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落ちこぼれの兄の方が実は最強〜史上最強の勇者、未来の世界へ転生する。優秀な弟に婚約者を寝取られ、家や学校からも無能と蔑まれてたが、前世の力を引き継ぎ気ままに生きてたらいつの間にか目立ってた 作者:茨木野

第7章

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100.勇者、弟とともに神々と戦う


 俺が神々の封印術を破ってから、数分後。

 天界にて。


 俺たちは霊装をまとって、神々と相対していた。


 ガイアスの霊装は、まだ不完全だ。


 左右の腕に、赤と蒼の手甲がはめられている。


 服や髪はそのままだ。

 完全に霊装をまとえば、神格化にともなって外見と服装も変化する。


「早く兄さんみたいに、ちゃんとした霊装を手に入れたいよ」


「大丈夫だ、すぐできるようになるよ。俺が保証する」


「兄さんに言われると、すっごく安心するよ。……さて、と」


 俺たちが見上げる先には、無数の神々。


 彼ら全員が、俺たち兄弟の命を狙っている。


「敵が多いね」

「怖いか?」


「まさか。兄さんが居れば何も怖くない」


 俺は弟の頭をくしゃっ、となでる。


「とっとと終わらせようぜ。こんなくだらないことに、俺たちの夏休みを邪魔されたくないし」


『ほざけ! 人間風情がぁああああああ!』


 神の1人が、手を上げる。

 頭上から、無数の流星が降り注ぐ。


 ガイアスは氷の剣を振る。


「せやぁああああああ!」


 莫大な冷気が、空中に散布される。

 流星すらも凍り付かせた。


「兄さん!」

「おうよ!」


 ガイアスが氷で足場を作る。

 それを駆け上がって、俺は光の剣を振るう。


 ズバンッ……!


『そんなバカな!? 神気を帯びてもはや目では捉えられないほどのスピードの流星を、消し飛ばしただと!?』


「よそ見は禁物だよ!」


 ガイアスが炎剣を激しく燃やしながら、流星を使った神の腹部を切る。


『ふんっ! こんな炎なんて効かぬ……ぐわぁああああああ!』


『愚かなり。我が主の作り出した炎は神すらも焼くのです。侮りましたね』


『ぐ、ぞぉおおお! みなで取り囲んでころせぇええええええええ!』


 神々はそれぞれの権能を用いて、俺たちに攻撃してくる。


 凄まじい重力の球体。

 小型の太陽。

 万の雷。


「弟よ、呼吸を合わせるんだ」

「合体技だね、兄さん!」


 ガイアスが氷の剣を、俺は光の剣を、地面に突き刺す。


 地面から四方に、氷の障壁が即座に出現。

 氷壁のなかから、俺の作った聖なる光が放出される。


 光は神々の攻撃を破壊。

 その余波をガイアスの氷が防ぐ。


『なんと強固なる防壁なのだ!? 神の攻撃を防ぐだと……あってはならぬ! ならんのだぁあああああああ!』


「バカな人たちだね」


 ガイアスが縮地を使って、神の背後を取る。


「君らを見てるとイラつくよ。自分の弱さを受け入れられず、子供のように駄々をこねる。……かつてのボクを見ているようでさ」


 ガイアスが双剣を振るった。

 あまりに早い斬撃に、神が対処できなかった。


『ただの人間……ごときに……神が……まける……など……』


「ボクはただの人間じゃない。勇者にいさんの、弟だ」


 神の1人を、ガイアスが撃破する。


「よくやった、弟よ!」


 俺はそのあいだ、周囲を駆け抜けながら、光の剣を振るう。


 超高速で走り抜け、剣を振り下ろす。


『あ、悪魔だぁ! 黒い悪魔だぁああああああああ!』


『ひぎぃいい! ひぃいいいいいい!』


 神々が悲鳴を上げるが、俺は剣を振るう手を休めない。


 俺は漆黒の暴風となりて、神々を屠りまくった。


「ふぅ……」


「兄さん……やっぱすごいや。ボクは……ひとり倒すので精一杯なのに……」


 弟の隣に着地する。

 ガイアスは感心したようにつぶやく。


「いやいや、ガイアス。おまえこそすごいぞ。数ヶ月で神殺しを達成した人間なんて」


「そんなひといないの?」


「いや、俺が1ヶ月でやったから、二人目だな」


「ああそんなことだろうと思ってたよチクショウ」


 ぽんぽん、と俺はガイアスの頭をなでる。

 不機嫌そうだった弟が笑う。


『よくも……同胞たちを殺したな!』


 神の一柱が、俺たちに怒りの矛先を向けてくる。


『神を気まぐれに殺してなんとも思わぬのか!? この神殺しどもめ!』


「え、先に攻撃してきたのあんたらだろ?」


「自分たちのことは棚に上げて、ボクらだけ非難するなんて。神の癖にやってること人間のくず以下だよ」


 ガイアスの言葉に、神が顔を真っ赤にする。


『調子に乗るなよ被造物どもがぁああ!』


 神が手を上げて、ガイアスめがけて天の矛を放つ。


 天使の使うそれとは、比べものにならない一撃。


 俺がかばおうとすると、ガイアスが自分から前に出る。


「任せて」

「おう」


 ガイアスは双剣をクロスさせて、思い切り切り下ろす。


 ズバァアアアンッ!


