東電株主ら、月内にも代表訴訟 監査役は提訴せず

2012/1/16付
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福島第1原子力発電所の事故を巡り、東京電力の新旧経営陣60人に責任があるとして、同社株主42人が、総額5兆5千億円の損害賠償請求を起こすよう監査役に求めていた問題で、東電側は16日までに「取締役の責任は認められない」として、提訴しないと株主側の弁護団に書面で通知した。

これを受け、株主側は早ければ今月末にも、同額を会社に支払うよう求める株主代表訴訟を東京地裁に起こす方針。

通知書は13日付。7人の監査役が、過去の資料や関係者からの聞き取りなどを基に調査したとしている。

通知書は福島第1原発の安全対策について「設計から運用までの安全対策が適切に検討、実施されたことを確認した」と明記。津波対策についても、過去の津波被害のデータを基にするなど「科学的、合理的な基準の高度化を追求し続けてきた」と評価した。

その上で、事故の原因について「国の指導に基づいて進めてきた津波対策の前提を大きく超える津波の影響」と指摘。事故後の対応は「速やかに対策本部を設置するなど適切に判断、実行している」として、「全ての取締役に注意義務違反などはない」と結論づけた。

弁護団の河合弘之弁護士は「東電として公式な初めての免責主張になるが、監査役としての見識は全くなく、辞任すべきだ」と批判している。

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