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獣化作品 No.20

獣たちのお見合い その1

作者 DarkStar

男女の出会いは、さまざまなれど、
理想の相手と出会う事は、並大抵のことではない。

だからこそ、理想の相手あるいは、出会いを求める手段として
『お見合い』というものがある。

ただ、こちらのそれは『普通』のそれとは、
どうも勝手が違うようだ・・・・。

『皆様・・・・本日は、当お見合いバスツアーに
  ご参加いただき誠にありがとうございます。』

マイクを片手に、
紺色の制服に身を包んだ彼女は、いわゆるバスガイド・・・・。

そう、ここは、出会いを求める女性たちのためのバスツアー。

そのためのマイクロバスの車中だ。

参加する女性達は、理想の出会いを求める若い女性や、

そろそろ、結婚を・・・・と強く願う女性などさまざまだ。

防音壁に覆われた高速道路を抜け、ひた走るバス。

やがて、見えてくるのは、一面緑が追おう山々の中へ・・・・。

そして、見えてきた看板は、お見合いとは程遠い・・・。


『サファリパーク』・・・・。動物達が放し飼いにされ、そこを
車で見て回る動物園。

そんなとき、バスガイトのアナウンスが入る。

『皆様・・・お待たせいたしました。 
  まもなく、目的地のサファリパークに到着いたします。
 本日は貸切となっておりますので、どうぞ、遠慮なく・・・。
  お降りの際は、座席横のボタンでお知らせください。
  また、お帰りの集合時間に後ほど園内放送にて、お知らせいたしますので、
  それまでどうぞ、ご歓談ください。』


サファリパークで、動物のいる中へ

降りるなどとはずいぶん変わったアナウンスではある・・・。

しかし、そのことに車内の女性達は誰一人疑問を持つこともなく、

そればかりか、みんなそわそわした様子で外を見つめている。

入り口付近は、草食動物のエリア。

シマウマや、キリンなどのエリアだ。

バスの車内は、熱心に周りを見渡しながら、
シマウマを観察する女性達をよそに、
全く興味がないといった雰囲気の人もいる。

すると

『ピン、ポーーーーン!!』

甲高い電子音がバスの車内に響き、
ゆっくりと走っていたバスは、
速度をそのままにゆったりと停止して・・・。

ボタンを押した女性の下にバスガイドが近寄る。

「お足元置きお付けください。」

「はい。」

笑顔で立ち上がった女性は、
何をおもったのか、着ていた上着を脱ぎ捨て、

下のシャツを脱ぎ、そのまま、下着まで・・・・。

一糸まとわぬ姿となった彼女の目の前のドアが開き、

彼女が出たことを確認すると・・・・そのままゆっくりと閉まり、

またゆったりとした速度で走り始める。


「ふー、ふー、ふー」

鼻息荒く、鼻の穴を大きく広げた女性・・・。

前に突き出した両の手の平は、黒く変色し、

素足となった足の甲も同じように変化していた。

手を前につき、四つんばいになった彼女は、
そのまま、生まれたままの姿で、ひた走る。


変化した両手の中指が発達し、
黒いひづめになると、他の指たちは、退化するように
消えていってしまう。

美しい、顔がぶきみなほど、長く伸びると平らな歯が前に突き出して
つぶらな瞳は、さらに大きなりながら、顔の横のほうへ寄っていく。

小ぶりな尻を隠すように、白い房のようなものが垂れ下がり、

全身の白い肌には、さらに色の白い毛と、髪よりも黒い毛が縞を作っていく。

「ふー、ふー、ひひん、ひん、ひん」

口元を振るわせ、
ひんひんと言う彼女の声が、人のそれでなくなったころ。

大きくせり出すおなかと一緒に伸びていく、4肢。

はじめは、ぎこちなく走っていた四つんばいの走りが、

スムースになっていくと、

すばらしい速さで、一頭のシマウマの前に歩みよる。

「ブルル・・・・!!!」

「ヒヒーーン!!!」

彼女がおずおずと雄のシマウマに呼びかけると、
彼は、力強く彼女に返事をし、

つぶらな瞳を丸くする彼女は、オスの長い首に自分の首を摺り寄せている。

そう、彼女達は、人の姿をした獣達。

人間社会では、かなかな出会えない同族との
『出会い』を求めて彼女達は、このバスツァーに参加したのだった。

よりそうように佇む二頭のシマウマ。

本日一組目のカップルが誕生する頃。

また、バスを降り立つ女性達。

一人は、鼻がすじが前に伸び、太い牙を生やしながら、
硬いごつごつとした皮が肌を覆っていく。

またもう一人は、頭頂部に角を生やし、
手足と、尾、そして首を伸ばしていく。

「パオーーーーーン!!!」

「モォオオオオオオ!!!」


一人は、長い鼻を揺らした象へ、

もう一人は、長い首の先にある顔から、長い舌を伸ばしながら、

いそいそと意中のオスに向かって走りだしていく。


サファリパークの内の動物が一頭増えるごとに、バスの中から、一人減っていく。

草食動物のゾーンを抜けると、肉食動物のエリア。

バスの周りを取り囲んだライオンたち。

彼らは、意中のメスの匂いに気が付いたのか。

そのまま、声のあらん限り、吼える。

「「ガオオオオオ!!!!!!」」

雄ライオンの力強い咆哮を女性達は、

ビリ、ビリ、ビリ、
わずかに、布の裂ける音が聞こえた後。

「がおおおお!!!、がおおお」

あるヒトは、前の席に両手をかけて、

あるヒトは、通路で四つんばいとなり、

ライオンたちに呼応するように唸り声を上げる。


先に房のついた長い尻尾がパンツを突き破って生えくる。

半そでのシャツから出た細い腕は、倍の大きさになり、
手には鋭いつめが生えてくる。

ものすごい形相で吼える女性達の口からは、
牙が成長し、

鼻の下に割れ目が入りながら、口元が前に突き出し、顔の形が変わっていく。

服が布切れとなり、バスの中に散らばってしばし、

メスライオンとなった彼女達はやっとこまったように周りを見回す。

「ああ、大丈夫ですよ。集合時間までにこちらのほうで、
 変わりのお洋服をご用意いたしますから。
 ・・・運転手さん。みなさんを下ろして差し上げてください。」

バスガイドは、慌てる様子もなくそういうと、
運転手にドアを開けるように促す。

その声にメスライオンたちは、ほっとしながら、
バスの外へとでていく。

「今日も盛況ね・・・・。」

そういったバスガイド。

バスの中には、彼女と運転手を除いてだれもいない。

カップル成立100%・・・。

人に隠れて生きる獣たちの数は、こうしたお見合いによって着実に増え。

彼らの『人口』は、徐々にヒトとの割合を増やしていくことになっていくことになる。

	
おわり
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