 強力な天の矛を、ガイアスは真正面から打ち破って見せた。


 今のガイアスは、小細工抜きで、神と渡り合えるだけの力をつけている……ということだ。


『天の矛を、勇者なりたての小僧が切り伏せただと!? なんだこいつは!? 化け物なのか!?』


「違うよ……ただの、化け物にいさんの弟だ」


 天の矛を防ぎきったガイアス。

 だが今ので、力を使い切ったらしい。


 霊装が解け、弟はその場にしゃがみ込む。

「よくやった」

「ありがとう……ぐっ! ぐあぁああああああああああ!」


 突如として、ガイアスが苦しみだした。


 俺は見えていた。

 神の一柱が、ガイアスに憑依する姿を。


「く……くくく……どうだユリウス? 最愛の弟を、果たして切れるかな?」


「神が乗っ取りやがったか」


 無双剣を手に、ガイアスが俺に襲いかかってくる。


「そらそらそら!」


 キンキンキンキンキン!


 だが弟の攻撃を、俺は聖剣ですべて捌ききる。


「くっ……! 当たらぬ! なぜだ!?」


「そりゃ鍛錬がたりないからだ。弟が強かったのは、あいつがたゆまぬ剣の修練を積んだからだ」


 俺は間合いにはいって、ガイアスの無双剣を弾き飛ばす。


「俺の弟を、なめんじゃねえ」


 聖剣を振り上げて、俺はガイアスめがけて切り下ろす。


 弟に憑依した神だけを、斬って見せた。


 がくん……と弟がその場に崩れる。


 俺は肩を貸して、立ち上がらせた。


「すまん、怖かったな」

「まさかでしょ。兄さんに限って、ボクを傷つけるわけないって信じてたしね」


 ガイアスは自分の力で立ち上がる。


「さて……と。おい、おまえら」


 俺はすぅ……と宙に飛び上がる。


「おまえら……前に言ったよな。狙うなら俺だけにしろって」


 右手を前に出す。

 すると凄まじい光の柱が、俺の目の前に出現。


 それは凝縮していき、黄金の剣へと変貌した。


『や、やめろぉお! きさま我らをなんだと心得る!?』


『神だぞ!? お前らを作った創造主に楯突くつもりかぁ!?』


 俺は黄金の剣を手に、構えを取る。


「おまえらが誰かなんて知らん。創造主? いいや違う。おまえらは敵だ」


 キィイイイイイイイイイイイン……!


 構えた黄金の剣から、強烈なエネルギーが漏れ出る。


「精霊よ、悪鬼滅殺の刃となりて、はらたまえ、清めたまえ」


『ひぃいいいいいい! に、逃げろぉおおおおおおおお!』


 神々がいっせいに散っていく。


 だが関係ない。

 この攻撃範囲は、光が届く範囲全部。


 すなわち、この星全体だ。


「【神滅天光剣】!」


 俺の振るった一撃は、黄金の波動となり周囲に伝播する。


 その光は破壊と再生を司る。


 莫大なエネルギーの刃は、俺の敵をすべて焼き殺す。


 それ以外のものはいっさい傷つけることのない、最強の慈愛の刃。


 永遠とも思える、まばゆい光は……しかし突如として消える。


 あとには、何も残らなかった。

 あの場にいた、俺に敵対する気だった神は、消し飛んだ。


「いつもながら……凄まじい技だね、それ」


 腰を抜かしている弟が、苦笑しながら言う。


 俺は弟の手を引いて立ち上がらせた。


「神は全滅したの?」

「いや、あそこにいたクソくだらない会議に参加してた、敵対神だけだな。全員じゃない」


「それでも、オーバーキルじゃない?」

「これくらいして当然だ。なんせ俺の大事な弟の体を乗っ取りやがったんだからな」


「まったく……兄さんのブラコンにも困ったものだよ」


 弟は俺に笑いかける。


「お疲れ、兄さん」

「おう、おまえもな、弟よ」



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「え、テイマーは使えないってパーティから追放したよね?~実は世界唯一の【精霊使い】だと判明した途端に手のひらを返されても遅い。精霊の王女様にめちゃくちゃ溺愛されながら、僕はマイペースに最強を目指すので」



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頑張って書いたので、よろしければぜひご覧ください!


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