12話 ゴブリンの巣
ゴブリンに襲われていた馬車と乗客を助けた。
乗っていた人に話を聞くと、どうやら近くに巣があるらしい。
乗客のひとりが、巣に連れて行かれたそうだ。
ぼくたちは助けるために、巣の前までやってきた。
「【
炎の翼から放たれる、広範囲の火炎放射。
巣の前に居た見張りゴブリンたちは、全員黒こげになる。
ぼくらは巣に近づく。
「ランが言うには、なかに民間人が15人捕らわれてるみたい」
「フェンリルの鼻って、そんな正確にかぎ分けられるのね。すごいわ、ラン」
アスナさんが神狼の頭をなでる。
ランはその場に寝そべって、ごろんとおなかを見せていた。
「じゃあ民間人の救助と、巣の駆除がぼくらのすることだね」
「ええ。エレンは待機してて。不死鳥の攻撃は威力は絶大だけれど、民間人まで巻き込みかねないから」
「うん、わかった。ラン、アスナさんの護衛を頼むよ」
「わふんっ!」
アスナさんがうなずき、ランと入口に立つ。
ぼくは彼女たちの無事を祈る。
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精霊使いの力を使用します。
状況打破に適した精霊を呼び出します。
スキル【隠密】を対象に付与します。
【剣聖】の
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アスナさんの体が、ほわん……と輝く。
「エレン、今何かしたの……? なんだか、体からすごい力が湧いてくるのだけど」
「わ、わからない。ただ、アスナさんが無事でいますようにって祈ったけど……」
『エレンがアスナに、精霊を授けたのじゃ』
「「ええっ!?」」
肩に乗っているカレンが、ふふんと胸を張る。
『我が主は精霊使い。精霊に呼びかけ、任意対象にスキルを付与することなど造作もないわい』
「す、すごいわエレン。スキル付与なんて前代未聞よ! 本当に素晴らしい力ね」
でも……とアスナさんが不安げな表情で言う。
「だからこそ、心配よ。あなたを利用しようと、悪い人が近づいてこないか」
彼女はいつだって、ぼくの身を案じてくれる。
その優しさに、ぼくはいつだって救われている。
『心配するでない。悪人がこようとも全て返り討ちにできる。それほどまでに、エレンの力は絶大じゃからな』
「そっか……それに、カレンもランもいるものね。大事なエレンを、守ってあげてね」
アスナさんは笑顔で、相棒達の頭をなでる。
『……くっ! なんてことです! 強いだけでなく人格者とは! ああでも若様は譲りたくないぃいい!』
ランが自分の尻尾を、追いかけ回してクルクルしていた。
「じゃあ、ラン。道案内よろしくね。カレン、エレンの護衛をお願い」
「わんっ!」『うむ、良かろう』
アスナさんはぼくに手を振ると、ランと一緒に、ゴブリンの巣に潜る。
ぼくは片目を閉じる。
「……【五感共有】」
テイマーのスキルのひとつだ。
契約している動物の五感を、共有することができる。
地下ではランが先行して、ゴブリンの巣穴に潜っていく。
アスナさんは【隠密】スキルの効果で、ゴブリンから気づかれていない。
『足音を消すというより、存在を認識されなくなるスキルのようじゃな』
『ありがとう、エレン。こんな素晴らしいスキルをくれて』
アスナさんの声が、ランの耳を通じて聞こえる。
役に立ててとても嬉しかった。
その後、アスナさんはランとともに、捕らわれている人たちのもとへ。
見張りのゴブリンを瞬殺する。
かなりの数いたけど、一匹残らず倒していた。
『体がいつもより軽いわ。それに剣も普段以上に冴えている……これが剣聖のスキル……本当にエレンはすごいわ』
その後アスナさんは、ランと協力し、来た道を戻る。
ランの嗅覚と索敵能力があれば、最低限の戦闘回数で、ダンジョンを突破できる。
ややあって。
誰ひとりケガすることなく、アスナさんはみんなを救出した。
「ありがとう!」「ありがとう、冒険者のおふたり!」
巣穴から離れた場所で、捕らわれていた人たちが、ぼくらに感謝する。
「皆さんは私たちが近くの街まで、責任を持って護送します!」
「「「ありがとうございます!」」」
「では、森の外まで出ましょう。ここは危険ですので」
みんなうなずいている。
その後、ぼくらは一旦、近隣の街まで向かう。
その後、【
「これで不死鳥の力を目撃する人は居ないわ」
「わんわんっ!」
ランの嗅覚によると、巣の前の森一帯にはモンスターしかいないらしい。
「わかった! いくよ、カレン!」
バッ……! とぼくは手を掲げる。
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【不死鳥の
条件を満たしました。
極大魔法【
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ゴブリンの巣の上空に、巨大な魔法陣が出現する。
そこから、とてつもない大きさの隕石が落ちてくる。
地上へと落下すると、激しい爆音と熱風をまき散らしながら、周囲一帯を焼き尽くす。
……ややあって。
「わふん……」
ぼくらの周りには、風の結界が張ってある。
ランが力尽きたように、ぺたんとしゃがみ込んだ。
「え、エレン……今のって……極大魔法、よね? 宮廷魔導師でも、使える人は一握りだって言う、最強の魔法」
「そ、そうなの……?」
職業テイマーなので、魔法についてはよく知らないのだ。
「ゴブリンの巣は一瞬で消し飛んだわ。地形を変動させるほどの一撃を放っても魔力がつきない……さすが精霊使いね」
『うむ! あっぱれじゃエレン!』
『見事でございますよ若様!』
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