の余裕を支援する、という方向に行ってほしい。
それと同じように歴史的な事実や戦後の社会史などがきちんと教育されていたならば、そもそも「表現の不自由展」への無用な反発もなかったはずだろう。

表現の責任は表現者にあり、読解の責任は受取手にあり、それらをつなぐ責任が社会と教育にある。