腕時計の世界は奥が深い。計器としての信頼性やモノとしての価値を大切にしながら、ブランドの歴史と背景が複雑に絡み合って1本の時計として表現される。特にクラシカルな機械式時計は利便性でクオーツ式に遅れをとる一方、特有の高級感を放つのが魅力だ。確かに機械式時計は、一度止まってしまうと動力源となるゼンマイを巻き上げるという作業が必要になるし、2日や3日も放っておけばまた止まってしまう。しかし、そんな手間のかかる相棒機を持つことが、”いい大人の条件”と考える向きも多い。
今回紹介するのは、「手の届く機械式時計」をモットーとする『クラブ・ラ・メール』の新作。ブランド誕生35周年を祝うトラディショナルな記念モデルとして、各モデル500本限定でリリースされた。デザインモチーフとなったのは、大航海時代のマリンクロノメーター。アンティーク感に満ちたいぶし風仕上げのSSケースが、古きよき趣を体現する。シックなローマンインデックスを配したアイボリーのダイヤルは、光の反射が美しいサンレイパターンを採用。38mm径の落ち着きに満ちた表情は、オン・オフ問わずスタイルに品格を添えてくれそうだ。
さらに注目したいのが、機械式ならではのムーブメントの動きを楽しむことができること。7時位置に開けられた小窓からは腕時計の心臓部たるテンプが覗き、時を刻む”鼓動”を感じ取れる。また、シースルーバックの背面からはテンプを保持するブリッジと呼ばれるパーツを拝めるが、ここに波上のコート・ド・ジュネーブ装飾を施すという手の凝りようだ。
ディテールまで抜かりなく、3気圧防水&40時間パワーリザーブで実用性も担保。そのうえでリーズナブルな価格帯を実現している。フランス語で「海」を意味する「ラ・メール」を冠したブランドの自信作は、深遠で広大な時計界ならぬ、時計”海”に乗り出すための1本として最適ではないだろうか。
Text_Naoki Masuyama
腕時計・ウォッチ
3万円で手に入る贅沢。クラブ・ラ・メールの機械式時計がハイコスパ過ぎる
約3万円という手の届きやすい価格でありながら、デザイン性に優れた本格的な機械式時計を送り出す国産ウォッチブランド『クラブ・ラ・メール』の魅力を掘り下げます。
髙須賀 哲
2020.05.25
腕時計・ウォッチ
腕時計の技術革新を担う、シチズンの実力と人気モデルをおさらい
2018年、「シチズン」は創業100周年を迎えた。GPSなどの先進技術を生み出す一方、近年は海外ブランドの買収や機械式の生産にも力を入れて多角的かつ精力的な活動が続く。
ワダ ソウシ
2018.12.09
腕時計・ウォッチ
本場にも負けないモノ作り。日本発の腕時計ブランド12選
腕時計の本場がスイスというのは、否定できない事実。しかし、実用時計においては日本が世界一といっても過言ではありません。その理由と珠玉のブランドを語り尽くします。
牟田神 佑介
2019.12.20
- KEYWORD関連キーワード
- シチズン(CITIZEN)
- 腕時計
- 機械式
- 腕時計
腕時計・ウォッチ
高級腕時計ブランド45選。ステータス性を備えた一生モノ勢揃い
生涯をともにできるアイテムは意外と少ないもの。そのなかでも腕時計は、最も身近な存在ではないでしょうか。一生モノにふさわしい逸品の選び方と傑作をご紹介しましょう。
夏目 文寛
2020.06.09
腕時計・ウォッチ
グランドセイコーを買う前に。国産時計最高峰のすべてを知っておく
世界でもっとも知られている国産高級時計ブランドが『グランドセイコー』。日本の時計製造技術の粋を集めて作られた『グランドセイコー』の魅力をたっぷりご紹介します。
夏目 文寛
2020.08.04
腕時計・ウォッチ
腕時計の本場がスイスというのは、否定できない事実。しかし、実用時計においては日本が世界一といっても過言ではありません。その理由と珠玉のブランドを語り尽くします。
牟田神 佑介
2019.12.20
腕時計・ウォッチ
ソーラー電波時計12本を厳選。日本が誇る4メーカーのブランドからレコメンド
多忙なビジネスマンにとって、電池交換の手間もかからず常に正確な時間を表示するソーラー電波時計は心強い味方。信頼度の高い日本のブランドから、名品を厳選しました。
牟田神 佑介
2020.06.11
腕時計・ウォッチ
高防水腕時計を厳選! アクティビティで用いたい人気モデル10
休暇を屋外で過ごすことが増える、夏。水辺のレジャーやアウトドアの相棒として最適な、高い防水性能を備えた腕時計を5万円以内で厳選した。
小林 大甫
2020.07.28