マンダムはこのほど、「日本人男女の腋臭(ワキ臭)の違い」の研究成果について発表した。同調査は2014年と2015年の7~8月、20~55歳の日本人女性82名、20歳代と40歳代の日本人男性87名を対象に実施したもの。
この研究成果は、6月5日~9日に開催された「第17回嗅覚・味覚国際シンポジウム(International Symposium on Olfaction and Taste, ISOT)」にて発表。7月12日に開催される「第78回SCCJ 研究討論会」でも発表予定となっている。
今回の研究では、ヒトの感覚(視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚)を使い対象物のニオイを評価する「官能評価方法」を用いた。
被験者は、無香料せっけんでワキの下のくぼんだ所である「腋窩(えきか)」を洗浄後、無臭のシャツを着用。24時間経過後、両ワキのニオイを、2~3cmの距離から直接官能評価した。そのニオイを6段階臭気強度表示法を参考に、11段階にスコア付けした。
また、ニオイタイプを「M型(ミルク様臭、ベース臭)」「A型(酸臭)」「K型(カビ臭)」「C型(カレースパイス臭)」「E型(蒸し肉様臭)」「W型(生乾き臭、水っぽい)」「F型(鉄臭)」「その他」に分類。被験者の腋臭に含まれる各タイプの存在割合を合計が100%となるように、10%刻みで評価した。
20歳代と40歳代の男女で比較すると、両年齢層ともに女性の腋臭強度は男性よりも低いことが分かった。すでに男性の腋臭強度は年齢層が上がると低下することが分かっているが、女性では20歳代から50歳代で年齢層が上がることによる腋臭強度の低下は見られなかった。
耳あかのタイプと腋臭強度の関係については、男性では、耳あかタイプがキャラメル状である群は、湿っていて黄色い・乾燥した群よりも、有意に腋臭強度が高い結果となった。しかし女性は、耳あかタイプが乾燥した群は、キャラメル状である群および湿っていて黄色い群よりも腋臭強度は低い傾向が見られたが、有意な差は認められなかった。
女性の腋臭強度とワキ肌状態の関係を調べると、腋窩の経表皮水分蒸散量(TEWL)に弱い相関が認められた。特に乾燥した耳あかタイプの場合は、腋臭強度と腋窩の経表皮水分蒸散量に相関が認められ、ワキ肌表面からの水分蒸散量が多いと腋臭強度が高いことがわかった。
腋臭のニオイタイプを男女で比較すると、男性・女性ともに主なニオイタイプはM型(ミルク様臭)だった。また、男性で次に多くみられるA型(酸っぱいニオイ)は、女性ではK型(カビ臭)、E型(蒸し肉臭)、C型(カレースパイス臭)よりもさらに少ないことが明らかになった。