十三非常階段
●TRANSFORMERS  カレラ(グリーン)
South American G1 TRANSFORMERS ROBOCAR CARRERA Green 108

1984年に誕生した『トランスフォーマー』シリーズは
本国アメリカで爆発的な大ヒットとなり、翌年1985年以降は
ヨーロッパを始め日本も含む各国で展開する世界的なトイシリーズとなった。

G1初期からそれぞれの国で独自の展開を行ったトランスフォーマーだが、
殊にブラジル、ペルー、アルゼンチン等の南米の国々で発売された
いわゆる『南米版トランスフォーマー』は、非常に特殊なTFシリーズであった。

欧米や日本のTFトイとはラインナップが大幅に異なる南米トランスフォーマーは、
トランスフォーマーを追い求めるコアなファンが一度は直面する謎多きTFシリーズである。



G1トランスフォーマー 南米ミニボット カレラ 146  ◆ 名前 : カレラ

  ◆ 役割 : 戦闘員

  ◆グループ: ロボカー

  ◆ 変形 : ポルシェ・924ターボ


  ◆シリーズ: TRANSFORMERS

  ◆ 発売 : 1985年

  ◆ 価格 : 日本未発売




Algentinian TRANSFORMERS ROBOCAR CARRERA Green Package

パッケージ

パッケージスタイルは、アメリカを始めとする世界各国で発売された
ブリスターパック版と同様で、カードには大きくクリフのイラストが配置されている。



South American TRANSFORMERS ROBOCAR CARRERA Box Art Illust 080

世界中で発売されたトランスフォーマーと異なるのは、ロボットのイラストは同じでも
オートボット(サイバトロン)の軍団マークが無い事である。

胸部にはオートボットマークではなく、トイに貼付されているステッカーの
デザインをイラストに採用している所が、南米版ミニボットの特徴の一つ。




South American G1 TRANSFORMERS ROBOCAR CARRERA Porsche 924 Turbo 199

ビークルモード

ポルシェ・924ターボをモチーフにしているが、
元々ミクロマン・ミクロチェンジシリーズ時代は
チョロQをロボットに変形させるというコンセプトだった為、
大幅にディフォルメされたチョロQスタイルのカーモード。



South American G1 TRANSFORMERS ROBOCAR CARRERA Porsche 924 Turbo 205

サイド

チョロQスタイルのトイの為、後輪は大型に、
前輪は小さいサイズとなっており、更にゴムタイヤを使用、
ホイール部はメッキ処理が施されている。

当時は最安値アイテムのミニボットでも、ゴムタイヤや
メッキを取り入れていた事が時代を感じさせる。



South American G1 TRANSFORMERS ROBOCAR CARRERA Porsche 924 Turbo 202

リア

ロボットモードでは後頭部に当たるリア部には
メッキ処理が施され、その上にステッカーが貼付されている。

ステッカーのデザインは南米版ミニボット独自の物で、
カレラだけでもバリエーションが多数存在する。




South American G1 TRANSFORMERS ROBOCAR CARRERA Porsche 924 Turbo 215

カレラ初期ミニボットクリフと同型のアイテムで、
鮮やかなグリーン成形色のクリフ型トイ南米版でのみ発売された。

当時、トランスフォーマートイの中心となっていたアメリカやヨーロッパ、日本以外の
南米諸国で発売された為、偽物やコピー品等の非正規品と勘違いされる事もあるが、
南米トランスフォーマーはライセンス契約で生産された正規のTFアイテムである。




トランスフォーム!
South American Transformers ROBOCAR CARRERA Transform




G1 南米トランスフォーマー ロボカー カレラ 141

ロボットモード

G1初期ミニボット・クリフと同型のTFトイで、
赤いボディクリフとは反対色のグリーンが目新しい。

クリフとの違いは成形色の他、オートボットマーク
シークレットエンブレムのステッカーが無い事で、
ミニボットの基になったミロチェンジシリーズ時代の様な
ステッカーがボディに貼付されている事が特徴となっている。



G1 南米トランスフォーマー ロボカー カレラ 143

リア

通常版のクリフと同様に背中のパーツはダイキャスト製で、
その他の全身も造形的にはクリフと同じだが、日本製ではなく
ライセンス生産により南米で製造しており金型が異なる為、
各部のモールドが若干甘い感がある。

独自の成形色が特徴のカレラだが、グリーン成形色だけではなく、
数色のカラーが用意されていた事が南米ミニボットの特徴。




South American G1 TRANSFORMERS ROBOCAR CARRERA 187

後にG1と呼ばれる最初のトランスフォーマーが誕生したのは1984年、
アメリカの玩具会社ハズブロと日本のタカラが提携した中で生まれたトイシリーズだ。

日本のロボット玩具シリーズのダイアクロンミクロマン・ミクロチェンジシリーズ
アメリカで発売するに当たり、トイはほぼ同じでも世界観や設定面を一から作り直し、
玩具販売だけではなくコミックス発売やアニメ放送も行うメディアミックスで大成功を収めた。



