2019年7月10日追記
この記事を書いた経緯、今後について以下記事を公開いたしました。
https://mineralgemmy.hatenablog.com/entry/2019/07/10/020102
合わせてご覧ください。
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2019年7月9日追記
コメント欄よりいくつかご指摘いただきまして、トラブル防止のため転載し使用させていただいていた画像を削除いたしました。(6.信頼性に欠けた商品情報)
タンザナイトの撮影写真ですが、業者・店舗名が特定されるような記載は今後も行いませんのでこのまま使用させていただきます。
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2019年7月8日追記
リカラットブログにて、本記事に対する事実関係の報告がありましたため、それについて下記内容に修正・加筆を行いました。
https://recarat.me/online/20190708-2/
↓下記項目修正箇所あり
1. リカラットの価格設定
3. 産地
4. リカラットの「新作」ジュエリー
5. 「外し石」の販売
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はじめまして、僕は某宝飾企業で働くジュエリー・鉱物好きの一般男性です。
以前より主にミネラルショーなどでルースや原石を購入して集めていましたため、この界隈にはそれなりに長く居る人間です。
現在、この界隈で人気のネットショップ「リカラット」についてどうしても拭えない疑惑・不信感があるため、今回この記事を公開いたしました。
「宝石で騙される人を1人でも減らすために・・・」
そのようなキャッチコピーで最近この界隈では人気のルース・ジュエリーネットショップ「リカラット」。
ネットショップでのルース・ジュエリーの販売だけでなく、相談者から画像を送り宝石の鑑別を行ったり、買取なども行っているようです。
公式Twitterは盛んな更新があり、日々宝石の情報や偽宝石への注意喚起を行っておりここまで考えれば非常に顧客のことを考えている好印象の宝石ショップであるように見えます。
しかし、ある時期から僕の中ではリカラットへの疑念・疑惑が膨らんでいきます。
発端は2019年2月頃、
リカラット取締役社長の方が
「ミネラルショーは審査が甘い。ミネラルショーでは偽物が平気で売られている」
といった趣旨のTweetが拡散され界隈では一時混乱が起きました。
さらにその後には、
「フリマアプリの宝石は偽物だらけ」
といった内容の情報がリカラットより拡散されました。
はっきりいって、普段からミネラルショーやフリマアプリを利用している身としては少しモヤッとしましたし、
僕の主観としては、ライトユーザーに対して「リカラット以外の市場を使う選択肢を狭めたい」のだろうなと感じました。
その思惑を感じた僕はリカラット自身は果たして真っ当な商売を行っているのかどうか確認することにしました。
そして、いくつもの疑惑・不信感を抱く結果となりました。
先に結論を言っておきますが、
少なくとも私はリカラットの商品とその情報は基本的に信用できないです。
以下より説明します。
1. リカラットの価格設定
2.「クラリティ」の表記
3. 産地
4. リカラットの「新作」ジュエリー
5. 「外し石」の販売
6. 信頼性に欠けた商品情報
1.リカラットの価格設定
リカラットは3月以前、「市場価格」というものを商品情報欄に記載していました。
リカラットショップの商品価格は基本的に「市場価格」なるもののほぼ底値に設定されていたものであったため、
リカラットにどういったものなのか聴いてみると、
「楽天・Yahoo Shopping・Google Shopping上での価格を調査し、その大まかな平均価格である」
そうです。
今は表示されていませんが、現在も上記説明が真実ならばそのように設定されていると思われます。
以下商品は実際にリカラットにて2019年3月に実際に販売されていた商品です。
実はこの商品、たまたま冬のミネラルショー(2018年12月)で僕が見かけていた商品と全く同じものでその価格に驚きました。
実際、リカラットの仕入れ担当さんが批判の対象であったミネラルショーもしくは別の機会にこの業者さんから仕入れたのか定かではないですが、
ミネラルショーで税込み¥48,988で売られている商品を税込み¥69,800で販売し、いかにも市場の底値のような表記をして販売するのはおかしいですよね。
ミネラルショーに行けば少なくともこの商品はこの値段で買えます。
そもそも「¥69,000〜¥120,000」という超広範囲の「平均価格」はそもそも違和感しかないです。
理由は不明ですが、2019年7月現在では「市場価格」なる表記は無くなっています。
7/8追記
