【米大統領選2020】 下院議長、郵便公社「救う」ため下院招集 郵便投票めぐり

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米野党・民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は16日、アメリカ郵政公社を守るための法案を審議するため、休会中の連邦下院を再開し、今週後半にも採決する方針を示した。ペロシ議長は公開した書簡で、ドナルド・トランプ大統領が郵便公社を縮小し、郵便投票を困難にすることで、11月3日に迫る「大統領選を妨害する運動を展開」していると非難した。

ペロシ議長は書簡で、今年5月に就任した郵政トップのルイス・デジョイ郵政長官による郵政公社改革計画が、「郵便サービスを劣化させ、配達を遅らせ、そして郵便公社そのものが言うように、近づく選挙でアメリカの有権者が適切なタイミングで郵便投票できないようにしてしまう」と批判した。

「大勢の命や生活、そしてアメリカの民主主義の命脈が、この大統領によって脅威にさらされている」と、ペロシ議長は書いている。

その上でペロシ議長は、今年年初の時点で米郵便公社が提供していた郵政サービスや事業内容の変更を認めないという法案を審議するため、今週から下院に戻るよう議員たちに呼びかけた。郵便集配の規模を縮小できないようにするこの法案について、採決日はまだ決まっていない。

新型コロナウイルスのパンデミックが続くなか、11月3日の大統領選では記録的な人数の有権者が事前に郵便で投票することが予想されている。

そうしたなか、トランプ大統領は郵便投票が選挙不正につながると根拠を示さず主張してきた。ただし、トランプ氏自身が投票は郵便で行っている。

米郵便公社は先月、各州に送付した通知で、「特定の締め切り(中略)は郵便公社の配達基準に適合していない」などと述べ、大量の郵便投票が開票日までに選挙管理当局に届かない恐れがあると警告していた。

デジョイ郵政長官は、トランプ氏の忠実な支持者で、トランプ氏が指名した。そのため、デジョイ氏が配達遅れの原因となっているとの批判も出ている。

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ペロシ議長はさらに、デジョイ郵政長官をはじめ郵便公社幹部に対して、今月24日開かれる行政監視政府改革委員会の「緊急」公聴会に出席し、証言するよう求めた。

大統領選の郵便投票と郵便公社の集配業務縮小については、バラク・オバマ前大統領を含め多くの民主党員が、トランプ大統領が「選挙を損なう」ために郵便投票と郵便公社を攻撃しているのだと、強く非難している。

トランプ氏は13日、フォックス・ビジネス・ネットワークの電話取材に対して、郵便公社への補助金を拒否したのは郵便投票に反対しているからだと発言している。トランプ氏はかねて、郵便投票が自分の選挙活動に不利になると訴えている。また、郵便投票を認めれば、不正確で不正だらけの選挙になると、根拠を示さずに繰り返し主張している。

「郵便局が、何百万もの投票用紙を受け付けられるようにするには、それだけの(補助金が)必要なわけだが、(補助金承認を)我々が拒否すれば、郵便局は金を受け取れない。そうすれば、全国一律の郵便投票が実現しない。郵便投票ができなくなる」と、トランプ氏は発言していた。