厳しい暑さが続き、熱中症になる人が相次いでいる。17日には静岡県浜松市で、2年前の埼玉県熊谷市と同じ観測史上最高気温の41・1度を記録した。しのぎやすい季節の到来はまだ先だ。エアコンを適切に使い、こまめに水分や塩分を補給するなどして体調管理に努めたい。
総務省消防庁の速報値によると、今月16日までの1週間に熱中症で救急搬送された人は全国で1万2804人にのぼる。東京23区内では、1~18日で103人が死亡し、70代以上が約8割を占めた。亡くなった場所別では97人が屋内で、大半はエアコンの設備がないか、あっても作動していなかった。
高齢になると体温の調節機能が低下し、脱水状態に陥りやすい。冷房が苦手だという人もいて、気づかないうちに熱中症になるケースが少なくない。
先の熊谷市では、単身もしくは夫婦で市営住宅に住む80歳以上の住民に、市の職員が定期的に電話をかけて、冷房の使用などを呼びかけている。
新型コロナの感染拡大で人の動きが鈍り、支援の手がゆき届きにくくなっているいまだからこそ、こうした取り組みは大切だ。隣近所のちょっとした目配りや、ふだんは離れて住む家族がかける一本の電話が、命を救うことにつながる。
行政からの働きかけでは動かなくても、顔見知りや子、孫から言われれば、苦手でもエアコンのスイッチを入れ、水を口にするだろう。「手洗いを欠かさず3密は避けてね」に続けて、「熱中症にも気をつけて」の一言を届けるようにしたい。
炎天下での作業や学校活動でも備えを怠れない。
コロナ対策でマスク姿が当たり前になっているが、高温多湿下での着用は体内に熱がこもりやすい。人と距離を保てる屋外や登下校時、体育の授業中などは外すなど、状況に即した対応を心がけるようにしよう。
この夏から、気象庁と環境省は関東甲信地方の1都8県で「熱中症警戒アラート」の試行を始めた。気温や湿度、日差しから算出する暑さ指数が「33度以上」になる場合、都道府県単位で発表するが、どこまで認知されているだろうか。
広くアンケートをするなどして人々の受け止めや活用方法を調べ、来年に向けてより有効な発信を検討する必要がある。
今年は長梅雨の後、一気に気温が上昇し、とりわけ体にこたえる暑さとなった。コロナと熱中症という「難敵」を相手に医療現場の奮闘が続く。行政は支援に万全を期し、市民もそれぞれが予防の基本を守ることによって、これまでに経験のないこの厳しい夏を乗り切りたい。
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