リカラット弁明記事の公開直後、僕の写真はミネラルショーではなくIJT(卸向け展示会)にて撮影されたものであり、だからそれは卸価格だという記載がありましたため、画像の撮影日をもとにミネラルショーで見たものだと証明しておきます。
下記リンクにミネラルショーの日程は書いてありますのでご確認ください。↓
2018 ミネラルショー概要 | 2018 第27回東京ミネラルショー
右画像上部、日付時刻をご確認ください。
7/8 22:00現在、リカラット弁明記事からその記載が消えていることを確認しています。
2.「クラリティ」の表記
現在も、リカラット商品にはほぼ全て「クラリティ」の表示があります。
そもそもクラリティとは本来ダイヤモンドに使われる指標でありその他の色石に対して使うものではないですが、一部のネットショップでは慣例的にVSクラス→SIクラス→Iクラスといった段階でグレード分けされています。(場合によってはルーペクリーン・アイクリーンといった表記もなされる)
慣例的なものなのでそのグレード基準は曖昧で、特定の団体が定めたものでもありません。
ここで、仮にダイヤモンドのグレーディング基準と同じようにリカラットも色石に対してグレーディングしていると仮定し進めると、
VSクラス→熟練グレーダーが10倍ルーペで内包物をようやく確認できる。
SIクラス→熟練グレーダーが10倍ルーペで内包物を比較的容易に確認できる。
Iクラス→肉眼でも内包物が確認できる。
となります。界隈でも大体このような理解であるはずです。
その上でリカラットのクラリティ表示を確認すると明らかにおかしいものがいくつかあります。
このパライバトルマリンは画像の状態で誰が見ても明らかな内包物を多く含んだ不透明石であるため
SI〜Iクラスとごまかしていますが少なくとも「SIクラス」はありえません。
この商品に限らず、いくつかの商品にクラリティの底上げがなされたと感じる商品がありました。
3.産地
リカラットの商品には産地を証明したものもあります。
パライバトルマリンなど、鉱物の産地は価値に影響を与えるものも多くあります。
以下の商品が出品され実際に売れています。
商品説明欄で「日本産」であることを謳って販売していますが、
その後Twitterにて、以下のようなTweetがなされました。
このTweetから分かることは、
少なくともこの商品に関しては産地はあくまでも卸先に言われたままを商品情報に入れているだけであって、証明もなにもないということです。
この商品に関しては購入者には説明がなされ解決しているようですが、非常に不安を覚えました。
あなたが買ったリカラットで買ったパライバトルマリン、本当にブラジル産ですか・・・?
7/8追記
リカラット弁明記事に下記記載ありましたため引用しておきます。
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ご指摘のあった「ブラジル産パライバトルマリン」につきましては、全商品を鑑定士が専門機材で元素分析して銅の含有量を調べ、産地を記載しております。
弊社で販売し、「ブラジル産」と鑑別書に記載があったパライバトルマリンは間違いなくブラジル産であることを確認しておりますので、
もしも過去のお客様でご不安なお客様がおりましたらこちらにオーダー番号を記載の上、ご連絡ください。別の鑑別機関に連絡を取り、鑑別書を取り寄せることも可能です。
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とのことですので、不安な方は各々ご対応されたほうがよろしいかと思います。
パライバトルマリンに関しては鑑別書を取れば確実かと思います。
4.リカラットの「新作」ジュエリー
リカラットはルースだけでなく、ジュエリーも取り扱っています。
リカラットが販売するジュエリーの説明欄を見ると、約半数ほどの商品に
「新作の○○(アイテム名:ex.リング、ネックレス)です」
記載があります。
上記のような記載から、リカラットが持つ取引先からオリジナルなジュエリーを製作依頼し、新作として販売していたのだと僕は思っていました。
しかしながら、下記のような情報が足りていないジュエリーの販売がありリカラットへ一度問い合わせました。
ポイントは、
「リカラットが制作・もしくは制作依頼を行っているとしたら、材料となる石の使用CT目がわからないのはなぜか。」ということです。
確認した結果、
→リカラットはそもそもメーカーではない。商品はすべて作った商品を卸したもの。
卸した商品に石目刻印がなかったので分からない。
といった回答でした。
回答に納得がいまいち行かず、Twitterに投稿したところ、リカラットの取締役の方から直々にどうして弊社はメーカーではないのにリカラットが作ったと勘違いしたのか?との追求がありました。
(いくつかやり取りはしていますので、興味のある方はTwitterにてご確認ください。)
