大竹敏之の食べよみゃあ!名古屋メシ
B級を超える!鉄板スパの激ウマ店
2013年5月6日
名古屋のご当地メンのひとつであり、喫茶店発祥の喫茶メシでもある鉄板スパゲティ。ケチャップ味のスパゲティを熱したステーキ皿に盛り、とき卵を流し込むのが基本です。
ケチャップをからめたスパゲティは一般的にナポリタンの名前で親しまれていますが、名古屋ではイタリアンで通っていて、鉄板スパは鉄板イタリアンとも呼ばれます。東区の車道商店街にある「喫茶ユキ」の初代マスターが、昭和30年代に考案したのが始まりと伝えられます。
イタリアでパスタを食べた際に「うまいけど途中で冷めてまうがや」と不満を感じ、それを解消するために熱した鉄板皿に盛ることを思いついたそうです。
本格的なイタリア料理店がなかった時代に喫茶店から生まれただけあって、その味わいは非常に庶民的。子どもにも喜ばれるB級感あふれる分かりやす~い味つけです。しかし、鉄板ならではのジュ~ジュ~した熱々感は本場のパスタにはないもの。鉄板スパならではの独自の魅力があるのです。
名古屋では、喫茶店ならかなりの確率で食べられる他、洋食店でもちらほら見られます。その中から筆者が自信をもってお薦めできる2件をご紹介します。
「キャラバン」は創業して丸30年の喫茶店。瓦屋根+レンガの和洋折衷の外観や、ステンドグラスやシャンデリアがゴージャス感を演出する内装など、喫茶店全盛期の昭和テイストがほどよいレトロ感を醸し出しています。
2代目のマスターが、初代のお父さんの作った味を継承しつつ進化させているのがオリジナルのミートソース。牛肉、玉ねぎ、赤ワインなどをふんだんに使い、じっくり煮込んでまろやかで奥行きのある味わいを生み出しています。
イタリアンスパゲッティにはこの特製ソースがたっぷりからめてあり、ソースの味わい深さを存分に堪能できます。また、卵は生クリームを加えてありとろっとろ。鉄板の上でも最後まで固まることなく、スパゲッティにまろやかさをプラスしてくれます。
鉄板スパの王道を行きながらも本格洋食を髣髴させる味の完成度。名古屋喫茶の底力を感じさせてくれる一品です。
□ キャラバン
名古屋市東区泉2-3-22カーサ南白壁、地下鉄高岳駅より徒歩7分、Tel052・931・3898、7時30分~21時、火曜休
何と生パスタの鉄板スパが食べられるのが「大須せろり」。B級グルメの鉄板スパでわざわざ自家製の生パスタを使う店は筆者の知る限りここだけです。
オリジナルでブレンドしたセモリナ小麦をしっとりしっかり練り上げ、マスタマシンで高圧製麺した無添加無着色のパスタはもちもち。ケチャップソースも自家製で、じっくり炒めた玉ねぎ、赤ワイン、トマトをとろとろに煮込み、実にまろやかでコクがあります。
鉄板コルポチは野菜もたっぷりの具だくさんで、パスタとソースの味わいとともに贅沢感を感じられます。鉄板皿に盛ってあることで見た目のB級感はありますが、味は間違いなくA級です。
これ以外にも卵をしいたオーソドックスな鉄板イタリアン、あんかけ風ミートソースなどバリエーションは豊富。和牛ハンバーグや手づくりソーセージなどのトッピングで、さらに豪華にバージョンアップすることもできます。
本格洋食のこだわりが注ぎ込まれたひと味違う鉄板スパを味わってみて下さい。
□ 大須せろり 南店
名古屋市南区戸部下1-1-3、名古屋高速堀田出口より車で5分、℡052・694・7277、11時~21時25分ラストオーダー、火曜休(中区橘に本店の「大須せろり」もあり)
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