二次元裏@ふたば
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画像ファイル名:1597500844279.jpg-(77223 B)
77223 B20/08/15(土)23:14:04No.718457252+ 16日00:14頃消えます
「私何て言いましたっけ、先輩?やっぱり気付けに数発刺しておいたほうがいいですかね」
起き抜けの眠い目を擦ると、不機嫌そうな彼女が立っていた。
「…えっと、何でいるの?」
「どうせ寝坊すると思ったから鍵を預からせてもらいました。でも、よくもまあこんなに予想通りにしてくれますよねぇ。よかったですねぇ、カーマちゃんができる女神で」
「ごめんね、あんなにおいしいご飯食べたの久しぶりだったから、つい寝ちゃった」
申し訳ないと思ってはいるが、事実そうなのだ。良い食事をした後の心地よい満腹感のままに、アラームを設定するのも忘れてあっさりと眠りこけてしまっていた。
120/08/15(土)23:14:26No.718457384+
「それで機嫌取ってるつもりなら、残念を通り越して神話級の口下手ですよ?
…まぁ、私がやろうと思えば何でもできる女神なのは事実ですし、あなたの下手くそなご機嫌取りをこれ以上追及するのも大人げないですから、今回はそれに免じて許してあげます。あくまで事実の追認としての評価、ですが」
何やら下を向いて早口で捲し立てている。全部は聞き取れなかったが、どうやら許してくれるらしい。
「ありがとう、着替えたらすぐ行くね」
「遊びに行くわけじゃないんですからね。子供みたいにはしゃがないでくださいね」
居間から催促する声に応えるように、上着に袖を通した。
220/08/15(土)23:14:41No.718457488+
「まず、どこから回るの?」
「取り敢えず、街の方に行ってみましょうか。昼間は学校があるからあまり探りを入れられませんし。
それに、あそこは建物が多いですから。万が一戦闘になっても、矢で陰から狙えますし」
常日頃から不機嫌さを隠さない彼女だが、仕事になると人一倍真面目になる。自分が彼女を頼みにするのも、こういう懸命な一面があることを知っているからだ。それを本人に言うと、露骨に機嫌を悪くするのだが。
「わかった。敵が来たらすぐに知らせるよ」
「大丈夫ですよ。一帯に魅了の術式がかけられていますから、敵意の類いは却って目立ちますし」
彼女に甘えてしまっている自覚はあるが、今は彼女しか頼れる相手がいない。負担をかけるのは心苦しいが、せめてマスターとしてできることはしよう。
「ありがとう。今はカーマしかいないから、本当に助かる」
「…いいですよ、別に。仕事ですから。変に遠慮されるほうが逆に困ります」
いつか、きちんと恩返しができればいいのだが。
彼女の好きなもの、後で調べておこう。
320/08/15(土)23:14:58No.718457615+
「…何かいますね」
入口を覗き込むようにして、彼女は暗闇を睨み付けている。
「行ってみようか。何かあるかも」
繁華街の裏路地に小さく口を開けた古びたアパートの入り口は、街灯や店の明りが煌々と照らす表通りのすぐ近くにあるのが信じられないほど、暗く静かだった。まるで、そこだけ周りの世界からすっぱりと切り取られ、隔絶してしまったかのように。
彼女が言うには、ここには浮遊霊が集まっているらしい。霊は魔力に引かれるものだが、ここに霊脈はない。
つまり、霊を引き寄せるに足る自然のものでない何かが、ここにはあるということだ。
しかし、歩き回ること数時間余り、漸く手掛かりらしきものを見つけたにも関わらず、彼女の表情は明るくない。
「何かあった?」
「…少し、嫌な予感がして…
いえ、何でもありません。行きましょう」
そう言った彼女の声は、心中の迷いを自ら振り切るように、凛々しかった。
420/08/15(土)23:15:14No.718457765+
何体ほど片付けただろうか。
「とうに20体は越えましたよ、これで。あーもう、まだかなー!そろそろ元締めが出てきてもいい頃だと思うんですけどー!」
誰もいないアパートを一部屋ずつ探しながら、時折現れる霊を倒す。そんな作業をもう半数近い部屋でやったが、何かが見つかる様子はない。彼女の言った通り、道中の敵はあっさりと片付いた。しかし行っても行っても、魔力の源にたどり着かない。
「確かに、ちょっと遠いね」
「ちょっとじゃないですよ、全然。歩いてるだけのあなたと違って、私はずっと戦闘しっぱなしなんですからね」
「ごめんね、疲れたならちょっと休む?」
げんなりしていた彼女は、今度は頬をむすっと膨らませて、今までよりも早い足取りで前進し始めた。
「…今のでやる気が出ました。私がこのくらいで音を上げると思ってるんです?