結論、
リカラットの「新作ジュエリー」はリカラットが仕入れた石を使っていないし、制作依頼をかけたわけでもないということです。
自分達が制作に何も携わってないのに、他社の新品ノンブランドジュエリーを卸しただけで「新作」と言い張るのは違和感を感じるのは僕だけでしょうか…。
ここからは確認しようがないので憶測ですが、
リカラット基準で考えると、
「新作」の記載がない=他社メーカー新品の卸品でない
ということになります。
そのため、ユーザーからの買取品、もしくは質屋市場の中古買取品を新品仕上げして出品してる可能性もあります。
特に金属の磨きなおしを行うと、中古ジュエリーも新品のように見せられますので、写真での判断は少なくとも不可能です。
このお店の傾向からすると、わざわざ「これは中古です。」みたいな記載はしなさそうですね。
まさか中古買取品を新品仕上げして「新作です」なんてことにしてた場合はさすがに真っ黒すぎてビビりますけど、今のところ僕はこのお店のことはあまり信じられないです。
ちなみに以下商品も思い切りリカラットオリジナル製作と記載されていますが、リカラットはメーカーでは無いのでただの仕入れ品らしいです。
さすがに唖然としてしまいました。
7/8追記
リカラット弁明記事に上記グランディディエライトペンダントについて、以下記載ありましたため、引用いたします。
↓
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なお、こちらの商品につきましては商品ページに記載があったとおり「リカラットオリジナル製作」です。
あくまで実験的な取り組みでしたが、弊社が石を選び、メーカーさんと共同でオリジナルのデザインで製作いたしました。
「ただの仕入れ品」という記載は事実と異なりますので修正を求めます。
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「ただの仕入れ品」の記載が事実と異なりますとのことですが、僕からすればリカラット取締役tatatatsuya様のご回答
(Q.これも他と同じメーカー仕入れ?→A.そうですよ。)
と弁明記事の記載事実が異なっておりどちらが真実なのかわかりませんので修正はしません。
記事引用のみとさせていただきます。
5.「外し石」の販売
上記4の話題とやや被りますが、
ルースにはいわゆる「外し石」と呼ばれるものがあります。
もともとリングか何かに加工されていた石を外し、
ルースとして販売することがあります。
石の硬度にもよりますが、
例えば石が4本爪留めリングから外されたものである場合は、
石の4角に加工上避けられない傷が入る場合があります。
一種の中古ですよね。
中古ジュエリー市場では「外し石」と分かっている場合は通常よりもランクを落とした値付けがなされます。
リカラットの商品にも「外し石」が混ざっていました。
これは中央宝石研究所のソーティングですが、
サイズの測定不可・(刻印)表記の重量の記載があるため
このブルーサファイアが何かしらの製品として石留めされた状態でソーティングが行われたことがわかります。
しかし、この商品の説明欄にはこの商品が「外し石」であることの記載は全くありませんでした。
ソーティングの読み方がわかる人ならば理解できますが、ライトユーザーはわかるわけないですよね。
意図的にやっていると思います。
7/8追記
リカラット弁明記事に以下記載ありましたため、引用いたします。
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事実として、その石が「外し石」かどうかの科学的な鑑別をおこなうことは不可能です。
石は、肉や魚や本や電化製品とは異なり、時に何億年も前にこの世に産まれたものです。その生成から現在に至るまでどのようなルートを辿ったのかを調べることは誰にもできません。
「新品」「中古品」「新古品」といった概念自体が存在せず、仕入れ時にも新品か中古かで仕入れ値が変動することは一切ありません。
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「外し石」かどうか科学的な鑑別ができないから記載しないとのことですが、科学的かはさておき、ソーティングの内容から石が元々は留まっていた事実は明白だと考えていますので、上記内容の修正はしません。
また、「外し石」だからといって値段が変わる事実はないとのことですが、僕の経験上、「外し石」であることが明白である場合はそのことが明記され格安で販売されている現場を複数見てきていますのでこの点も修正するつもりはありません。
ただその証明は現状できませんのでこれ以上の追求をしません。
他の有識者の方々のご意見を期待いたします。
6.信頼性に欠けた商品情報
近日に出品された商品に以下のようなものがあります。
バイカラーサファイアに対して、
「遠目で見てもわかる強いファイア」があるという記載があります。
