16日、モーリシャス沖で座礁し、完全に分裂した日本の貨物船(lexpress.mu提供・共同)
インド洋の島国モーリシャス沖で日本の貨物船が座礁し燃料の重油が大量に流出した事故で、モーリシャス政府は17日までに、船主の長鋪汽船(岡山県)や保険組合に環境汚染の損害賠償を請求する方針を発表した。また地元当局者は16日、貨物船の船体が完全に2つに割れたと明らかにした。
モーリシャス政府は14日付の声明で、環境汚染による損失や損害の法的責任を追及すると表明し「経済、社会、環境面に影響が出ている」と指摘。モーリシャス国民らに被害を証明する書類や写真の提出を求めた。
長鋪汽船は13日に「責任を痛感しており、賠償については適用される法に基づき誠意を持って対応させていただく」と声明を発表している。
2つに割れた船体の周囲では海面が灰色や黒色に濁り、量は不明だが、残っていた油がさらに流出したもようだ。16日にも油の回収作業が続いた。
貨物船は「WAKASHIO」。商船三井が手配し、中国からシンガポール経由でブラジルに向かっていた。約3800トンの重油と約200トンの軽油を積んでいたが、現地時間7月25日夜に座礁し、8月6日に油漏れが発生。千トン以上の重油が船体から漏れ、一部が海岸に漂着した。
長鋪汽船によると、船の前方部分を沖合にえい航する。後方部分をどうするかについては関係機関と協議している。
沿岸部には国際的に重要な湿地を保全するラムサール条約に指定された区域もある。モーリシャス政府は、多様な野生生物が被害を受け危機的な状況にあるとして7日に「環境緊急事態」を宣言した。(共同)