[コロナの疑問]症状に差が出る要因は?…過去 類似ウイルス感染か

8月13日(木)19時15分 読売新聞

 新型コロナウイルスに感染して重症になる人もいれば、無症状で済む人もいます。なぜ症状に差が出るのかは不明で、世界で注目されている研究テーマです。

 新型コロナは昨年末、最初に中国で感染が広がりました。それ以前に感染し免疫がある人は、世界にほとんどいなかったはずです。

 しかし過去、新型コロナと似たウイルスに感染した人は、新型コロナの発症が抑えられているのかもしれません。「交差免疫」と呼ばれる現象です。

 2009年に世界で新型インフルエンザが流行した時、重症になる高齢者が比較的少ないことがわかりました。高齢者は、過去に新型インフルエンザに似たインフルエンザにかかり、交差免疫をつけていたためと考えられています。

 新型コロナは、どうでしょうか。シンガポールの研究チームは感染経験のない健康な人37人を調べ、半数以上に新型コロナに反応する免疫細胞「T細胞」があったという論文を、7月に発表しました。米国やドイツの研究チームも同様の研究成果を公表しています。

 T細胞はウイルスの特徴を記憶し、次に侵入してきた時に攻撃することができます。この研究結果は、過去に類似のウイルスに感染し、新型に対する一定の免疫も獲得している可能性を示しています。

 人間に感染する季節性のコロナウイルスは4種類知られており、大半の人はかかっても軽い風邪症状で済みます。この4種類のいずれかか、未知のコロナウイルスが、交差免疫をつけたとも考えられます。

 重症急性呼吸器症候群(SARS)を起こすコロナウイルスの研究では、T細胞による免疫の記憶は10年以上続く可能性があることがわかっています。

 宮沢正顕・近畿大教授(免疫学)は「交差免疫で症状の差をすべて説明できるとは思いませんが、一部の人に交差免疫があり、症状を抑えている可能性はあるでしょう」と話しています。研究が進み、新しい治療法や予防法の発見につながることが期待されます。

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