“国の基準”との差はなぜ生じる? 東京都の重症患者数の考え方とは

 東京都の新型コロナウイルス感染症の重症患者数について、厚生労働省が示す“国の基準”で集計した場合、発表よりも多くなることが指摘されている問題。20日午後、東京都のモニタリング会議を開催され、国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長が、「ECMOなどを使った人工呼吸管理を行っている患者を重症と考える」とする都のモニタリング指標(重症患者数)について説明した。

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 会議で大曲医師は、患者のICU(集中治療室)の入退室の基準については病院の状況によってまちまちである一方、人工呼吸管理やECMOの導入は病院や医師による判断の差が生じにくいことから、客観性の高い共通基準、トレンドの把握に活用しやすいと説明。

 また、重症化リスクが高い患者もICUで管理する現場があること、ICUに入っていても人工呼吸管理やECMOの使用のない患者もいること、逆にICUに入ってはないが人工呼吸管理やECMOの使用のある患者がいることを挙げ、「ICUに入室したからといって、必ずしも重症であるとは限らない」「ICUを含めないことで、何をモニタリングしているかが明確になる」と指摘。他方、人工呼吸管理やECMOの使用は医療機関において様々なリソースを必要とすることから、「医療提供体制の明らかな負担になり、その大きさの目安としてもわかりやすい。また、回復しなければ使わなくなるものなので、数えることでリソースとの差も把握しやすい」とした。

 モニタリング会議では、都の感染状況について「数字は下がっているとは言いにくい」として「感染が拡大していると思われる」(4段階のうち最高レベル)、また医療提供体制についても「医療提供体制についても病床の確保はしっかりされているが、重症者数を気にしている」として「体制強化が必要であると思われる」4段階のうち上から2番目のオレンジ)をそれぞれ継続。小池都知事も、引き続き「感染拡大特別警報」を発信していくとした。(ANNニュース)