トランプ氏、郵便公社への補助金を拒否 郵便投票減らすため
ドナルド・トランプ米大統領は13日、郵便公社に対する追加の補助金を認めない考えを示した。11月に予定されている大統領選で郵便投票が増え、野党・民主党に有利になるからだとしている。
米大統領選では、新型コロナウイルスのパンデミックを受け、多くの人が郵送による投票を行うと予想されている。
トランプ大統領はかねて、郵便投票が自分の選挙活動に不利になると訴えている。また、郵便投票を認めれば、不正確で不正だらけの選挙になると繰り返し主張している。
民主党はこの主張に反発。国民が投票によってトランプ氏を敗北させるのを、同氏が阻止しようとしていると批判している。
最新の世論調査では、トランプ氏と民主党の対立候補ジョー・バイデン前副大統領の争いは接戦となるとみられている。
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トランプ大統領は12日、郵便公社に対する250億ドル(約2兆6700億円)の緊急補助金や35億ドルの選挙警備費について、高すぎるために承認しないと発言。
13日にはフォックス・ビジネス・ネットワークの電話取材で、補助金を拒否したのは郵便投票に反対しているからだと述べた。
「(郵便公社は)この35億ドルを詐欺に使おうとしている。これは基本的には選挙の資金だ」
「彼らは何百万もの投票を受け入れられるよう、郵便局の体制を整えるために資金が必要だ」
「だが我々が認めなければ、金は手に入らない。(事前に郵便投票用紙を送る)全郵便投票ができなくなるというわけだ」
アメリカでは、軍隊などが郵便投票を採用している。トランプ氏の主張とは裏腹に、郵便投票が詐欺の対象となったり、特定の政党に有利にはたらくといった証拠はほとんどない。
「我々の民主主義と経済への攻撃」
バイデン氏の報道官を努めるアンドリュー・ベイツ氏は声明でトランプ氏を批判。「この国の大統領は、ここ100年で最も悲惨な公衆衛生の危機の中でも安全に投票するというアメリカ国民の基本的権利を奪うために、何億人もが依存している基本的なサービスを破壊し、地方経済や医薬品の配達にとって重要なライフラインを切断しようとしている」と述べた。
「これは、アメリカ国民に事実を突きつけられるのを恐れる男による、我々の民主主義と経済への攻撃だ。この男はあらゆる権力を使い、何カ月にもわたって自分がやったことの責任から逃げている」
アメリカの郵便システムでは現在、配達量が縮小している。これは、トランプ氏が任命した郵政トップの政策のせいだと批判する声もある。
ルイス・デジョイ郵政長官は、郵便投票を阻止する政策を展開しており、これが郵便サービスへの不振を招いていると非難されている。
デジョイ長官は、過去20年で初めて、郵便公社出身ではない長官。トランプ氏の選挙事務所や多くの共和党議員に多額の献金をしていることで知られる。