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外れスキルの不遇魔導士、ゴミ紋章が王国軍ではまさかのチート能力扱いだった〜国営パーティーの魔王攻略記〜 作者:たにどおり

第ニ章【トロイメライ祭】

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第17話 トロイメライ騒乱

 

 祭で賑わっていたトロイメライの街は、混乱に突き落とされていた。

 あちこちから響く銃声や悲鳴が、その凄惨さを表していた。


「エルドさん! この先の交差点でグレムリンロードが冒険者と戦闘中! 苦戦してるみたいッス!」

「全く遊撃部隊ってのはこき使われるな、少佐からの指示は?」

「今は混線が酷くて繋がりません、なのでさっき言われた指示を優先します」

「つまりなんと?」

「『発砲を許可、住民や冒険者を助けつつコロシアムまで来い』とのことでした」


 なぜコロシアム? 少佐の狙いはわからないが、今はその指示だけが頼りだった。

 しかし――――――


「民間人はわかるが、冒険者なら自分で戦えないのか?」

「彼らは中級以下の冒険者ギルドです、上位種ばかりのモンスター相手じゃ歯なんて立ちませんよ」


 なぜ雇うにしたって【オールドブレイズ】のような上級ギルドにしなかったのだろう、数だけ揃えてもモンスター相手には無駄だというのに。


「エルドさん! あそこです!!」


 そんなことを考えていたら、もう交差点に着いた。

 なるほどこれはひどい......、黒く小柄な体躯をしたグレムリンロードの集団が暴れまわっていた。


 当の冒険者は既に潰走かいそうしており、剣士がこちら目掛けて逃げて来ている。


「アイツら強すぎる! 誰か助けてくれえ!!」

「おい! 横に飛び退いて伏せろ!!」

「えっ!?」

「早く飛び退け!! 死にたいのか!!」


 冒険者が横へ回避すると同時にサブマシンガンを斉射。

 剣士の後ろに迫っていたグレムリンロードに風穴を開けた。


「......き、君は!?」

「俺たちは王国軍だ! ここは軍に任せて早く後ろへ下がれ!」


 仔猫を脇に抱きながら冒険者を逃がす。

 その間も、グレムリンロードはこちら目掛けて突進してきていた。


「なんつー大群だよ!! 追いつかねえ!」

「輸送船からも逃げて来たんでしょうね、この量はさすがにキツいッスよ!!」


 ひたすらに撃ち続ける、乾いた発砲音が重なり、たちまちグレムリンロードの死骸の山が出来上がっていった。

 こいつら銃を恐れてないのか? 戦闘狂にも程があるぞ!


「セリカ! 下がれ!!」


 エンチャントを発動、サブマシンガンの弾に炸裂魔法を付与してバラまいた。


「グギャアッ!!??」


 押し寄せていたグレムリンロードを爆発でふっ飛ばし、撤退のスキを作る。

 俺たちは自分の元の持ち場へと走った、冒険者をそちらへ逃したのも、この方向に希望があるからに他ならない。


 そして、その期待は現実のものとなって目の前に現れた。


「素晴らしい......! 国営パーティーのお仲間だ!!」


 防衛線に陣取っていたのは、朝に運搬されてきたあの『魔導戦車』が2両。

 随伴歩兵も30人以上おり、俺たちが土嚢の向こう側へ飛び込んだ瞬間――――それは放たれた。


『目標正面グレムリンロード! 班集中――――撃てッ!!!』


 轟音が空気を叩いた。

 発射された57ミリ対戦車榴弾が、目前に迫っていたグレムリンロードを粉砕したのだ。


「まだ来るぞ! 撃てッ! 撃てッ!!」


 土嚢を盾にして俺たちは撃ちまくった。

 烏合の衆とは違う、規律統制された部隊による組織的な防衛戦闘によって、グレムリンロードは為す術もなく全滅した。


 中級ギルドとは明らかに違う、洗練された効率的な戦い方だった。


「よーし撃ち方やめ! 君たちはさっきまでここにいたな。中央軍の部隊か?」

「はっ! 中央軍のレーヴァテイン大隊であります」

「レーヴァテイン? あの独立機動部隊か! ならその最新装備も納得だな」


 20代後半くらいの小隊長はサブマシンガンを見て頷く。


 俺たち以外は、ほぼ全員が1発ずつしか撃てないライフルを持っていた。

 このように連射できる銃は、まだまだ配備されていないのだ。


「あのっ、よろしければこの戦車でコロシアムまで送ってくれませんか!?」


 突然無茶なことを言い出したセリカに、小隊長も俺も困惑する。


「コロシアムにもモンスターがいると聞くが、なぜ貴官はそこへ?」

「大隊長より命令を受けてのことです、ですがわたしたちの火力のみで突破は不可能です。戦車の支援を受けさせてはもらえないでしょうか?」

「大隊長......? ジーク・ラインメタル少佐か。なるほど......」


 小隊長さんは悩んでいるようだった。

 確かに戦車がいれば頼もしい限りだが、はてさて......。


「俺は大丈夫ですよ小隊長殿、ついでに敵の数も減らしてやりますよ」

「――――わかった、ここはひとまず片付いたし1両だけ貸してやろう。だが無理だと悟ったらすぐに戻ってもらう」


 戦車長の後押しで、なんと支援を受けられることが決まった。

 世の中頼み込んでみるものだと、セリカを見て思う。


「だってよお嬢ちゃん、小隊長殿のお許しが出たぜ。おいそこの兄ちゃん!」

「え、はい!」

「機銃座に着いてくれ、さっきガンナーがスケルトンメイジにやられてな。軽症だが戦線には戻れそうにない、お前が撃ってくれ」

「まっ......、マジですか」


 戦車の上に乗り、歩兵では到底持つこともできない大口径機関銃を操作した。

 アーチャースキルや付与魔法エンチャントがあるとはいえ、俺がうまく当てられるんだろうか......。


「それは7.62ミリ機関銃ッス、とにかく撃ちまくれるトリガーハッピー専用の銃なので、民家や人への流れ弾だけ注意して撃てば大抵当たります」

「ホントだな?」

「その嬢ちゃんの言う通りだ、近づいてきたヤツにはぶっ放してやれ! 撃ち放題だからよ!!」


 戦車のエンジンが掛かる

 あぁーもう! こうなりゃヤケクソだ!! とことんやってやらあ!!


 レバーを操作し、弾丸を薬室に装填した。



次回はトリガーハッピー回です。

多大なる応援をくださる同志読者のあなたに感謝を......。

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