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え、テイマーは使えないってパーティから追放したよね?~実は世界唯一の【精霊使い】だと判明した途端に手のひらを返されても遅い。精霊の王女様にめちゃくちゃ溺愛されながら、僕はマイペースに最強を目指すので 作者:茨木野
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3話 精霊使いへの覚醒


 迫り来る単眼巨人サイクロプスの群れを、アスナさんが1人で立ち向かう。


「せやぁあああああ!」


 彼女が剣を振るう。

 巨人の持っている棍棒を、容易くはじき返す。


 そのまま飛び上がり、巨大な目玉に剣を突き刺す。


 ザシュッ!


「グラァアアアアアアアア……!」


「やった! これならいけるぞ!」


 だがアスナさんは強いけれど、相手に数で劣る。


 徐々に劣勢を強いられる。


 ガンッ……!


「きゃあっ!」


 巨人の一撃を腹部に受け、アスナさんが吹っ飛ぶ。


「アスナさん!」


 ダンジョンの壁に背中を激しく打ち付け、そのまま気を失う。


「そんな……アスナさん……くっ! 動け! 動けよぉ!」


 だが麻痺の魔法が解けず、ぼくは動けないでいた。


「グロォオオオオ!」

「やめろぉおおお!」


 単眼巨人が、アスナさんに襲いかかる。


 そのときだった。


「アオォオオオオオオオオオン!」


「ラン!」


 狼のランが、巨人の腕に噛みついたのだ。


「おまえじゃ勝てない! 逃げろ!」

「がるっ、がるるるるっ!」


 だがランは牙を離そうとしなかった。

 単眼巨人は顔をしかめると、腕を強く振る。


 ブンッ!


「ラン! らぁあああああああああん!」


 ランは地面に強くたたきつけられる。

 巨人は棍棒を、狼の頭部に、強く振り下ろした。


 グシャッ……!


「そ……んな」


 ぽたり……ぽたり……と涙がこぼれ落ちる。


 生まれたときから、ずっと一緒の友達が……死んでしまった……。


「ごめん、ぼくが弱いばっかりに……」


 単眼巨人サイクロプスの1匹が、ぼくに近づいてくる。


 ああ、もう終わりだ……。


「おじいさん……ごめんなさい。さようなら……」


 棍棒が振り下ろされそうになった、そのときだ。


===========

【不死鳥の精霊核エレメント】を獲得しました。


条件を満たしました。


精霊使いエレメンタルマスター】に、覚醒します。


===========


 突如、ぼくの体から、紅蓮の炎が燃え上がったのだ。


「うわぁああああ! ……って、あれ? 熱く……ない?」


 それどころか、ぼくは普通に動けていた。

 さっきまで麻痺の魔法で、一歩も動けなかったのに。


『愛しのエレン! やっと会えたのぅ! うれしいぞ!』


 どこからか、女性の声が聞こえてきた。


「だ、だれ……?」


『そなたの体に宿って早15年! わらわが膨大な魔力を吸い続けたせいで、辛い思いをさせてすまなかった』


 ぼくの体から吹き出た炎は、やがてひとりの……美しい女性に変わった。


 長く、赤い髪。

 メリハリのある体つき。

 灼熱の炎を彷彿とさせるドレスを身に纏った……とてつもない美女だ。


「エレン!」


 女性がぼくに、むぎゅーっと抱きつく。


「あの……ほんとうに誰ですか?」


「おお、挨拶がまだであったな。ああでも名前はおぬしにつけて欲しいのぅ」


 なにがなんだか、困惑していると……。


「グボォオオオオオオオオオ!」


 単眼巨人たちが、いっせいに、ぼくたちに襲いかかってきた。


「危ない! 逃げないと!」

「逃げる……? わらわが? 不要じゃ」


 女性はぼくの腕を取って、前に突き出す。


「【不死鳥の火矢フェニックス・アロー】」


 その瞬間……ぼくの体から炎が吹き出る。

 それは巨大な矢となって、単眼巨人の体をぶち抜いた。


「ぐ、ぼ……」


 ドサッ……!


「そんな……一撃だって?」

「何を驚いておる? そなたの力はこんな物ではないぞ?」


 今度は、女性がぼくの腕を、横に広げる。

 すると、ぼくの背中から、巨大な鳥の翼が生えた。


「【不死鳥の羽撃フェニックス・ブロウ】」


 炎の翼が羽ばたくと、勢い良く炎が噴出する。


 それは突風となって単眼巨人達を焼き尽くした。


 ぷす……ぷす……と焼き焦げると、単眼巨人は、1匹残らず倒れる。


「すごいぞエレン! さすがわらわのマスターじゃなぁ♡」


 むぎゅーっと女性がぼくを力一杯抱きしめる。


 柔らかい胸の感触と、肌ぬくもりにクラクラする。


「今まで辛い思いをさせてすまぬ。けれど、安心せよ。これからはわらわが、ずぅっと一緒だからな!」


「あ、あの……いい加減どなたですか?」


「わらわは不死鳥。そなたの体に宿っていた精霊よ」


「せ、精霊!?」


 ニコニコと笑いながら、美女がうなずく。


「そなたは特別な子じゃ。生まれつき体に精霊核エレメンタル……精霊の根源みたいなものじゃな。それを宿していたのよ」


「けど、じゃあなんで今まであなたはでてこなかったの?」


「魔力が足りぬでな、孵化できなかったのじゃ。15年分の魔力をため込んで、ようやく顕現できた次第」


「なにが……なにやら……あ! そ、そうだ!」


 ダッ! とぼくはランと、そしてアスナさんのもとへ行く。


 アスナさんは、生きていた。

 けど、辛そうにしている。


 ランは……完全に頭が潰されていた。


「ああ……ごめんね……ふたりとも……」


「泣くなエレン。安心せよ、不死鳥わらわがいるのじゃぞ?」


「不死鳥……?」


 美女がぼくの前に座る。


「そなたは不死鳥の使い手。永遠と再生を司る神の鳥を手に入れた。その炎は人を癒やす」


「そ、それじゃあ!」


 美女がうなずく。

 ぼくもうなずいて、ふたりに手を伸ばす。


「念じるがよい。そなたの望みを。それを炎として形にするのじゃ」


 ぼくの望み。

 それは……守ってくれた、ふたりを助けること。


 その瞬間……。

 両手から、青白い炎が発生する。


 ランとアスナさんの体を優しく包み込む。


 肉の焼ける匂いも音もしない。

 炎に包まれるふたりの体が、徐々に再生していく。


 ややあって、ふたりは完全に元通りになった。


「上出来。さすがエレン! 素晴らしいぞ!」

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