長崎県諫早市高来町の崖崩れ現場=2020年7月25日午後5時26分、本社ヘリから
長崎県諫早市・轟峡

 25日午後3時35分ごろ、長崎県諫早市高来(たかき)町で「崖が崩れている」と付近の飲食店従業員から110番があった。県警諫早署や県央消防本部などによると、通行中の母子3人が巻き込まれ、小学生の娘(8)と母親(40)が心肺停止状態で市内の病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された。中学生の娘(12)は救出され、けがをしているが命に別条はないという。

 同署などによると、母親ら3人は家族5人で長崎市から観光に来ていた。40代の父親と10代の小学生の息子は無事だった。現場は轟峡(とどろききょう)と呼ばれる渓谷で、5人で遊歩道を下っている途中で後ろを歩いていた母親ら3人が、高さ約10メートル、幅約20メートルにわたる崖崩れに巻き込まれたとみられる。中学生の娘は崩れてきた土砂から顔が出ていたという。

 近くの轟峡キャンプ村を運営する諫早観光物産コンベンション協会によると、崖崩れが起きたのは、轟峡のうち「轟の滝」に向かう諫早市管理の遊歩道付近とみられる。7月上旬の九州豪雨で一部の橋が壊れるなどしたため、キャンプ村の利用は中止していた。協会の担当者は「23日夜から24日朝にかけて強い雨が降った。遊歩道の斜面がたくさんの水を含んで崩れたのではないか」と話した。

 気象庁によると、諫早市の今年7月の総降水量は、平年の倍以上となる920ミリを超えていた。6日には213ミリを記録するなど1日あたり100ミリ以上の降水量を記録したのが4日間あった。24日午前3時ごろの1時間雨量は50・5ミリを観測していた。

 同協会によると、轟峡周辺は清流を楽しめる観光スポットとして人気で、夏場を中心に年間約3万8000人が訪れるという。【田中韻、松村真友、中山敦貴、平川昌範、宗岡敬介】