えらてん対談

巨額の負債、それでも会社経営を続けた天婦羅★三杯酢さんの場合【経営者実践インタビュー】

どうも、えらいてんちょうです。皆さん、「ショボい起業」やっていっていますか。今回は、大田区で不動産屋を営んでいる天婦羅★三杯酢さんにインタビューしました。

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「宅建」を取ったことがきっかけで不動産屋を開業

―よろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。

高校卒業後、都立大学に二部学生(B類)として入学して、昼は当時の家業だった弁当屋を手伝っていました。しかし、配達が辛かったので、最初は都心の小さな会社に入社してある程度のノウハウを覚えつつ、20歳の時に宅建資格を取ったことをきっかけに起業をしようと思いました。そこからは実家がそれまで経営していた喫茶店を改造して、不動産屋をはじめました。そのため、自分で「起業」したという意味ではないのですが、設立時から自分自身は関わっていました。

―起業のきっかけは宅建を取ったことだったのですね。宅建を取った上で、会社員として働くのではなく、自ら不動産屋をはじめたのはなぜですか?

実家は私が生まれてから、なんと業種が7回も変わっているのです。常に実家は自分で商売をしていたので、その環境で育ったこともあり会社勤めをするという発想そのものがなかったのです。

―確かにその環境で育っていたら会社勤めには至らないですね。不動産屋と一口に言ってもさまざまな業務があると思いますが、天婦羅さんの会社ではどのような業務を扱っていますか?

今当社で扱っているのは、主な3つの業務です。

1つめは普通の街の不動産がやっている「流通業務」です。これは普通の人が思い浮かべる不動産屋さんのお仕事を想像してください。
2つめは私が主に手掛けている「付加価値再販業務」です。これは私が長年やってきていた業務であり、仕入れる先は競売に限りません。とにかくさまざまな理由で手放さざる得ない不動産を仕入れて、物理的・法的な手を入れたり、リフォームをしたりすることで価値を高めてから再販売をして差額を得るという業務です。
3つめは「相続アドバイス」です。相続に関して、トータルで事前または事後の相談に乗り各種専門家へのアクセスを手助けしたりすることで利益を得る業務となります。これはまあ息の長い話なので、まだお金にはなっていないのが現実です。とはいえ、遅かれ早かれ皆さんに起こってくる話ですので、成長分野だと思っています。

―詳しくお答えいただきありがとうございます。相続アドバイスが成長分野ということですが、3つの中で特にどれに力を入れているなどはありますか?

私自身は相続アドバイスをぜひとも成長させたいのですが、今後発展する可能性が高いことから業界全体で大手からベンチャー企業までいろいろと参入してきています。付加価値再販業務を実践する同業者も多いため、ある種流通業務しかできないという状況とも言えます。

―実質的には流通業務が中心なのですね。流通業務しかできない現状は、天婦羅さんから見て景気が良いと言うことはできますか?

良くはないですね。もっとも、付加価値再販業務は実は世間が不景気でないと難しい商売なので、世間様としてはよろしいのかなと思います。そのため、付加価値再販業務は現在あまり儲けがありません。1番儲けになっているのは流通業務になります。

先代の負債を抱えて、経営を組み直した「厳しい時代」

―ありがとうございます。儲けの話となりましたが、今までで1番金銭的や精神的に厳しいと感じた時はありましたか?

厳しいと感じたのは相続をした時ですね。ちょうど10年前の2008年に先代がヘマをやり、とんでもない負債を抱えてしまったからです。そのため、葬式準備の最中に母や妹に「このまま葬式後に夜逃げをしようか」という話をしていたほどです。

―そのようなことがあったのですね。そこからどうやって持ち直したのか聞いてもよろしいでしょうか。

最終的に、私以外の家族には相続放棄をしてもらいました。すべての負債を私に集中させることで、もし会社が倒産しても私だけが破産するような枠組みを作り、その上で会社経営を頑張れるだけ頑張るということにしました
当時は親の家とは別に自分の所有マンションを持ってはいましたが、それを手放すなどしてとにかく全ての資源を会社につぎ込み、金融機関にも協力を依頼することで回せる体制を組み直したことで現在に至ります。

負債を抱えて尚「会社員」を選択しなかった理由。そして今後の展望

―そこまでして体制を整えたのは、やはり会社員という選択肢がなかったからでしょうか。

会社員という選択肢はありましたよ。むしろ、私だけであればローンも完済間近な自宅マンションがある上に会社は取締役からさえ外れていたので「家のことなど知らない、私は私で勝手にやる」という方が現実的でした。
実際、一人暮らしするくらいならバイトでもなんとかできましたし。しかし、それでは母と妹があまりに不憫でありましたし、会社をそこで潰してしまうとそれまで培ってきたお客様との信頼関係を壊してしまうことにもなります。それなりに眠れない夜を重ねた上で、体制を組み直すという決断をしました。

―経営を立て直した現状を踏まえて、今後はどのように経営をしたいかというのは考えていますか?

とにかくお荷物案件を片付けて、まともな融資を受けられる体制になりたいですね。要するに、付加価値再販業務をしっかりやれるようにしたいということと相続アドバイスの実績を作った上でそれを宣伝していきたいです。また、相続アドバイスを行うにあたって、付帯的な話として新規関連事業を行う計画もあります。それらを推し進めていくことと、借金をなくしたいなと思っています。

―確かに借金はなくしていきたいところですね。今日はありがとうございました。

えらいてんちょう

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