立民・国民新党 政権選択肢示してこそ
2020年8月22日 06時46分
国民民主党が立憲民主党との合流を決めた。政党支持率の低迷が続き、今のままでは次の選挙を戦えないとの危機感からだが、政権や政策の選択肢を示すことができれば、勢力結集にも意義がある。
有権者の目には、旧民主党勢力の再結集にすぎないと映っているのかもしれない。二〇一二年の政権転落後、離合集散が続く野党勢力への視線が冷ややかなのは当然だ。それでも、ようやく一つの勢力として再結集することにあえて意義を見いだしたい。
それは、自民党とは違う政権や理念・政策の実現を目指す転機になり得るということだ。
七年以上続く安倍晋三内閣は長期政権のおごりや緩みが目立つ。特に新型コロナウイルス対策では「的外れ」「後手」との批判が相次ぎ、七月の共同通信世論調査で内閣支持率は30%台にとどまる。
それでも政権が続くのは安倍氏に代わる政権の担い手の不在が最大の理由だ。内閣支持理由の約半数が「ほかに適当な人がいない」であり、有権者が安倍自民党に代わる政権の担い手を探しあぐねている実情がうかがえる。
だとしたら、自民党に代わる理念や政策、政権の選択肢を示すことは野党の責任でもある。選挙を戦う上でも野党候補が乱立して政権批判票が割れれば、自民党が漁夫の利を得るだけだ。野党勢力結集を、日本政治に新たな地平を開く第一歩にしなければならない。
とはいえ、その道のりは険しいことも覚悟しなければなるまい。例えば理念・政策だ。合流新党の綱領案に「原発ゼロ社会の実現」が盛り込まれ、国民には合流を見送る議員や地方組織も出ている。
消費税減税に前向きな国民の玉木雄一郎代表は、減税に否定的な立民との隔たりを理由に不参加を表明し、分党を唐突に表明した。
政権の選択肢を示すには理念や政策の不一致があってはならないが、考えの隔たりを理由に合流努力を放棄することも無責任だ。選挙区調整も課題となるだろう。
国民側の不参加者がどの程度かは不透明だが、両党に無所属議員も加われば新党は衆参百五十人規模となる見通しだ。国会で無視し得ない勢力になれば、政治に緊張感が生まれ、長期政権で緩んだ政治が変わる可能性はある。
来年十月までには衆院選があり年内解散・総選挙の可能性も取り沙汰される。その際、有権者が複数の選択肢から政権を選ぶことができるか。重い責任を感じつつ合流協議に力を尽くすべきである。
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