離島をコロナから守れ!「おがさわら丸」乗客にPCR検査、到着前に判定

2020年8月11日 12時14分
PCR検査用の検体採取キットを受け取るおがさわら丸の乗客=いずれも11日、東京都港区の竹芝客船ターミナルで(戸田泰雅撮影)

PCR検査用の検体採取キットを受け取るおがさわら丸の乗客=いずれも11日、東京都港区の竹芝客船ターミナルで(戸田泰雅撮影)

  • PCR検査用の検体採取キットを受け取るおがさわら丸の乗客=いずれも11日、東京都港区の竹芝客船ターミナルで(戸田泰雅撮影)
  • ターミナル入り口に立てられたPCR検査に関する告知
  • 報道公開されたPCR検査スペース
 医療体制がぜいじゃくな東京都・小笠原諸島(小笠原村)を新型コロナウイルスから守るため、島に渡る唯一の交通手段の定期船「おがさわら丸」で11日、乗客へのPCR検査が試行的に始まった。乗船前に唾液を採取し、船が島に到着する前に感染の有無を調べる。陽性反応があった人は船内で隔離し、島へのウイルス持ち込みを防ぐ。
 離島の新型コロナ対策は全国的に大きな課題の1つ。鹿児島県の与論島(与論町)では7~8月、50人以上の感染者が確認された。小笠原諸島は本土から約1000キロ離れ、島に診療所以外の医療機関がなく感染が広がると対応が難しい。検査は都や村、ソフトバンクグループが運営する検査センターなどが協力して実施する。
 11日午前、東京都港区の竹芝客船ターミナルに、父島へ向かう週1便の「おがさわら丸」に乗る観光客や村民ら計約400人が集まった。検査は任意で、説明を受けて同意した乗客315人が検査キットで唾液を採取した。結果は数時間で判明する予定。
 陽性が出た場合は、航行中の船に連絡。本人のほか、濃厚接触した可能性がある人を船内の個室に隔離する。父島に到着後、陽性反応者は自衛隊の航空機で本土に搬送する。正式な感染の有無は改めてPCR検査をして判断する。
 村立母島小中学校教諭の石井かなめさん(30)は2週間、本土の実家で過ごし、島に戻るために乗船。「十分気をつけていたが、無症状の人もいると聞くので検査は安心。島を守ることにもつながる」と話した。
 都の担当者によると、離島の来島者に対するPCR検査は全国に例がないとみられる。ただ検査前2時間は水以外の飲食ができない。1度に多くの陽性者が出た場合の対応など課題もある。試行期間は未定だが、都は効果などを検証し、検査義務化も含めて検討するとしている。 (岡本太)

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