愛知の陽性率17.7%、際立つ高さ 検査報告漏れも影響?

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2020/8/11 19:05

愛知県は検査で新型コロナウイルスの感染が確認される陽性率が全国でも高い。6日までの1週間で17.7%と、国が定める「深刻な水準」の10%を大きく上回る。名古屋市の繁華街でクラスター(集団感染)が発生している半面、PCR検査の数が足りていない可能性がある。県が把握する検査の数が一部漏れているとの指摘もある。

繁華街で感染防止対策を呼びかける愛知県の大村知事(7月28日、名古屋市中区)

陽性率は、粘液などで感染の有無を調べるPCR検査などを受けた人のうち、新たに陽性と判明した人の比率。高いほど地域に潜在的な感染者が多くいる可能性がある。

愛知は17.7%と東京(7.2%)、大阪(9.1%)を引き離し、大村秀章知事も「高いと受け止めざるを得ない」と懸念する。

陽性率が高く出る理由の1つは、感染者の多さだ。愛知では10日まで14日連続で1日の新規感染者が100人を超えた。11日は67人だったが、検査が休み明けで少ないという事情がありそうだ。

これに対して検査が足りないとの見方は根強い。県は感染者の濃厚接触者にPCR検査を行っている。7月15日時点で314件(抗原検査を含む)だった検査は8月6日に938件まで増えたものの、なお県全体の検査能力(1472件)には及ばない。結果的に陽性率が2ケタを超える事態が続いている。医療関係者からは「感染拡大に検査が追いついていないのでは」との声が漏れる。

陽性率で分母に相当する検査数が実際より低く出ている可能性がある。県への報告漏れが影響しているとの見方がある。名古屋市では検査を行う民間病院に対し、検査数に陰性者までカウントするよう義務付けていない。結果的に「陽性者=検査数」となり、計算のうえで陽性率が跳ね上がってしまう。

高い陽性率の受け止めもさまざまだ。潜在的な感染への懸念がある一方、大村知事は「(濃厚接触者を)丹念に追いかけているということ」と話す。愛知県立大の清水宣明教授(感染制御学)は「検査は濃厚接触者が中心で(陽性率が)高いからといって、感染が社会に広がっているとはいえない」と指摘する。

県や名古屋市は検査能力の拡充に動いているが、人員や機材の問題もあり「今すぐに増やすのは難しい」(関係者)という。行政の手探りが続いている。

(小野沢健一、藤井将太)

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