元木昌彦の『週刊誌スクープ大賞』
「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"元木昌彦による週刊誌レビュー
「壇蜜が怖かった……」
そう口を揃えていたのは5月、ベルギーを旅行した日本人観光客たちだった。同国西部の地方都市イーペルで3年に一度、巨大猫の山車などがパレードする“猫祭り”が開催され、ここにたくさんの日本人観光客が集まっていたところ、テレビ番組のロケで訪れたタレントの壇蜜と、ひと悶着あったのだ。
観光客はひな壇状に作られた指定の観覧席に座り、大通りで繰り広げられるパレードを間近で見ていたところ、イベント途中で現れたのが有名人の壇蜜。それも猫耳の髪飾りをつけ、浴衣のような和風な出で立ちだったので目立つことこの上ない。さらに一般人は通行禁止となっているイベント用の通りを大勢のスタッフを連れて横切っており、イベントを撮るためにカメラを構えていた日本人観光客は目前を横切った壇蜜を反射的に撮影。トラブルはその瞬間に起きた。
「撮ってんじゃねえぞ、オイ! 撮るんじゃねえよ!」
和やかな場にそぐわない男の低い怒声。一瞬にして辺りは静まり返った。怒鳴っていたのは壇蜜のそばにいた男性で、まるで不良少年がメンチを切るように日本人観光客をにらんでおり、観光客の女性からは「怖い!」と悲鳴が上がったほどだった。次の瞬間、一部の観光客が「だったら来るなよ」「おまえのイベントじゃないだろ」と壇蜜にブーイング。
同イベントを取材中だったジャーナリストの片岡亮氏は、その一部始終を目撃。「現場は騒然となっていた」と話す。
「怒鳴った男性の声がまるでヤクザみたいだったので、観光客が相当に怖がっていましたが、その反動で一部の観光客が怒っていました。壇蜜の同行スタッフのひとりをつかまえて“どこの局だ”と聞いたんですよ。関係者らしき人物は“NHK”と答えたんですが……」