「和歌山モデル」は東京とは真逆 重症者治療も広く定義
東京都が重症者の定義を勝手に狭く変更し、過少報告していた一件。厚労省の定義に入っている患者を重症者にカウントしていなかった。「重症者は少ない」との誤解を招き、「深刻さ」を隠す結果となった。その真逆なのが、和歌山県だ。「重症者」をあえて広く定義して“重症化手前”の患者にも手厚い治療を実践している。
厚労省が4月下旬に出した通知では、①集中治療室で治療②人工呼吸器を使用③ECMO(人工心肺装置)を使用――のいずれかに当てはまる場合を重症者と定義し、国への報告を求めている。ところが、都は①の患者を重症者に入れず、報告していた。
■県民の命を優先
和歌山県は、国に対しては厚労省の定義に当てはめた重症者数を報告しているが、県独自に「酸素投与」の患者も重症者にカウントしている。人工呼吸器の手前だ。重症者扱いになると、ケアするスタッフも増え、経験豊富で腕のいい医師がつき、人工呼吸器など設備の充実した病院が受け入れることになるという。県の担当者が言う。