【実録・連合赤軍】 どんなホラー映画よりも恐ろしい実話だった | エンタメ&アート系 神映画ランキング

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$ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選


評価:★★★★★


◆ 今まで観た映画の中で一番怖い

いやあ、参った。
以前『突撃せよ!あさま山荘事件』という映画を観て、
また似たようなもんなんだろうとスルーしていたのだが。
全然別物じゃないか。
っていうか、初めて知ったよ、連合赤軍の恐ろしさ。

背筋が凍った。
心底怖かった。
どんなおバカ映画よりも愚かで、どんなホラー映画よりも恐ろしい。
ホラーやオカルトを含めて今まで生涯観た映画の中でダントツに恐ろしかった。
強盗や交番襲撃や浅間山荘なんて全然怖くない。
「総括」「死刑」「敗北死」と称して、
12人もの仲間を次々となぶり殺したリンチが凄まじいのだ。
現実だからね。
リアリティがあるじゃなくてリアルそのものだから。
怖い。怖すぎる。

殺すときの理由がすごい。
森恒夫の場合、口調がちょっと生意気な部下は殺す。
永田洋子の場合、自分より顔が可愛い女の子を殺す。
「完全な共産主義化のための総括」という意味不明な責め文句で
実態はやくざでもやらないような揚げ足とりのインネンばかり。
銃の傷を見逃したとか、キスをしたとか、化粧してるとか、服を着替えたとか。
リンチに積極的に参加しなかったから殺すとか。

なかでも永田洋子による遠山美枝子さんに対する粘着虐待は恐ろしい。
グループのボス永田陽子はインテリ女にありがちなブス顔。

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← 永田洋子。これは女優さん。本物はもっと鬼ババアな醜女だったらしい。















一方遠山さんは過激派らしからぬ顔も性格も可愛い女性。

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そんな可憐な美枝子さんを永田は執拗に責める。
「なんで髪を伸ばしてるの?」
「なんで化粧してるの?」
「なんで服を着替えてるの?」
「革命するのにお洒落は必要ないでしょ!」
しまいには「総括」と称して、
殺害した別の女性の死体をボコボコに殴らせて土に埋めさせる。
それで終わりかと思いきや、
今度は、罵声を浴びせながら自分で自分の顔を殴らせる。
目がつぶれ、唇が裂けて、顔が腫れ上がったところで鏡を渡す。
「ほら、男に媚を売ってきた顔がどうなったか見てみなさい」と。

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そして手足を縛ってトイレにもいかせずに死ぬまで放置。
「汚い女だなあ」と罵倒する。

美枝子さんは糞尿にまみれ、恐怖と苦痛で気が狂っていく。
「痛い・・私の手を切って。お母さん、美枝子が幸せにしてあげるからね。寒い、寒いよ」
とうわ言をいい始める。
そんな彼女をさらに罵倒する。
「やかましい!」

こんな感じで次々と無抵抗なまま、寄ってたかってなぶり殺しにされる。
12人も続く、12人!
その中には赤ん坊を宿した妊婦も含まれていた。
これを鬼畜といわずして、何を鬼畜というのだろう。


◆ 世界3大虐殺者
 
 
連合赤軍リンチ事件が通常の連続殺人事件と決定的に違うのは、
殺人者が特殊なサイコキラーじゃないことだ。
いたって普通の人たちの集団による連続殺人であること。
思想の対立、内輪もめや仲間割れとかではなく、
無抵抗な人たちへのなぶり殺しであること。
白昼堂々、多くの人が見守る中での公開殺人であること。
正義の名の元に行われていること。

凶悪犯やマフィアとは異なるこれらの特徴を持つ連続殺人は極めて稀であって、
「魔女狩り」や「独裁ファシズム」のような歴史上の出来事でしかみられない。

世界3大虐殺、大量虐殺した人数の多い順を調べてみた。

1位 毛沢東
2位 スターリン
3位 ヒトラー

毛沢東とスターリンは共産主義。
暴力的なのは右翼で、左翼は平和主義じゃないのか?
あれ?ヒトラーは?
右翼?左翼?

って調べてみたら・・・
ナチスって、正式名称「国家社会主義労働者党」。
思いっきり左翼じゃん。
ナチスがスターリン共産主義と戦ってたのは、
どうやら左翼同士のウチゲバらしい。
ナチスって右翼じゃなかったのか?

っていうか、虐殺ランキング、左翼の独壇場なのか?
左翼って暴力好きなのか?
左翼って全体主義なのか?
左翼ってファシズムなのか?

◆ 左翼=右翼?

