ITサービスには不都合がつきものであるが、不都合に遭遇したユーザとのコミュニケーションもまたスマートフォンアプリ業界では数多くのツールを組み合わせて対処している。例えばZendeskのようにメール、チャット、FAQを組み合わせて利用者に適切なサポートを提供するツールは多くのWebサービス大手が導入しており、低コスト・短期間でサポートの品質を上げることができる。今後の感染拡大に備え、電話以外のサポートチャネルの強化はセルフサービスの拡充を含めて急務であろう。

 検査をスムーズに受けられる仕組みも強化すべきであろう。アプリから通知を受けた人は今までのクラスタ追跡では見つけられなかった人であり、通知を受けた人が検査の対象となるよう各自治体での積極的な検討をお願いしたい。

中国最大のEC「タオバオ」ではPCR検査のデジタルチケットを購入することができる。抗体検査とセットで申し込むことも可能だ 拡大画像表示

 そして今回いちばん驚いたのは、自費でのPCR検査がとてもスムーズであったことだ。PCR検査に保険を適用し公費を支出する以上、公平性の観点から様々な制約が課されることは致し方ないと思う。自費であればそうした制約がないので、これを拡充するのも一つの手ではないだろうか。

 中国の大手EC「タオバオ」ではPCR検査のデジタルチケットを購入することができる。誰でも購入でき、アプリから最寄りの会場と時間を指定するだけですぐに受診することができる。全額自費であるがわずか145元(2200円)で受けられる。行政の対応に頼らない民間での取組として注目されている。

 アプリやWebサービスの運用は専門的であり、山積するCOCOAの課題を行政だけで解決することは困難だと考える。官民の枠を超えて協力し合うことによりCOCOAの実効性を高めていくべきだ。