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寺澤有「警察を見れば社会がわかる」

東京ミネルヴァ法律事務所、破産の裏側…元武富士社員が支配か、法外な広告料の原資は?

文=寺澤有/ジャーナリスト

<本来消費者金融から過払い金が入金される銀行口座は、事務所営経費とは分別管理する必要がある。ところが、兒嶋氏が送り込んだ経理担当は指示されるまま同氏サイドへの送金を繰り返した>

<取材によれば、リーガルビジョングループの売り上げの7割は東京ミネルヴァに依存していたため、いちばん太い金づるを失った同グループも大打撃だ。また、同グループについては業務の一部が非弁活動にあたる可能性も指摘されている>

武富士事件では吉村洋文大阪府知事の名前も

 実は、筆者と武富士との因縁は深い。

 2003年、武富士は元法務課長の内部告発でさまざまなスキャンダルが発覚し、ジャーナリストらの電話を盗聴していたとして、創業者の武井保雄会長(当時)が逮捕された。以降、武富士の業績は悪化し、過払い金返還請求の急増がトドメを刺す。

 当時、筆者は元法務課長の証言と社内文書を得て、「週刊プレイボーイ」(集英社)で武富士と警察との癒着について連載していた。武富士が警察官らへ金品を提供する見返りに、警察官らが武富士へ個人情報や捜査情報を提供していたなどというもの。当初、警察庁警視庁は全面否定していたが、結局、事実関係を認めざるを得なくなり、警視正を諭旨免職とするなどの処分を行った。

 一方、武富士は筆者の連載を打ち切らせるために、事実的にも法律的にも根拠がない名誉毀損訴訟、いわゆる「スラップ訴訟」を提起してきた。筆者個人も連載1回につき5000万円、合計2億円の損害賠償を請求された。このとき、武富士の代理人で法廷に姿を見せていたのが吉村洋文弁護士、現在の大阪府知事だ。武井会長が逮捕された後、武富士は自らスラップ訴訟を認める形(請求の放棄)で訴訟を終了させた。

 その後も筆者は武富士倒産まで取材を続ける。だから、「ダイヤモンド・オンライン」の記事を読んだとき、「この話は前に聞いたことがある」とすぐに気づいた。案の定、武富士関連の資料を調べると、DSCや兒嶋氏に関するものが見つかった。

法外な広告料の原資は過払い金

 刊誌「紙の爆弾」(鹿砦社)2010年8月号は「『債務整理業』に横たわる『非弁行為』の不法を告発!」と題する記事を掲載した。東京弁護士会(以下、東弁)所属の松永晃弁護士(当時)の証言を中とする内容である。以下、一部引用する。

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