サファイアのことを理解している人ならすぐわかると思いますが、
サファイアには強いファイアは現れません。
これは多少評価を盛っているとかそういう話ではなく、
ファイアは虹色の輝きを表し、ディスパージョンや分散とも表現され、
分散度という数値で表すことができます。
そして、サファイアが含まれるコランダムは鉱物特性上、分散度が0.011と決まっています。
これはファイアが強いとされることで有名なダイヤモンド(0.040)や、スフェーン(0.055)、スファレライト(0.156)に全く及ばない数字です。
色づいた閃光のような煌めきがファイアです。
なんでもいいので、YouTubeでダイヤモンドと検索してみてください。ダイヤモンドから虹色を感じたらそれがファイアです。
このサファイアに「ファイアが強い」と記載するのははっきりいって詐欺です。
ファイアの知識がなかったとしても、
少なくともこれ買った人はリカラットを信じて「ファイアの強いサファイアを買った」と思ってますよね。
これに関しては実物も見ずに批判するのは説得力がないので、
たまたま知人女性に今回の商品を購入した方がいたのでお借りし自分の肉眼でも確認しました。
もしほんとにファイアがとても強かったらそもそもそれはサファイアじゃないですし、興味もありました。
残念ながら僕の肉眼でみても、僕の撮影環境でもファイアが強いとはお世辞にも言えない石でした。ただ、それはサファイアとしては当たり前の話なので、低クオリティな石だったというわけではないです。
加えて、商品情報には「バゲットカット」と記載されていましたが、これはエメラルドカットです。四隅を落としたカットはバゲットではありません。
これも買った人は勘違いしてしまいます。
説明文コピペしてるのかも知らないですが、一時期のこのタイプのバイカラーサファイアは同時期に10数点出品され、すべてに同じ誤った商品説明が記載されていました。
買った人全員が騙されています。
総括
ここまで不信感を抱いたポイントを挙げましたが、
一番に言いたいのは、
商品の説明文はネットでものを買うにあたって命ともいえる情報です。
ショップ利用者は写真と説明文しかみるものがありません。
高額な宝石を物も見ずに買うという話なのに、商品説明文がこんなにも雑で曖昧で誤りが多いのにも関わらず、ユーザーはリカラットを手放しで信頼して購入してしまっています。
リカラットだけを信じないでください。
少しでも不明な点・疑問点があれば必ず詳細を確認をしてください。
その石のことをネット上でも本でも他所も使って調べてください。
リカラットだけを頼らずに知識を付けてください。
リカラットはミネラルショー・フリマアプリを批判していますが、最後にユーザーを総取りして食い物にしようとしているのはリカラットです。
すでにそうなりかけています。
ネットショップにも利点はたくさんありますのでネットで買うなとは言えませんが、
実際に店舗で、現地で、石を自分の眼で見て、ソーティング付き・鑑別書付きの石やジュエリーを買うのが最善です。
ルースを扱う実店舗は御徒町にもあります。
ミネラルショーで石を買うときはお店の名前を控え、領収証をもらってください。
そして、買ったもの・売ったものが万に一つも偽物であることが分かった場合は必ずお店に連絡してください。
お店も対応せざるを得ません。彼らは好きで偽物売ったわけではないです。
リカラットには業界の不透明性を叩く前にまず自分たちの商品のことをクリーンにしてほしいと願います。
残念ながら、新作ジュエリーについて問い合わせをしたあと、何故かリカラット公式アカウントにブロックされてしまっていますので、この声は届きませんが…。
>「リカラット以外の市場を使う選択肢を狭めたい」
同感ですねー。
やたらと偽宝石で不安を煽り、囲い込むビジネスなのかと思っていました。
石のクオリティーが低すぎるものばかりをネット販売しているので、大量買い付けで対企業が買ったあとのクズを売ってるのかな、と思って見てました。 あと、外し石にしかみえない傷のあるルース。色々謎に思っていたので、スッキリしました!
最近になって宝石に興味が出てきたときに、リカラットのサイトを見て、ここなら信用できると思ったのですが、市場価格たるものがなくなってからなぜ書かなくなったのかと疑問に思ってました。そもそもの市場価格は思ってたより適当なんですね。
適正な価格をと言っていますが、そもそも質屋のように個人から買い取ったものを販売する業者、ましてや定価などの決められた値段がない宝石となると、宝石鑑定士という肩書を後ろ盾にしていろいろできますもんね。
まあ肩書にまんまと乗せられてた自分にも問題はあるのですが。
透明性をうたう企業であるならば、疑問に思ったことを聞いた個人に対してブロックで返すというのは非常におかしなことですね。
私たちは信用できない会社ですと言っているようなものと感じます。
非常に良い記事でした。