暴力は右翼の専売特許だと思ってた。
迷彩服きて街宣車で軍艦マーチを鳴らせながら、
時々銃弾を打ち込んだりする怖い人たち。
「戦争が好き」「暴力が好き」というのが右翼のイメージ。

左翼はそういう人たちの反対かと思ってたんだけど。
連合赤軍の言っていること、やってることは軍国主義そのものなんだよね。
「銃による殲滅戦」とかさ、よーするに話し合いでは解決できないから
「片っ端から殺してしまえ!」ってことだ。
上司への命令に絶対服従、口答えは一切許さんとか、
第二次大戦中の大日本帝国軍とまったく同じ。
クッキーのつまみ食いすら許さないのも「贅沢は敵だ」って国家総動員だし、
ちょっとでも違う意見を言ったらリンチってのも非国民と同じ。
左翼と右翼って同じなのか?

前から、右翼と左翼の違いとか、社会主義と共産主義の違いとか、共産主義と全体主義の違いとか、
わかるようでよくわかんなかったが、
ますますわからんくなってきた。
ええい、この際、勉強してしまえ!

まず、ナチスって一体何?
国家社会主義だから左翼だけど、
国粋軍国主義だから右翼だよね。
結局、左翼であり右翼でもあるってことか。

さらにナチスがすごいのは、民主主義で政権を得ているってことだ。
共産主義は暴力革命ばっかりだけど、ナチスは合法的に選挙で勝っているし、
その後も何度も選挙で民意を確認している。
民意で選ばれて独裁を行ったということなんだね。
つまり、ナチスって、右翼かつ左翼、民主かつ独裁ということか。

民主主義と独裁主義は両立するんだね、実は。
民主主義とは多数決だから、多数決で独裁が決まれば民主主義で独裁になるんだ。
民主主義ってのも結構怖いよね。

◆ 自由主義⇔全体主義

というわけで、もう左と右に分けるのをやめて、
個人の思想・言論・行動の自由を守ろうとする「自由主義」と、
そういう自由を許さずに統制・弾圧する「全体主義」とに分けよう。
軍国主義も共産主義も同じく暴力で国民を抑えつける全体主義だ。

この映画を観ると、なぜ共産主義が全体主義とつながるかがよくわかる。
共産主義の思想は自然の法則とは反しているため、
自然の流れに任せておくと国民の大多数が共産主義に賛同するなんてことは起こりにくいからだ。
だから世界史でも共産政府は暴力による革命とその後の大規模な粛清によってしか成立しない。
生来的に共産主義は恐怖による思想統制と物理的暴力を使わないと権力を奪えないのだ。

もっとも共産主義者のなかにも、暴力ではなく選挙によって政権をとろうとするものもある。
今の日本共産党もそうらしい。
だから万年マイナー政党なんだね。
かわいいじゃないか、よしよし。
でも共産党内部では発言の自由は禁じているので思想統制は捨てれないようだ。
やっぱり、軍国主義と共産主義はどっちも同じ「全体主義」だな。
今は、一部を除いてほとんどの国は資本主義がほとんでで、
社会主義も民主的な社会民主主義のどっちかだから、
「自由主義」でOKってことだな。


◆ ジョークのような矛盾

連合赤軍に話を戻す。
彼らは何度も「民衆を抑圧する権力と闘う」という言葉を使う。
でも山岳ベースで次々とリンチで仲間を殺していく森と永田の姿こそが、
「権力による抑圧」そのものだったりする。
問答無用に反論の機会を与えず、恐怖によって個人の思想・行動の自由を奪う。
まさにこれこそが権力の横暴、恐怖政治、全体主義だ。

彼らはそのジョークのような自己矛盾になぜ気づかなかったのだろうか?
いや、実は気づいていた人も多かったのだろう。
リンチで殺されるのが怖くて言い出せなかったのだろう。
おそらくは狂っていたのは森、永田、そして一握りの幹部だけだったのだろう。
まさしく独裁軍事国家のミニチュア、そのままだ。

というわけで、
共産主義=全体主義
という理解で問題なさそうだが、
それを共産主義者に言うと「共産主義と全体主義は違う!!」と激怒する。
実は暴力革命による政権奪還は一時的なものであって、
最終的には、政府や国家による強制がなくても、
大衆が自ら進んで共産体制を続けるユートピアが来るのだという教義らしい。
そういえば、みんな大好きなジョンレノンの『イマジン』の歌詞がそうだ。
実際にはそんなことあり得ないから、いつまで経っても共産主義は全体主義なのだが。

この映画を観て日本共産党への心象が変わった。
ひどく良心的な集団に思えてきた。
党内部の運営が全体主義なのは他人に迷惑をかけないので問題ない。
日本共産党が存在する限り、連合赤軍のような過激派が勢力を拡大することはないだろう。
是非このままの調子で民主主義による共産化を夢見て永久にマイナー党であり続けて欲しい。