花が咲く
過去を思い出し咲也くんの様子がおかしくなっていくお話。
★捏造だらけのお話です。長くて意味が分からないお話になってます。安定の意味は追求しないでください、、、、雰囲気小説です。自己満です。
★モブも親戚も出てきます。すごく凄いキャラにしてしまってます。捏造です。
★血生臭い話になってます。途中本当に本当に暗くてしんどいです。私もしんどかったです←
★誤字脱字すみません……。矛盾も見つけたら絞めときます。
★何きても許せる人がいらっしゃいましたら是非~。
★何度も言いますが、今回は本当に暗いです。でも最後は暗くないはずです(???)
関係各所の皆様、第五公演のイベントですね。
わたしはダイヤが尽きたので、下がっていく順位を見守る組に徹しています。
せめて至さんは手に入れたい今日この頃ですフグ
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★キャプション必読★
小さい時に、雀の雛を拾ったことがあった。
公園の植え込みの前、一羽でピーピー鳴いていたその子を、後先考えずに連れ帰って、親戚の人に見つからないように部屋でコッソリ育てた。
何を食べるのかわからなくて、そもそも人があげたモノって食べてくれるのかな、って不安だったけれど、その子はオレがグチャグチャにすり潰した食べ物なら何でも食べてくれた。
ご飯を食べるときは基本一人だったから、オレがパンの端切れや焼き魚のカケラを部屋に持っていこうと、誰も気にしなかった。
雛鳥はどんどん大きくなって、一ヶ月もしないうちに部屋中を飛び回れるようになった。
もうすっかり大人になって、オレが餌をあげなくても生きていける。放す時が来たんだ、と拾った公園まで連れて行った。
ずっと一緒にいた雛鳥だ。いっそのことみんなに内緒で飼い続けようかとも考えたけれど、飛び回る音や囀りが日に日に大きくなるから、家の人にバレて外へ放されるのがわかったので自分から放すことにした。
それに時々、その雀が窓から外を見ている姿を見ると、胸が苦しくなった。
まるで「自分の居場所はここではなく、もっとどこかにあるんだ」と、自我を持っているように外を眺めていた。真っ青な空を見上げチュン、と一回囀ったのを聞いた時、放す決心がついた。
拾った植え込みのところへ行き、両手で包むように持っていた雀を頭上に掲げた。
いつでも羽ばたいていけるように、高く高く飛んでいけるように、できるだけ空へ雀を近づけた。
雀は二、三度チュン、と鳴くと、羽を数回羽ばたかせて空へと舞い上がった。
あんなに小さかった、一人じゃ餌すら食べられなかったあの子が、こんなにも広大な空の中へと溶け込んでいく。
自分の居場所はここじゃないんだと、外に意識を向けて欲し続けた空の彼方へ飛んでいくその姿を、ずっと眺めていたかった。
——眺めていたかったのに。
***
「きゃ、」
談話室でテレビを見ていたら、突然背後から監督の短い悲鳴が聞こえた。気になって振り返ると、手紙の封を切って中身を覗き込んだ監督が、青ざめた表情で立っていた。
「どうしたんだよ」
オレの隣で一緒になってテレビを観ていた天馬くんが監督を振り返り、声をかける。ハッと息を呑み弾かれたようにこちらを見た監督は「何でもないよ」と苦い笑いを浮かべ、手紙を手にしたまま部屋を出て行った。
何だろう、と不思議に思っていると「ファンレターだな」と天馬くんが呟く。
「ファンレターがどうしたの?」
「お前も聞いたことあるだろ? ファンからの手紙の中に、良からぬものが入ってた、とか」
都市伝説ではなく紛れもなく存在する実話。テレビとかでタレントが語る日常の節々に「ファンからとんでもないものが届いた」というものがあった。
天馬くんもテレビに出て経験の長い俳優だ。そう言う経験が一つや二つ、あるのかもしれない。
まさか劇団にそんなものが届いたのかと、眉間にシワが寄っていく。それって寂しいなと思う反面、それだけ自分たちが有名になったのかな、とポジティブに考えてみる。
「気をつけとけよ、咲也」
テレビに視線を戻したオレに、天馬くんが神妙な面持ちで言った。え? と訊き返せば、天馬くんは監督が出て行った扉の方を指差す。
「ピンク色の封筒だったろ。もしかしたら、春組のファンからかもしれない」
なるほど、と頷く。たしかに監督が持っていた封筒は、濃い桃色のものだった。
劇団のファンの人たちは、よく好きな組のイメージカラーのものを身につけて舞台を観にきてくれる。
春はピンク、夏は黄色、秋はオレンジ、冬は青色。
だからファンレターも、必然的に封筒の色が偏っていた。普通の封筒で来る時もあるけれど、組の色の封筒で送ってくれる人たちがほとんどだ。
ファンレターはオレたちが見る前に、まず監督や支配人が目を通している。その時に監督は、例の桃色の封筒を開けたのだろう。
「一体誰宛だったんだろ」
「リーダーのお前が、春組の全員に声かけとけよ、一応」
正確な情報が監督から入らない限りは何も言えないけれど、とりあえず軽く声をかけておいてもいいのかな、と考える。助言してくれた天馬くんに「ありがと」と笑いかけて、二人でテレビの続きを観た。
あれから数日経っても、監督から例の封筒の話は教えられなかった。
もしかしてオレたちの勘違いだったのかもね、と天馬くんに笑いながら言ったけれど、彼は腑に落ちてない様子で腕を組んでいた。
****
「おや、この印はなんだい?」
キッチンの壁にかけられていたカレンダーを見た誉さんが、ある日付に赤ペンの印が入っているのに気付く。何重にも丸をされたそれは、およそ一ヶ月後の日付だった。
「ああ、それ」
キッチンで夕飯の下準備をしていた臣さんが、笑いながら魚を三枚におろす。
「隣町の八百屋で野菜の安売りがあるって、左京さんが」
「一ヶ月後の情報まで仕入れているとは、さすが左京さんだね」
生き急いでる、と笑う誉さん。そんな誉さんの横に立って、同じようにカレンダーを覗き込む。
一ヶ月後。
もう一ヶ月後なんだ。
——そんな時期なんだ。
ひゅ、と。お腹のあたりが不快感を訴える。
息を吸い込めば、冷たい風が身体中を巡っていくようだった。
口を小さく張ったまま立ち尽くすオレの肩を、誉さんが「どうしたのかね?」と軽く揉んでくれる。その手つきがこそばゆくて、息を吹き返すように意識を取り戻した。
「いえ、野菜、安売りが、凄いなって」
「セロリもあるかもな」
ははは、と意地悪そうに笑う臣さん。つられて笑い返してみるけれど、無意識に伸ばした自分の口元が、ピクピクと痙攣している。
上手く笑えていない。
こんな姿を見せるわけにはいかないと思い、すぐに部屋を飛び出した。