94歳という年齢ながら現役で活動する渡辺恒雄・読売新聞グループ代表取締役主筆が、日本の軍国主義を強く批判し、日本社会で話題になっている。
■1時間超の反戦メッセージ
NHKは9日、日本の太平洋戦争敗戦75周年を前に『NHKスペシャル-渡辺恒雄 戦争と政治~戦後日本の自画像~』を放送した。3月に放送されたNHKのドキュメンタリー『独占告白 ~戦後政治はこうして作られた 昭和編』の後編に当たるものだ。
渡辺主筆は1時間15分にわたるインタビューで、太平洋戦争で300万人以上の日本人が死亡したことに関連し「日本の軍国主義者たちの責任を問わずに良い政治ができるわけがない」と指摘した。1945年の敗戦以降に軍国主義者たちに対する厳格な処罰があるべきだと主張したのだ。
渡辺氏は読売新聞が2005年から1年間「検証 戦争責任」と題する企画を連載したことについて「数百万人の命を奪い、日本を廃墟にした。若者たちに戦争責任を伝えなければならないというのが当時の私の考え」と述べた。渡辺氏は自身と親交のあった吉田茂、鳩山一郎、池田隼人の歴代首相について、みな戦争に反対していたと話した。
■NHKはわずか2日で再放送、「平和」のメッセージ
NHKは本来、日本のメディア界だけでなく政界の裏の大物でもある渡辺氏の一代記を昭和・平成に分けて放送する予定だった。しかし3月の昭和編が放送された後、新型コロナウイルス感染拡大の影響で制作・放送が中断した。その後、平成編は放送されず、全面的に戦争反対のメッセージを強調した内容で編成され、異色だとの評価を受けている。