本来、寺院での酒造りは禁止されていましたが、神仏習合の形態をとる中で、鎮守や天部の仏へ献上するお酒として、荘園からあがる米を用いて寺院で自家製造されていました。
このように荘園で造られた米から僧侶が醸造するお酒を「僧坊酒」と呼んでいます。正暦寺は創建当初は86坊、多い時には120坊を抱え、大量の「僧坊酒」を作る筆頭格の大寺院でありました。
当時の正暦寺では、仕込みを3回に分けて行う「三段仕込み」や麹と掛米の両方に白米を使用する「
これらの酒造技術は室町時代を代表する革新的酒造法として、室町時代の古文書『御酒之日記』や江戸時代初期の『童蒙酒造記』にも記されています。
このように正暦寺での酒造技術は非常に高く、天下第一と評される「
以上のような歴史的背景は、正暦寺が日本清酒発祥の地であると言われる所以であります。
現在は当時のような大規模な酒造りは行っておりませんが、毎年1月に酒母の仕込みを行っています。そして、「奈良県
| 銘柄 | 酒造元 | 所在地 |
|---|---|---|
| 三諸杉 (ミムロスギ) | 今西酒造 | 桜井市 |
| 嬉長 (キチョウ) | 上田酒造 | 生駒市 |
| やたがらす | 北岡本店 | 吉野郡 |
| 百楽門 (ヒャクラクモン) | 葛城酒造 | 御所市 |
| つげのひむろ | 倉本酒造 | 奈良市 |
| 菊司 (キクツカサ) | 菊司醸造 | 生駒市 |
| 升平 (ショウヘイ) | 八木酒造 | 奈良市 |
| 鷹長 (タカチョウ) | 油長酒造 | 御所市 |
※西田酒造「両白」は現在販売しておりません。