女流アマ選手権 2度目の優勝を目指す小田彩子さんに注目
3月15日、16日の2日間にわたり、女性アマチュアの日本一を決める全日本女流アマチュア囲碁選手権大会が開催された。全国から日本棋院に集った女流アマ強豪たちの中から、2回目の日本一を目指した小田彩子さんの活躍を中心にレポートする。
梅が咲いて桜を待つ季節。日本棋院の早春のイベントとして定着している本大会も今年で56回目。全国から集まった118名の女性がその実力を競う様子は華やかで、まさに春にぴったりの大会だ。
6年前の本大会で優勝を果たした小田彩子さんは、特別な思いをもってこの大会に出場していると言う。その特別な思いとは…。
6歳で囲碁を覚え、岩田一九段の子供教室で囲碁を勉強した小田さんは、中学1年で院生となり、プロを目指したが、22歳のときに棋士への道を断念した。一時は完全に囲碁から離れた小田さんだが、同じく岩田門下の永代和盛さんに「もったいないよ」と言われて心機一転。2008年の本大会に参加して見事に優勝を飾った。この優勝をきっかけに小田さんは本格的に囲碁インストラクターの道を歩み始めた。
アマチュアへの指導時には、楽しく打つことを心がける小田さんだが、大会に入ると真剣モードにスイッチが切り替わる。
「この大会は数少ない真剣勝負の場です。気合いよく打ちたいですね。気合いで負けると、そのまま負けちゃいそうなので」
1日目、小田さんは予選を危なげなく勝ち上がり、本戦トーナメントの1回戦も勝利してベスト8に進出した。2日目の準々決勝では、小野綾子さん(新潟)に苦戦するが粘り強く勝利。勢いに乗った小田さんは準決勝でも須藤真理子さん(東京・千葉)を相手に快勝し、6年ぶりの決勝へと駒を進めた。
決勝の相手は昨年まで院生だった16歳の高校生・藤原彰子さん(東京・千葉)。一進一退の攻防が続く大熱戦となったが、惜しくも準優勝にとどまった。
2日間で7局を戦い抜いた小田さんは「久しぶりに決勝戦に行けました。優勝できればよかったのですけど…、悔しい気持ちのほうが大きいです」と大会を振り返った。
優勝した藤原さんは、「自分の碁を打つことができました」と喜びの表情。プロは目指さずアマチュアとして大学への進学を目指すとのことだが、今後も活躍が期待される。
■『NHK囲碁講座』2014年6月号より