大阪府の吉村洋文知事(45)は11日、府庁で取材に応じ、殺菌効果のあるポビドンヨード配合のうがい薬をめぐり、会員制交流サイト(SNS)などで批判の声が続出している“インサイダー取引疑惑”について反論した。
インサイダー取引は不当に株を売買することだが、吉村知事は「まずインサイダー取引というのは犯罪です。ネット上で匿名とは言え、『インサイダー疑惑がある』とか軽々には言わないほうがいい。注意されたほうがいい。もちろん、インサイダー取引にはいっさい、関わりはない。そんな事実はありえない。そもそも経済的な利益を得ようとして知事をやっているわけではない」と、ぴしゃりと言い放った。
さらに「維新が嫌いなのは分かる。発表の仕方に問題があるという声も分かる。ただ『インサイダーじゃないか』というのは、ちょっとそこは『あなたは犯罪者』に等しい」と語気を荒らげた。
吉村知事は4日の会見で、大阪はびきの医療センターの臨床研究で、「ポビドンヨード」で新型コロナウイルス感染症の治療効果が期待できることを確認したと発表。この発言を受け、関連株価が上昇。全国のドラッグストアの店頭から該当の製品が消えた。
ネット上での「インサイダー疑惑」の発端は、9日のTBS系の情報番組「サンデー・ジャポン」に出演したタレントで演出家のテリー伊藤(70)が、吉村知事の「うがい薬会見」を生中継した4日の日本テレビ系の情報番組「ミヤネ屋」を出演していたことを明かした上で、「(発表内容を会見の)1時間半ぐらい前に知ったんです」「ってことは、これをいま買っておけばいいなと思って、場合によっては、薬メーカーの株価も変えるなって、一瞬頭に入った」「でもね、やめたんです。インサイダー取引みたいな感じで、僕の立場でそれをやるのは申し訳ないなと思って、やらなかった」。その後、SNSでは「事前に一般人にイソジン情報漏らしているじゃないか」などと大きな波紋が広がっている。
情報の共有について吉村知事は改めて「国、製造会社4社、役所のごくわずかな職員、研究をやっている方。メディアに伝えることはないです」と説明した。
テリー伊藤の発言については「テリーさんが番組で発言された真意はわからないので、そこはテリーさんに聞いてほしい」と話した。一連のバッシングについて「ぼくが一番、心配しているのはインサイダーとかではなく、僕の発信の仕方にあるのかもしれないが、あの研究自体がつぶされるのは、すごい損失だと思う。ある意味、感染拡大防止の1つの武器として、かなり大きな勝率があると、僕はいまでも思っている」と強調した。