G1トランスフォーマー 南米ミニボット カレラ 193

その余波は世界中に伝播し、欧米文化が及ぶあらゆる地域に
トランスフォーマーの名を知らしめる事となり、
勿論、中米及び南米各国も例外ではなかった。

南米版トランスフォーマーが他の国々で展開したTFシリーズと
異なっていたのは、基本となるアメリカ版トランスフォーマーとは
懸け離れた独自の展開を行っていた事だ。




Algentinian TRANSFORMERS Mini-Vehicle ROBOCAR CARRERA 162

世界中で発売されたトランスフォーマーは、本国アメリカではハズブロ社が、
日本ではタカラ、イタリアではギグ社がトイを発売している様に、
ライセンス契約した各国の玩具会社がTFトイを販売していた。

G1当時の南米地区では、エストレラ社(ESTRELA)がトランスフォーマー玩具を
販売していたが、後にアルゼンチンではアンテックス社(ANTEX)が引き継ぎ、
欧米や日本とは異なる独自のTFトイがラインナップされていた。



G1 トランスフォーマー 南米版ミニボット ロボカー カレラ グリーンボディ 241

最も種類が多かったのは、ミクロマン・ミクロチェンジシリーズ
ミクロロボットCARを起源とするミニボットのトイである。

写真のカレラもその一つで、G1初期に発売された小型TFで構成されており、
バンブルクリフチャージャーゴングギアーズドラッグの名で知られる
初期ミニボット型のトランスフォーマーが選ばれている。



ミニボット 昭和ミクロマン ミクロチェンジシリーズ ミクロロボットカー 7種類 188

加えて、トランスフォーマーではバンブルジャンパーバンパー等の
俗称で知られるミクロロボットCARファミリア1500XGタイプが
正規アイテムとしてラインナップされていたのも南米TFならでは。

即ち、ミクロチェンジミクロロボットCARと同じ種類のラインナップだったが、
アメリカントラックドラッグ型はペルーのみで発売された模様で、
南米ミニボットドラッグ型を除く6タイプが主流だった。



G1 南米トランスフォーマー ロボカー カレラ グリーンボディ 152

南米ミニボット初期ミニボット型のトイが採用されていたのだが、
バンブルなら黄色」、「クリフなら赤」というキャラクター毎に
決まっているボディカラーだけではなく、各キャラクター全てに
別色バージョンが同時発売されているので種類は異様に多い。

このカラーバリエーションは、発売された国によっても異なっていた。




G1トランスフォーマー 特色版ミニボット レッドバンブル グリーンカレラ イエロークリフ 181

アメリカや日本で発売された初期販売分に、カラーバリエーションの
レッドバンブルイエロークリフを意図的に混入した例もあるが、
南米TFの場合は比較にならないほどカラーバリエーションが豊富だった。

ブラジルでは1タイプに4色のカラーバリエーションが発売されており、
クリフ型カレラは、のカラーが存在する。



Algentinian TRANSFORMERS ROBOCAR CARRERA Green 136

南米独自に流通したTFトイはブラジルだけではなく
ペルー、アルゼンチン等でも販売されており、上記の4色に加えて
シルバー白いボディカレラも確認されているので、
南米版トランスフォーマーの全容を掴む事は非常に困難である。

尚、今回紹介しているグリーン・カレラは、
1985年にアルゼンチンで発売されたバージョン。




G1ゴーボッツ バグバイト スモールフット 南米版TF カレラ・グリーン 234

又、2004年に日本限定で発売された『G1ゴーボッツ』の
バンブル型バグバイトギアーズ型スモールフットは、
名前はチャレンジ・オブ・ザ・ゴーボッツ(日本のマシンロボに相当)から
採られているが、ボディカラーは南米版トランスフォーマーを意識した物だ。

明確に南米ミニボットの意匠を再現したTFトイは、G1ゴーボッツが初である。



South American TRANSFORMERS ROBOCAR CARRERA 125

南米トランスフォーマーのミニボットは1タイプに4~6色ほどの
カラーバリエーションがあるのだが、更に細かく追求すると
ボディに貼付してあるステッカーにも数多くのバリエーションがある。

ステッカーはキャラクター毎に数タイプ用意されている上にランダムに貼付され、
国によっては異なるデザインのステッカーもあり、更にゴムタイヤが
プラスティックタイヤに変更されているタイプや、メッキを廃したり
塗装が異なるバージョンも存在する為、南米各国で発売されたミニボット
全てのバリエーションを把握する事は、今となってはほとんど不可能に近い。





