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【連載版】クール美女系先輩が家に泊まっていけとお泊まりを要求してきました…… 作者:識原 佳乃

ファーストコンタクト

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6 『うるさいから続き歌わないで』

 長くなり過ぎたため分割です。

 なのでこちらは若干短め。

 明日でプロローグは終わります。

 荒れに荒れた(穂村だけだが)昨晩の飲み会から一夜明け。

 今日からついに配属先での実務研修が始まる。

 本社残留となった新入社員全43名を対象に、実務研修に向けての説明会が朝一から行われるということで俺と工藤は休憩スペースで集合時刻になるまで時間を潰していた。


「昨日はお疲れさん! 介抱役がいてくれて楽しく飲めたわ~」

「俺ひとりに押し付けたこと絶対に許さんからな!」

「その後の2軒目は俺が出したんだから許して~!」


 結局昨日の飲み会は1軒目で穂村が潰れたので舞野が連れて帰り、俺と工藤は野郎ふたりだけで2軒目へハシゴしたのだ。

 その際2軒目を奢るからチャラにしてほしいと工藤が言い出したので、せっかくだからとありがたくゴチになった。

 なんだかんだ酔っぱらった穂村は可愛かったし、Wあさひとも面白い話ができた。なので実際は「俺ひとりに押し付けたこと絶対に許さんからな!」というのは、パフォーマンスだったりする。

 もちろんコミュ力お化けこと工藤は俺が本気で言っていないことを当然のように理解しているらしく、軽く笑ってから「話は変わるけど」と話題転換を図った。


「弓削って瀬能先輩の所属部署知ってんのか?」

「知らないな……工藤は知ってるのか?」


 工藤に言われてから改めて思う。

 俺は瀬能先輩のことをほとんど知らない。

 知っている……分かっていることと言えば、冷静沈着(クール)で容姿端麗な美女。その上優しくて尚且(なおか)つカッコイイってことぐらいだ。

 瀬能先輩は完璧過ぎる。

 ただ、ほとんど外見イメージのようなものでそれ以外は全く知らない。

 それこそ所属部署はおろか、平なのか役付きなのかすら知らない。


 本当は昨日偶然昼食で一緒になった時に色々と聞いておくべきだったのだ。

 ……不意な再会で緊張したとは言え、今更後悔しても遅いんだがな。


「知ってるぞ?」

「そ、そうなのか。し、知ってるのか」


 何食わぬ顔でごく当たり前のように言う工藤。

 俺もどう反応していいのか悩み不自然な反応をしてしまった。


 素直に教えてほしい。

 正直に答えてほしい。


 だがこんなことを言ったら勘繰られそうだ。

 ここはそれとなく聞き出すのがベスト……、


「先に言っておくけど、俺は言わないからな? どうせこの後すぐ分かるからな~」

「……次はお前が穂村の介抱役やれ」


 よし。こいつのこと殴ってもいいか?


 俺が知りたがっているのを絶対に分かってて言ってやがる。

 まごうことなき確信犯だ。

 ……確信犯死すべし、慈悲は無い!

 とりあえず次回は穂村の介抱役&飲み代おごりで勘弁してやろう。


「八つ当たりするなよ。どっちみち俺は()()()じゃないからできないぞ?」

「おはよ~! 昨日は楽しかったね! 咲良の反応が!」

「旭陽おはよ! 穂村ちゃんもおは~!」

「おはようさん。昨日はお疲れ様」


 適任者ってどういうことだよ? 俺だって不適任だろうが。あの場で適任者と呼べるのは同性の舞野くらいだろう。


 工藤の「適任者」という言葉に内心で首を傾げていたら、休憩スペースに舞野がやってきた。

 その後ろには舞野の陰に隠れるようにトボトボと俯きながらやってきた穂村が、俺の反応を窺うように上目遣いでこっちを見てきた。


「おはよう……昨晩の記憶が全く、一切、これっぽっちも無いから聞きたいんだけど……私、弓削くんに迷惑掛けた?」


 見た目がいつも以上におどおどしている上に舞野の服の裾を不安そうにギュッと握っていることから、普段よりも3割増しで可愛く見えた。

 このまま喋らないで毒舌を吐かないんだったら間違いなく男からモテる気がする。


「いや、掛けられた覚えはない」


 あの程度の迷惑より普段の罵倒の方が迷惑なんだが……なんて冗談で言ってみようかと思ったが、心底心配そうにこちらを見つめる穂村と目が合い、やめた。


 俺の言葉に明らかにほっとしてから「それならよかった」と話を続ける穂村。


「……それと私、変なこと言ったりしてなかったかな?」

「俺を相変わらずチキン呼ばわりしてたくらい……っていつものことか」

「うん……いつものことね」


 そう言って笑みを浮かべた穂村は「また……飲み会に誘ってもらえると嬉しいかな」と恥ずかしそうに呟いた。

 いつもやかましいはずのWあさひは黙ったまま微笑ましいものを見るように相好を崩し、不覚にもドキリとさせられた俺は誤魔化すように話しを続けた。


「どうせ俺ら全員本社組だからな。この先穂村が嫌になるほど飲みに行くことになると思うぞ」

「そうそう! なんたって俺と旭陽がいるからな! 飲み会は続くよどこまでも!」

「野~をこえ~山こえ~谷こえて~♪ って感じでね!」

「は~るかな町ま~で――」

「――うん。ありがとう。工藤くんうるさいから続き歌わないで」


 普段通りの調子に戻った穂村がすかさず工藤に対して毒づき、それに対して「ありがとうございます!」というもはや様式美となりつつあるやりとりを、俺は笑いながら見守ったのだった。

ブクマはいつの間にか1000件突破してるし、

ポイント評価して下さった方も50人越え……ひえぇぇぇぇぇ!(白目)

おまけにジャンル別日間1位だし、ファンタジーが強い日間総合でも8位に食い込む奇跡……!


「み……な……あ……が……と……っ!」(弓削くんに口を塞がれながらどや顔で喋る瀬能先輩がお礼を言っている図)


~自作品の宣伝~

 私が別に書いている学生さんにおすすめのいちゃらぶものです!

 ひたすらにふたりがいちゃついているだけなので、ストレスフリーで読めます!

 よかったら読んでみて下さい!

 タイトルは『僕のクラスには校内一有名な美人だけどコミュ障な隣人がいます。』です!


 また、頭空っぽにして読めるギャグ要素高めのこちらの別作品もおすすめです!

 タイトルは『元中二病患者の俺がちょっとした心理学を駆使した結果、何故か学園一の美女と協定を結ぶハメになったんだが……』です。

 こちらもよろしければ読んでいただけると嬉しいです!

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