文豪たちの幽霊と気弱な作家志望の青年との交流を描く奇想天外なコメディ映画『ゴーストライターホテル』の初日舞台挨拶が3月17日、シネマート新宿で開催。阿部力、池田鉄平、世界のナベアツこと桂三度、ケンドーコバヤシ、フルーツポンチの村上健志、かたつむり林、そして伊東寛晃監督が登壇した。
一冊も小説を書けないまま、夢を捨てきれずにいる作家志望の青年・内海の前に、文豪たちの幽霊が出現。内海は口うるさくも頼もしい文豪たちのアドバイスを受けながら、いよいよ小説を完成させていく。誰もが知っているような日本を代表する文豪を、お笑い芸人が思い思いに演じている点も見どころだ。芸人たちに囲まれながら、コミカルな演技を披露した阿部は、「撮影中、毎日笑っていた思い出があります。ずっとニコニコしていました。皆さんが台本を利用して、コントをやっているようにも思えて!」と、笑いにあふれた撮影を振り返った。
夏目漱石役を演じた桂は、「撮影をしている時は、“世界のナベアツ”でした。師匠から“三度”という名前をいただきまして。三度の飯が食えるように、そして放送作家、芸人、そして“三度目”の挑戦としての意味が込められています。サンドウィッチマンと被るので、気軽に“サンディー”と呼んで」と、改めて襲名の挨拶。宮沢賢治役を豪快に演じるコバヤシは、「ミヤケンは春画という、今でいうエロ本を集めていた。僕も意外とAVとか好きなんで」と共通点を告白。周りから「全然意外じゃないわ!」と突っ込まれながら、「僕の魅力が詰まった映画。帰ったらシャワーを浴びてください。それくらい僕の全てを浴びせかけます(笑)!」とアピールした。
また、村上が演じるナイーブでちょっと面倒くさそうな太宰治は、何とも絶妙なキャスティング。村上は「撮影前に太宰ファンのピース・又吉さんに報告に行った。僕はもともと役者志望だったんですが、太宰役は難しい。だからこそ面白いと思った」と役作りの苦労を明かすと、監督も苦笑いで「役者志望と聞いて、びっくりです。村上さんはお芝居がすごく固いので」とコメント。村上は天を仰ぎながらも、「その固さが太宰なんじゃないかと思います」と前向きに答えた。これには先輩芸人も「うっとおしいわ!」と鋭い突っ込み! コバヤシも「太宰のアドリブで一瞬しらけてしまった瞬間があって、みんなが笑っちゃってるシーンがあります」と撮影秘話を明かし、監督が「村上さんのは“狙い”なんですよね。誰にも真似できない“間”でした」と必死にフォローするなど、村上の評価は散々だった。
最後に阿部は「決してふざけているだけの映画じゃありません(笑)。人それぞれ夢があると思いますが、諦めずに少しでも夢に近づけるよう実行することが大事だと思った。皆さんも夢に向かって頑張ってください!」と、心を込めて語り、舞台挨拶を締めくくった。笑いの中に背中をポンと押してくれるような温かさが感じられる本作。読書好きもお笑い好きも、そして夢に向かっている人も、是非劇場で楽しんで!【取材・文/成田おり枝】
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