NEW
寺澤有「警察を見れば社会がわかる」

東京ミネルヴァ法律事務所、破産の裏側…元武富士社員が支配か、法外な広告料の原資は?

文=寺澤有/ジャーナリスト

<松永弁護士が言う。「DSCが要求する広告料は不当に高い金額です。私が了承していない金額については支払う必要はありませんが(筆者注・松永弁護士は『自分の与り知らないところで、事務員が広告を発注していた』と主張。事務員は兒嶋氏の知人の元武富士社員)、仮に支払ったとした場合のシミュレーションをしたところ、当事務所は大幅な赤字となり、まったく経営が成り立たなくなります」>

<DSCの子会社に弁護士、司法書士事務所の人材派遣、開業支援を業務とする「Dキャリアコンサル」(DCC)という会社がある>

<DSC周辺の弁護士事務所、司法書士事務所は弁護士、司法書士以外の者が経営しているケースがあり、「非弁提携ネットワーク」とでも言うべき違法な構造ができあがっていた。その中であるDSCは子会社であるDCCを使って、「開業支援」の名の下に弁護士事務所に資金を投入し、人員を派遣し、業務を代行している。ともすれば、これは弁護士を傀儡に仕立て上げたうえでの、事務所支配に繋がりかねないのではないか>

<松永弁護士のケースを考えると、DSCは法外な広告料を弁護士に請求している。入るお金は少ないのに出るお金は多い。では、どうすれば帳尻は合うのか。可能性として考えられるのは、依頼者に返還すべき過払い金に手を付けることだ>

ダイヤモンド・オンライン」が指摘するリーガルビジョン(旧DSC)の手口は、10年も前に「紙の爆弾」が指摘していたことがわかる。

東京ミネルヴァの巨額破産は防げた

 10年前、松永弁護士を取材していた鹿砦社の松岡利康社長が言う。

「松永弁護士は『紙の爆弾』に告発する以外にも、日本弁護士連合会(以下、日弁連)や東弁にも告発文や資料を提出していました。あのとき、弁護士会がきちんと調査、対応していれば、東京ミネルヴァの巨額破産は防げたのではないでしょうか」

 松永弁護士の告発は、どう処理されたのか。日弁連と東弁を取材した。

「現在は(東京ミネルヴァの川島浩代表弁護士の)所属弁護士会である第一東京弁護士会が調査や綱紀、懲戒関係の手続きを進めており、日弁連として、現段階でお答えできることはございません」(日弁連広報課)

「(松永)弁護士個人の情報にあたるので、お答えできません」(東弁広報課)

 このようなコメントで、東京ミネルヴァに過払い金を使い込まれた依頼者らが納得すると考えているのだろうか。兒嶋氏をはじめとする元武富士社員らが支配していた法律事務所は、東京ミネルヴァだけではないと推測される。いずれ、弁護士会の責任も厳しく問われよう。

(文=寺澤有/ジャーナリスト

あわせて読みたい
プレスリリース入稿はこちら サイゾーパブリシティ