日本酒が腐る?賞味期限と保存方法のポイントはココ
日本酒が腐る?賞味期限と保存方法のポイントはココ

2020.05.21

日本酒が腐る?賞味期限と保存方法のポイントはココ

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まいど!ゆーきです。

日本酒の保存で困ったことってありませんか。

「日本酒って冷蔵庫に入れなきゃダメ??」

「1年前に買ったお酒、まだ飲める??」

「日本酒って放っておくと、酢になるんでしょ??」

こんな話、結構な頻度で聞かれます。

お酒って目に見えない微生物たちの力を借りて、絶妙なバランスの上に成り立つデリケートな飲み物です。でも、そもそもアルコールは保存飲料ですから、ポイントだけ押さえて保管できれば、意外と長い目でお酒を楽しむことができるんです。

ちなみに結論から言ってしまうと、日本酒に賞味期限はありません。

それから、未開封のお酒であれば、基本的には腐ることもありません。ただし密閉がきちんとされていなかったり、お酒が古すぎて栓が腐食していたりなど、密封状態が維持できていない場合は、空気中の菌類に汚染される場合があります。すっぱいニオイがしたり、お酒が白濁しているならば、汚染の可能性が高いので口にしないようにしましょう。

ということで、今回は日本酒の賞味期限についてのお話と、おいしく楽しむ保存方法のコツをご紹介します。

 

日本酒にとっての一番の敵、それは「光」

 

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お酒の香味を損ねる一番の大敵は何でしょうか。

それは光。もっと言えば「紫外線」です。

紫外線にさらされた日本酒は必ず劣化します。「日向香(ひなたか)」といってネギやケモノのようなニオイが発生する原因になるためです。しかも、30分程度の短時間でもその影響は強く、日本酒を保管する時には、お酒が光に当たらないように最も注意しなければなりません。

よく地酒専門店さんの照明が暗くしてあったり、冷蔵庫のライトが消えているのはこれを防ぐためです。照明にUVカットのフィルムが巻いたり、そもそも紫外線を発しない特別なライトを採用しているお店も見かけます。明るい棚や、ショーケースの瓶をよく見ると見本の空瓶だったりするのもこのためですね。

ちなみに、ウチがお酒を出荷する時にもUVカットの袋にお酒を包んでいます。段ボール梱包ならば良いのですが、プラスチック製の通用箱に入れて出荷する場合は光に当たってしまうため普通酒でも袋に入れて出しています。そのくらい、日本酒にとって光は天敵なのです。

日本酒の劣化を防ぎたいならまずは光に晒さないこと。新聞紙などで包めばOK。

ちなみに、瓶の色も大事だったりします。茶や黒などの濃い色は紫外線の吸収率が良くお酒を守ってくれますが、ブルーや透明などの淡い色の瓶は光に関しては“ザル”です。最近はフレッシュな酒質が流行っているせいか、薄い色の瓶がよく使われていますので、ここも注意したいところですね。

日本酒の保管は冷蔵庫?

 

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日本酒の保管は冷蔵庫がベストです。

やはり温度によるお酒の変化は大きく、特に火入れをしていない生酒は絶対に要冷蔵。

生酒はお酒に含まれている酵素(こうそ)が活きている状態なので、香りや味わいが非常に変化しやすいデリケートなお酒です。冷蔵することで酒質の変化を穏やかにすることができますが、それでもゆっくりと変化していくので、生酒のフレッシュさを楽しみたいなら早めに飲んでしまうことをおすすめします。

飲みかけの日本酒も冷蔵庫で保管し、なるべく早く飲むようにしましょう。目安としては1~2週間ぐらい。

ただし、日本酒の場合はアルコール飲料ですから脅迫的に早く消費しなければならないわけではありません。むしろ、開封後の変化を「熟成」として楽しむ方法もあります。

日本酒が熟成すると香りと味わいが穏やかに、丸く変化していきます。華やかな香りはしっとりと落ち着き、特有のカラメルやナッツに表現される熟成香が表れ始めます。また、味わいは渋味や苦味などのカドが取れ、まろやかな深みのあるものに変化していきます。

しかし、上手に熟成を進めるためにはお酒自体の性質を見極め、正しい管理が必要です。特に初心者の方は自分のペースで早めに飲んでしまう方が失敗が少ないです。

家庭用の冷蔵庫に備え付けられている照明も、前述の通り光に気を付けなければなりません。お酒専用の冷蔵庫があるなら、可能であれば照明を取り外しましょう。そうでなければ、お酒を新聞紙で包んでおくことで対応できます。

日本酒に賞味期限はありません

 

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これもよくある話、日本酒はいつまでに飲まなきゃならない、という期限はありません。訊ねられても「お早めに」というしかないのです。

なぜかというと、アルコールそのものに消毒作用があることと、お酒には熟成の概念があるからです。同じお酒でも、搾りたてと熟成させた古酒を楽しむことができるのは、日本酒の醍醐味でもあります。

また、日本酒のラベルには「製造年月」表示が義務付けられています。これがちょっとややこしいんです。

製造年月の「製造」っていつのことを指すのでしょうか。お酒を搾った時、瓶に詰めた時、ラベルを貼って商品になった時、出荷した時…??

普通酒の場合、お酒を瓶に詰めた月が製造年月です。

その他の特定名称酒(純米とか大吟醸とか)は冷蔵貯蔵しているものに限り、出荷時が製造年月になります。これは日本酒の熟成の概念が反映されていますね。香りの高いものは瓶に詰めてから熟成させることが多いので、出荷時に「熟成が終わり商品として完成した」とみなしています。

つまり何が言いたいかというと、製造年月が「2019.5」だとしても、中身が2019年に造られたお酒とは限らないということです。お酒を清潔に詰めていれば、たったの何か月間で飲めなくなるわけがないのです。飲める、飲めないの見極め方は、香りと色です。もし、押し入れの奥から年代物の酒が発見された時、鼻をつく酸っぱいニオイ、ヨーグルトのようなニオイ、白く濁っている場合、赤いオリ(沈殿物)が多い場合は近くの酒屋に相談して処分してください。それでも、健康を害するものはめったにありません。

ぜひ、熟成による味わいの変化も含めて、おおらかに日本酒を楽しんでいただければと思います。

 

いかがでしたか??

お酒は生き物ですので、大切に、長いお付き合いをしていきたいものですね。

では。

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平井佑樹 HIRAI YUKI

岩手県最古の酒蔵、菊の司酒造16代目蔵元(予定)。
地元盛岡で生まれ育ち、明治大学を卒業後ブーメランで蔵入り。
日本酒「菊の司」「七福神」の他にオリジナル「平井六右衛門」を醸してます。
1991年10月12日生まれ。
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