これぞ競輪! 松浦悠士(29=広島)が激闘を制して、昨年11月の小倉競輪祭に次ぐ2つ目のG1タイトルをつかんだ。

脇本雄太(31=福井)のまくりに合わせて内に潜り込み、執念の“頭突き”2発で脇本を失速させた。年末のKEIRINグランプリ(GP)行きを決め、今年の獲得賞金も1億円を突破した。2着は脇本、3着には古性優作が入った。

肉体と肉体の激突、そしてライン、同期との絆。松浦が競輪の醍醐味(だいごみ)を存分に発揮し、オールスターを初制覇した。「競輪選手である以上、タイトルは常に欲しい。宮杯(6月高松宮記念杯)で悔しい思いをしたので、うれしい」と素直に喜びを口にした。

執念の勝利だった。同期の原田が打鐘前から気迫の先制攻撃。間髪入れず飛んできた脇本に、松浦はブロックを1発見舞った。「あれで波をつくってもまた来る。少しでも消耗してくれれば」。すかさず脇本の内へと潜り込むと、最終2角で体を当てながら、一般的に「重い」とされるイン並走から盛り返した。4角出口でとどめの“頭突き”を2発。これにはさすがの脇本も力尽きた。「(体が)当たることでフォームが崩れると思った。一矢報いた感じ。タテの足では厳しいので、全てを使って勝てた」と松浦が胸を張った。

これで文句なしで2年連続GP出場権を得た。今年の獲得賞金も1億円を突破。果敢に風を切った原田も「うれしいけど、松浦さまさま。あいつやけん、勝てた」と驚くほど強い。

それでも、松浦はまだ上を見る。「これが自分だけの力ではどうかと、課題が残る。個人の力で倒せて、(脇本を)越えられたと思う」。8番手からのまくりで脇本に迫り、3着となった高松宮記念杯後、松浦は「秘策はあと2つある」と話していた。自力での脇本撃破こそが最高の喜びだ。

「競輪」の松浦と「ケイリン」の脇本。令和の輪界2大スターの競演は、まだまだ続く。【山本幸史】

◆松浦悠士(まつうら・ゆうじ)1990年(平2)11月21日、広島市生まれ。市広島工卒。高校で自転車競技を始め、競輪学校(現養成所)98期在校13位として10年7月13日に熊本でデビュー(予選1着、準決3着決勝2着)。G1タイトルは昨年11月の競輪祭(小倉)に次ぎ2つ目。今年3月にG2ウィナーズC(福井)も制している。通算874戦239勝。通算獲得賞金は3億8341万1011円。168センチ、73キロ。血液型O。