予定変更です。先輩が疲れ果てても止めませんから」
普段はやる気がないのに、こういう所は意地っ張りなのだ。
だが、今はそれでもいい。少しでもやる気を出してくれるなら、それに越したことはないのだから。
520/08/15(土)23:16:24No.718458282+
埃を被った廊下の突き当たりに、それはあった。
「最悪です。結局、最後の部屋まで探す羽目になっちゃったじゃないですか」
「…でも、たぶんここだよね?」
「ええ、今までの部屋よりも明らかに強い魔力を感じます」
残り物には、の喩えではないが。だが、探していたものは確かにここにあるようだ。
「…開けるよ」
620/08/15(土)23:17:15No.718458615+
他の部屋と変わりないはずの鉄のドアノブが、一層冷たく感じる。押し込んだ扉が、ギシギシと嫌な音を立てた。
何が来てもいいように身構えながら、そろりそろりと部屋の奥に入っていく。
だが──
「何もない…?」
魔力の源どころか、さっきまで部屋に溢れかえっていた霊すら、この部屋には一体もいない。カーテンで遮られた部屋には、自分たちの動く音以外、音も、光も、何一つ存在していなかった。
確実に何かが起こっているのに、自分たちはそれを認識できていない。そんな不気味さを感じて、思わず後退りをした。
そのとき、パキリ、という音で、硬い何かを踏んだのがわかった。
「何か踏んだ…」
「どうでもいいでしょう、今は…
待ってください、何を踏んだんですか?」
気だるげに返したカーマが、踵を返して向かってくる。足元に落ちていたそれを拾い上げたが、暗くて形がよくわからない。
「見えない…でも丸い穴が空いてる」
「カーテン開けますよ、いいですね」
720/08/15(土)23:17:25No.718458689+
言うが早いか、窓から月の光が差し込んできた。
手の中にあったのはペンダントだった。宝石を嵌め込む蓋の内側には細かい彫刻が施されていて、一目で手の込んだ品だとわかる、見事な造形だった。
しかし、肝心の石は嵌まっておらず、自分が踏んだせいで金具の一部が壊れている。その上、表面の金属が高熱で炙られたように黒く変色していた。
「ちょっと貸してください」
自分の手からひょいと取り上げたペンダントを、彼女は鑑定士さながら、目を細めて矯めつ眇めつ弄り回していた。
しばらくそうしていたが、今度は急に興味を失ったかのように、ペンダントをこちらに投げて寄越した。
「はぁ…とんだ無駄足でした」
「え、どういうこと?」
「そのペンダントですよ、霊が集まってきていた原因は。年代物の品にはよくあることですが、ちょっとした魔力が籠っていたんです。私達が感じていたのもそれです。
あーあ、もうやる気がなくなりました。私帰りますよ、いいですね」
「待って待って、置いてかないで」
そのときの自分は不満げな彼女の背中を追いかけるのに必死で、ペンダントを元の場所に戻すのも忘れてしまっていたのだった。
820/08/15(土)23:18:04No.718458930+
「…それ、まだ持ってたんですか?思い出すと不愉快になるので、さっさと捨ててほしいんですけど」
「まあまあ、家に帰るまでは我慢してよ。その辺に放り投げるわけにもいかないし」
一度機嫌を損ねると直るまでは相当時間がかかる。女神らしいと言うべきか、彼女らしいと言うべきか。
「ねえ、どこか店があったら寄っていかない?甘いもの食べたら、気分も変わるかも」
「…こんな時間に空いてる喫茶店なんてあると思います?」
一晩中歩き回ってペンダント一つしか拾ってこれない人間に、女の子の機嫌を直す気の利いた対応ができる筈もない。その通りです、と間抜けな声を上げて、肩を落とした。
「はぁ…あんまり気を落とさないでくれますか、逆に鬱陶しいですから。
まあ、馬鹿なあなたをこれ以上苛めるのも大人げないですし、ここは──」
彼女も自分も、その先の言葉を発することも問い質すこともなかった。
920/08/15(土)23:18:16No.718459014+
「あれ…何だ…?」
街灯の灯りの影になるように、電柱の隅に人が立っていた。
否、人かどうかも判らない。輪郭がそう見えたが、黒いものに覆われて顔かたちがまるで判然としない。
「魔力を感じない…?」
それの全身を覆う靄は、死体を包む布にも見えた。
背丈は自分と同じくらいだろうか。だが、はっきりとした体格や顔、手などの細かい部分は全くわからない。もっと目を凝らして探ろうとするが、無駄なことだった。
その瞬間、それが手を出した。鞣した皮のように、醜く焼け爛れた手だった。
1020/08/15(土)23:18:34No.718459146+
「何、これ…」
本能的な嫌悪感と強い恐怖が臓腑を突き上げる。衝動のままに後退りしたその時、上からいきなり強い力で引っ張り上げられたように感じた。
息が苦しい。細い縄で首を締め上げられている。
あれから遠ざかろうと動かしている筈の足が地面を感じてくれない。苦しさと痛みで首を押さえるのがやっとの頭でも、宙吊りになっていることははっきりと実感できた。
「どうしたんですか!?せんぱ──」
皮膚の感覚がない。辛うじて見た自分の腕が羊皮紙のように硬く突っ張っているのがわかった。
焼けてしまったからだと、何故かあっさりと得心した。火傷を負うような攻撃など一度も受けていないはずなのに。

必死で抵抗を試みていた意識が、死への確信で塗りつぶされてゆく。
遠のく意識の中で、確かにその光景を見た。
吊られた男の力無く垂れ下がる体を。
冷たくなった彼にすがりついてすすり泣く女の姿を。
もう戻ってこないその名を呼ぶ、悲痛な叫びを──
1120/08/15(土)23:21:59No.718460625+
小説特異点カーマちゃん怪文書です
先週は私用で更新をすっぽかしてしまい申し訳ありませんでした
お詫びではありませんが来週からは金曜日も更新して週2話ペースで進行します
あと今日のはかなり長いので後で別にスレを立てて続きを出します
su4127834.txt
1220/08/15(土)23:27:22No.718462710+
怪文書書きが義務じゃないのでマイペースで書けば良いと思うよ
1320/08/15(土)23:33:02No.718464901+
デッドエンド?
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