厩舎に見慣れない仔馬…初レース前日に“出産”したタケノセーイコー ばんえい競馬"管理"問われる珍事に
最大1トンの鉄ソリを引っ張りながら障害を越え、競争する帯広のばんえい競馬。
8月3日にデビューした「タケノセーイコー」。17日の二走目に向けて調教が続いていましたが、レース前日まさかの事態が。
馬房に見慣れない仔馬
谷 あゆみ 調教師:「朝起きて行ったらよ、みなれない子がいて。よく見たら出産した後が…。妊娠の兆候もなく調教してたからね」
レース前日の16日朝、厩舎スタッフが馬房に行くと、廊下に見慣れない子馬がいたといいます。出産に気づき慌てたスタッフは、馬主とばんえい関係者に連絡。馬の大事をとってレース前日に出走が取り消しとなり、競走馬としても引退の措置がとられました。
帯広市農政部ばんえい振興室 佐藤 徹也 参事:「職場で聞いてまず驚いた。競馬場で出産したというのは私も長いが初めて。2020年で14年目です。初めてです。この時期に生まれるのがレア。逆算すると昨年の秋ぐらいに受胎したのか、状況が確認できていないので、父はどの馬か確認できていない」
上川地方の牧場で生まれ育ったタケノセーイコー。ばんえい競馬デビューする前の2019年秋ごろに、馬主のあずかり知らぬところで種付けされ、妊娠した可能性があるといいます。
谷 あゆみ 調教師:「初産だとおなかが大きくならず、わかりにくい。兆候もなかった。よくがんばってくれました」
馬の親子は今…
帯広競馬場から車で30分ほどの牧場に向かいました。
仔馬:「ひひ~ん」
母馬:「ぺろぺろ」
母・タケノセーイコーと生まれた男の子は、近くの牧場に預けられていました。少し足をケガをしてしまいましたが、お母さんに甘えながら、すくすく成長しています。新たな命が生まれたことに喜びの声があがる一方、馬の管理については波紋が広がっています。
帯広市農政部ばんえい振興室 佐藤 徹也 参事:「適切な管理がされていたかということで、処分としては一番軽い部分になるが、戒告処分。谷調教師もある意味、気の毒な部分。お客様に迷惑かけた。結果罰ではないが戒告処分」
谷 あゆみ 調教師:「こっちだって、妊婦預けられると思わなかった。ばんえいの管理も疑ってしまう」
ばんえい史上初のレース前日に出産という珍事。管理やチェック体制の見直しを指摘する声が上がる一方、お母さんの分まで立派に成長することが期待されます。