コロナワクチン 迅速な接種へ備え急げ
2020年8月19日 07時18分
新型コロナウイルス感染症対策の切り札としてワクチンの開発が待たれている。迅速な確保と国民への着実な接種が求められる。政府はワクチン実用化への支援と接種体制の整備を急いでほしい。
ワクチンを社会に行き渡らせるには開発と確保だけではなく、どう接種の優先順位をつけ実施するのか、その際の費用負担などの課題に目配りして体制整備に取り組む必要がある。
世界保健機関(WHO)によると、世界で百六十以上のワクチン開発が進み、既に二十以上で人を対象にした治験が実施されている。
政府は七月、米ファイザー社から国内向けに来年六月までに六千万人分のワクチン供給を受けることで基本合意した。八月には英アストラゼネカ社とも一億二千万回分の確保で基本合意し、うち三千万回分は来年三月までに供給を受ける計画だ。
ただ、楽観はできない。予定通り開発に成功し、日本で順調に承認されればの話だからだ。
ワクチンなど新薬は有効性や安全性の確認に時間がかかる。期待された有効性が確認できない可能性もある。さらに生産体制もすぐに整うわけではない。過度な期待は禁物である。
また、マスク生産を主に中国に頼っていたため不足時に確保に苦労した。ワクチン確保ができなければより深刻な事態になりかねない。国産での確保も考える必要がある。現在、国内でも開発が進められており、開発費などへの政府の財政支援は欠かせない。
確保できるワクチン量に限りがあるとしたら接種の優先順位をつけざるを得ない。二〇〇九年の新型インフルエンザ流行時、重症化や死亡を防ぐため医療従事者、基礎疾患のある人、妊婦、子どもなどを優先接種の対象とした。
新型コロナについても政府の感染症対策分科会で議論が始まっている。ウイルスの特性を踏まえどのような考え方で接種を実施するのか早急に検討してほしい。
医療機関や保健所をどう活用して国民の接種機会を確保するのかも考えねばならない。
接種の実施に際し、自治体と国の役割や費用の分担などの検討も要る。副作用が出た際の情報提供のあり方や被害救済についても整理しておく必要がある。
国際社会ではワクチン争奪戦が過熱している。政府は途上国支援を含め国際的な協力体制にも積極的にかかわるべきだ。
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