山下智久の処分で「論点のすり替え」…ジャニーズに忖度するテレビ局の闇

なぜ「淫行疑惑」は報じないのか?
木村 隆志 プロフィール

時代錯誤のダメージコントロール

最後にもう1つふれておかなければいけないのは、「東京都の条例では、相手の年齢を知らなかったとしても、処罰を免れる理由にはならない」こと。つまり、「山下が未成年女性に年齢を尋ね、ウソをつかれていた」としても処罰を受ける可能性があるのだ。

ましてや、その未成年女性は一定以上の人気があるモデルだったのだから、「本当に知らなかった」としても山下の落ち度とみなされてしまうリスクは高い。

また、「ホテルに8時間滞在したが、体の関係がなかった」という弁解ができないこともないが、深夜に連れまわしたり、一定の場所にとどめたりするだけで条例違反になってしまう。

さらに、もし車代や食事代としてお金を渡した上で、体の関係を持っていたら児童買春の可能性がある。ところがジャニーズ事務所もテレビ局もこのあたりにはまったくふれず、弁護士がコメンテーターを務める情報番組ですらほぼスルーしてしまった。人々の不満がたまっていくのは当然だろう。

たとえば、同様のケースで一般人が「知らなかった」という弁解は通用しないし、年齢の離れた30代半ばの男性なら、なおのこと。そんな理不尽に多くの人が気づいているからこそ、ネット上には「知らなかったから未成年に手を出していいわけがない」「どの番組もなぜ淫行にふれないのが気持ち悪い」「ジャニーズもテレビ局も人々をバカにしている」などの声が飛び交っているのだろう。

 

元をただせば、7日に「文春オンライン」が今回のスキャンダルを報じてから、ジャニーズ事務所が処分を発表した17日まで、どの情報番組もこの話題をスルーしていた。裏を返せば、「ジャニーズ事務所が処分を発表したから、翌日に一斉報道をはじめた」とも言える。

「都合の悪いことにはふれない」「一見、重い処分を下したようなムードを醸し出す」「それを忖度してくれるテレビ局に報じてもらう」。いずれも平成初期に戻ったようなダメージコントロールの手法であり、「これが通用する」と思っているのだから、世間の人々はみくびられているのかもしれない。

民放各局はこのような大手芸能事務所に忖度した視聴者誘導をやめない限り、かつてのような信頼を再び得ることはできないだろう。