Algentinian TRANSFORMERS ROBOCAR CARRERA Green Body Silver Sticker 164

当方所有のカレラグリーン成形色で、ミクロマン時代の様な
長方形のシルバーステッカーが貼付されたバージョン。

グリーン成形色イエローステッカーのバージョンも存在し、
ブラジルで発売されたの後期版には、南米TF独自の
軍団マークのステッカーが貼付されたバージョンも登場している。



South America Transformers Symbol Optimus Malignus

左の猫の顔の様なエンブレムは、正義の軍団オプティマスのマーク。
このオプティマスは一般に知られるオプティマスプライム(コンボイ司令官)の事ではなく、
オートボット(サイバトロン)の様なヒーロー側のロボット軍団の名称だ。

右のエンブレムは如何にも悪そうなので分かり易いが、悪の軍団マリグナスのマーク。
こちらはディセプティコン(デストロン)の様な悪役側の軍団である。



G1トランスフォーマー 南米ミニボット カレラ アルゼンチン版 168

現在では数多くのTFの組織や部隊が創作され続けているので、
それぞれに独自のエンブレムが設定される事は多々あるが、
トランスフォーマーがスタートしたG1初期
オートボットディセプティコン以外の軍団や
独自のエンブレムを新たに作り起こしていた事実に驚く。

それだけ南米トランスフォーマーが、非常に独自性の強い
特殊なTFシリーズであった事が理解出来る。




Algentinian TRANSFORMERS Mini-Vehicle ROBOCAR CARRERA 166

初期の南米TFの中でもミクロチェンジ・ミクロロボットCARのタイプは
ロボカー(ROBOCAR)』のサブグループに組み込まれており、
これは日本のミニボットや海外のMINI VEHICLEに相当するカテゴリーだ。

ブラジルで展開したシリーズの後期版から、
オプティマスマリグナスの設定が新たに加わり、
6タイプのロボカー達が3タイプずつ軍団に分けられた。



G1 南米トランスフォーマー ロボカー カレラ グリーンボディ 227

厳密に言えば、ブラジル後期版以外のブラジル初期版アルゼンチン版
ペルー版ロボカーは、オプティマスでもマリグナスでもない。

しかしステッカー以外のトイの仕様は基本的に同じで
カレラというキャラクター名称も引き継いでいる為、
後付け設定ながらもオプティマスに組み込まれた事実から
オプティマス軍団に所属するカレラ」とするのは何の支障も無いだろう。




Algentinian TRANSFORMERS ROBOCAR CARRERA Green Body 230

ブラジル、アルゼンチン、ペルーで発売された南米版トランスフォーマーのマニアックさは、
全ての時代の数あるトランスフォーマーシリーズの中でもトップクラスである。

更に中米メキシコで発売されたバージョンも非常に独自性が強い仕様だったので、
南米版メキシコ版トランスフォーマーを合わせると一気に謎は深まり、
取り憑かれた様に情報を収集しても、更に新たな謎を発見してしまう泥沼の世界だ。

誰もが情報を共有出来るネット社会となった現在に於いても、
トランスフォーマーに関する全ての事柄を100%知るのは不可能である。
だからこそTFの奥深さには魅力があり、探究心に突き動かされるのだ。







TRANSFORMERS MINIBOT Poesche 173

◆参考にならない比較◆







テーマ:ホビー・おもちゃ - ジャンル:趣味・実用

コメント
あけましておめでとうございます
今年も今回のようなTFの深淵に触れられる
興味深い記事を楽しみにしています♪
2016/01/02(土) 22:53:02 | URL | NT | [ 編集 ]
>NTさん
明けましておめでとうございます。
トランスフォーマーは、時代や国によっても
色々と独特な面があるのが楽しいですね、
興味が尽きないシリーズです。
2016/01/03(日) 20:14:49 | URL | つくも | [ 編集 ]
ただでさえバンブルとクリフは同じ形の色違いがいっぱい存在しているのにもかかわらず
さらに違った個性を持った同じ形のキャラクターが存在していたのですね・・・紛らわしい!
ですが同じ形で色が違うだけなのに個性豊かなキャラクターとして個々が生きるTFはやっぱり面白いと実感しました。
2016/01/07(木) 01:41:18 | URL | 要塞参謀 | [ 編集 ]
>要塞参謀さん
一般的に知られるG1ミニボットでも、チョロQタイプのTFは
バンブル、クリフ、ハブキャップが当時から居ましたし、
カラーバリエーションが多かった事も特徴でした。

南米ミニボットを加えると一気にバリエーションが増加し、
2000年代以降もボットコンやG1ゴーボッツで新キャラが増えたりと、
ミニボットはコレクション性が非常に高いTFトイだと思います。
2016/01/08(金) 20:16:53 | URL | つくも | [ 編集 ]



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