2020年5月28日にハーバード公衆衛生大学院を卒業しました!
卒業に必要な単位数は45単位なのですが、最終的に63.75単位分の授業を履修したので、結構大変でした。
素晴らしい同級生や家族に支えられて、ここまでやってこれたことを感謝しています。
さて、今回はハーバード公衆衛生大学院のMPH (Master of Public Health)プログラムについて
- プログラムの内容
- 学期の構成
- 私が一年間で受けて来た授業
「ハーバード公衆衛生大学院に来たら何を学べるのか?」を知りたい人は是非ご一読ください。
プログラムの内容
授業期間
"MPH"とひとことで言っても、その中身は学校によって結構バラつきがあります。
例えば、アメリカのMPHはほとんどの学校が2年間で卒業ですが、人気校のジョンズ・ホプキンスとハーバードは1年プログラムがメインです。
最大のメリットは学費を1年間しか払わなくてよいことですが、終わってみれば「もう1年ぐらい勉強してみたかった」と思うので、どのプログラムを選ぶのかはかなり難しい選択です。
プログラムの中身や実際の生活費などは、卒業生や現役生に積極的にインタビューすべきだと思います。
ただ、実際に入学して授業を受けてみるとほとんどの人は考え方が変わると思うので、フレキシブルな人生プランがあった方がよいです。
プログラムの種類
これも実は学校によって大きな差があります。
私の知る限りジョンズ・ホプキンスのMPHは「疫学」や「生物統計学」といった所属学部がありません。
MPHの学生は1年で幅広く公衆衛生を学ぶ一方、疫学や生物統計学などの学部に紐づいたプログラムはMaster of Scienceという2年間の学位が用意されています。
一方、ハーバード公衆衛生大学院のMPHは下記の9個のプログラムのどれかに所属します。
- Clinical Effectiveness:CLE(臨床疫学)
- Epidemiology:Epi(疫学)
- Global Health:GH(国際保健)
- Health and Social Behavior:SBS(社会行動科学)
- Health Management:HM(対訳不明:医療経営学?)
- Health Policy:HP(医療政策)
- Occupational and Environmental Health:EH(環境医学)
- Quantitative Methods:QM(対訳不明:解析手法?)
- Nutrition(栄養学)
ポイントとしては、
- 基本的にはどのコースも1年間で45単位を取得して卒業
- SBS/HM/HPには65単位コース(1年半で卒業)も用意されている
- Nutritionは65単位のみ
- CLEは夏期から始まり、それ以外は秋期から(夏期から開始することも可能)
- 解析系(CLE/QM)と社会科学系(GH/SBS/HP)に分かれ、それ以外はマイナー
- Epiはオンラインコースなので、ちょっと別枠(よく知らない)
私の所属はCLEで、医師で臨床研究をしたい人のほとんどはCLEかQMに属します。
CLEとQMの差を説明するのは結構難しいのですが、①CLEは夏期コースが必修②CLEは臨床医のみという2点が大きな違いです。
一方、厚労省から派遣の方はSBSやHPが多いと思います。
でも実は、どのコースに所属しても全ての授業から好きなものを履修することが可能なんです。
例えば、生物統計学の回帰分析のコースはGH/HPの学生にも人気ですし、イチローカワチ先生の社会疫学はCLE/QMの学生も多く受講します。
ではプログラムの意味はどこにあるかというと、1つはPracticumと呼ばれる実習が所属単位で行われることです。
どのプログラムでも週一回1時間半、このPracticumに時間が費やされます。
Practicumでは1年間かけてなんらかの成果物を作成しますが、論文ではなくて口頭のプレゼンテーションを求められる場合がほとんどだと思います。
また、自然と同じプログラムの学生と仲良くなりやすく、情報交換も頻繁に行われて受ける授業も似通って来るのは事実です。
学期の構成
ハーバード公衆衛生大学院の学期は- Summer Semester
- Fall Semester 1
- Fall Semester 2
- Winter Semester
- Spring Semester 1
- Spring Semester 2
この中で、CLEはSummer, Fall, Springが必修、それ以外はFallとSpringのみ必修です。
つまり、ほとんどの生徒はFall Semesterの少し前にボストンにやってきて、FallとSpringで45単位取得し卒業します。
一方、CLEは"Program in Clinical Effectiveness(PCE)"というコースからプログラムが開始します。
これはハーバード関連病院群のフェロー(研修医が終わり指導医を目指す臨床医)が受講する夏期集中講座で、6週間で15単位を取得します。
多くのフェローは秋から春までは病院で医師として働き、3年間連続で夏期の6週間PCEに参加することで、15✕3=45単位履修しMPHの学位を取得します。
実はCLEの生徒のほとんど(200名ぐらい?)はこのSummer only CLEに所属しており、通年の"one-year program"に所属するのは留学生6人だけでした。
このPCEの詰め込み学習は結構ハードで、6週間終わると本当にフラフラになります。
CLE以外の生徒もSummerの授業を取ることは可能で、この場合自分の好きな授業だけ取ればよいので、比較的余裕があります。
また、Winterは正確にはSpring Semesterに含まれ、冬休みの一部を使って単位を取る(1日3コマ✕1週間で1.25単位)ことになります。
傾向スコアの授業などはWinterしか開講されないので、受講する生徒が多いです。
GHの生徒などは「メキシコの医療事情の調査」といったフィールドワークに出かけて単位を取得したりもできます。
今回はハーバード公衆衛生大学院のMPHプログラムの概要をご説明しました。
次回は私が受けた授業内容を紹介したいと思います。
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